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私たちの誕生@2023

 去る4月22日土曜、首都圏某所にて在日インド仏教徒の非営利団体B.A.I.A.E.(アンベードカル博士国際教育協会)主催による『第132回アンベードカル博士生誕祭』が開かれました。
 近年はインド映画の人気も手伝い、ようやく一般の方々にも彼の国の文化や歴史に関する認識が深まって来ました。ですが、ほんの数年前まで、お坊さんでさえインドに仏教を復活させたアンベードカル博士の名前すら正確に覚えてない人がいたのですから、今となっては笑い話ですね。
 さて、今年の生誕祭。司会進行を務めたのは中学生男子コンビ。
詰襟の子が日本語で、ブレザーにネクタイの子が英語で、見事に大任を果たしてくれました。

 先ずはパーリ語勤行から。続いて、協会の基本的活動である奨学金支援の説明と、今日までの経過報告。これはアンベードカル博士の教え「教育を受けることはすべての人が生まれながらに持つ権利であり、誰もこの権利を否定できません」によるものです。
 インドの被差別階層には今もって〝学校へ行く暇があったら親のために働け/さもなくば身を売れ〟という考えが残っており、その背景にヒンドゥー教のカースト制度があるからこそ、人間平等を説く仏教の復興が社会正義の面からも必要なのです。

 プログラムはエンタメ・コーナーへと移行し、子供たちによる仏教クイズ王決定戦。高難度の問題に、機転を利かせた子が映画『スラムドッグ$ミリオネア』(クイズ・ミリオネア)のヒントを真似て「オーディエンス!」と言い放ち、場内は大爆笑。

 少女らのダンス競演。民族衣装を身にまとい、古典を披露した娘や創作舞踊を演じた娘など、可憐な飛天女の舞いでした。

 インドの幼稚園や小学校では定番の、偉人コスプレ。ひょうきん者のアンベードカル博士(?)と、マザー・テレサの歴史的コラボです。

 女性デュオが歌うアンベードカル讃歌。現代仏教徒のシンボルカラー︰青色のサリーと、闘志の象徴でもあるターバン(ヒンディー語ではパグリー)を被り、女性の解放と自立を熱唱しました。

 そして大団円、これぞインド!というべき「歓喜踊躍(かんぎゆやく)」の炸裂。彼らにとって、『アンベードカル博士生誕祭』とは祖父母の代まで(!)泥土に組み伏せられて来た差別からの解放記念祭であり、人間としての「私たちの誕生会」なのです。

「ジャイ・ビーム!」

 最後になりましたが、解放の父︰アンベードカル博士の仏教をインド社会の中で実践しているのが〝元〟日本人、佐々井秀嶺師です。
現在わが国で暮らすインド仏教徒のうち、成人以上の多くは、赤ん坊のとき佐々井師に抱かれて祝福を受け、長じてのち門出の際には師から激励を受けて、日本へやって来ました。
 すべては佐々井上人のお蔭なのです。

菩薩道のひと︰佐々井秀嶺師

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