素敵な体
先日、娘に、お母さんもっとお洒落してよ、と言われた。
若い頃から、身に着けるものに、あまり興味がわかない。
まったくないわけではなく、お洒落な人を見るのは好きで、いいなあとは思う。それで、よし、明日からお洒落しよう! と奮起したところで、お金もかかるし、まずなにを買ってどう着たらいいのかがわからない。
服は、布1枚被っただけでいいなら、それでいいし、裸でもかまいません恥ずかしいことではないですよ、と世界中がそうなったら、裸で歩けて楽だな、と思う。
もともとそんな感じなので、子どもができてから、より拍車がかかっている。人に会わないので、お洒落な服を着ていく機会もないし、子どもに汚されたり引っ張られたりするので、綺麗な服を買っても、結局タンスの奥にしまってしまう。夏休みは、暑くて服が早く乾くのをいいことに、毎日同じ服を着ていた。
人類は、なぜ服を着なければいけないように進化したのかと、たまに考える。動物みたいに、体毛をもじゃもじゃにして、夏は毛を薄く、冬は濃く、そうやって調節できたのではないか。
だけど、おそらく人間のことだから、裸で年中過ごせるように進化したとしても、他人との差別化を図ろうとするのだろう。全身にもじゃもじゃ生えた体毛をかわいい模様に剃ってみたり、三つ編みに結んでみたり、カラフルに染めたりするのだろう。それで、自分の素敵な体をSNSにアップして、いいねをたくさんもらったりするのだろう。