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【物語る句Ⅰ】『夜の刀』:連句形式を基に

夜の刀

秋天を仰ぐや君に逢へぬまま
 はるかに暮るる緋の色の池
あの日より後ろ姿の地上にて
 芒の中に亡くせし欠片
野分なら許されるのか我儘は
 手の無患子のかすかに震へ
笛の音に貫かれたる満月の
 一つになりし胡桃の記憶
龍淵に潜むわたしが女なら
 夜の刀を呑みて永遠

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<物語る句について>

ご笑覧いただきありがとうございます。

創作の舞台裏を語るのはヤボと重々承知の上で。

小さい時からずっと好きな作品があり
「いつかその作品について句のかたちで詠めたら」というささやかな夢がありました。

どうしてよいかわからないまま時は過ぎ。
五年ほど前に連句(歌仙)と出会いました。

連句については

http://misimisi2.blogspot.com/2009/09/blog-post_08.html

何回か連句に参加した後
「これって、句のかたちで物語ること、
一人語りが可能な形式かも?」
ふと思いました。

俳句を並べるだけしか
今は力不足でできない私ですが、
「575」「77」の繰り返しの連句形式なら。


そして、ある日この10句が浮かびました。

当然ながら連句のルールを無視したつくりです。
そのため題に「連句形式を基に」と敢て付しました。

元の物語は今もおそらく
「私」という人間の原点といえましょう。
自分が好きなものを俳句および連句のルールや形式を借りつつ、それらの世界観とは違うかたちで詠んでいきたい。

物語ることのできる句。

そんなものをいつの日か生み出すことができれば。

今後も季節を変えて取り組みたいなと思います。

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