ラオスできこえる音
音は、目が覚めたときに、一番最初に感じるものだと思う。
寝ぼけていて視覚がはっきりしていなくても、音は無意識に、すっと入ってくる。
例えばいつもと違う場所に泊まった時も、起きた瞬間にその場所独特の音がするから、「あ、今日はいつもと違う場所に来てるんだ」と気づく。
それくらい音というのは身体にしみこんでいって、記憶と結びつく。だから、そんな「音の記憶」を残しておきたい。
今住んでいるボリカムサイのパクサンで聴こえてくる音は、鶏の鳴き声と、季節によって変わる虫の声、そして大家さん一家の話し声。少し遠くに、家の前の道を走るバイクの音も聴こえる。今は雨季だから、雨の音も強くなったり弱くなったりしながら聞こえてくる。
最初は鶏の声がうるさくて眠れなかったし、大家さん家族の声が急に聴こえるとびっくりしていたけど、今では心地よい"音"になっている。
先日、パクサンから80kmほど離れた、ナー村というところにホームステイをした。お世話になっている生産者さんの16歳の孫の女の子のベッドで一緒に寝させてもらった。
次の日の朝、目覚めると、隣で寝ていた女の子はもう先に起きているようだった。そのままベッドの上で目をつむったまま横たわっていると、耳に入ってくる音が、なんだかとても心地よかった。
鶏の声と、それについていっているひよこたちのチュッチュッと鳴くような声、そして朝の光を想像させる明るい鳥の声、料理を作っているのか、包丁でまな板を叩く音、同じ家の中にいる生産者さん家族の話し声、それらすべてが混じり合って、「あたたかい村の音」を作り出していた。とても優しい音たちだった。
そんなラオスで聴こえる音がとても好きだ。
自然の中で生きている感覚、そばにいてくれる人たちの声がくれる安心感。
「今ラオスにいるんだなあ」って思わせてくれるそんな音と暮らす毎日を、大切にしたい。
いつかまたこの音たちを聴くことがあったら、ラオスのそんなあたたかさの中で過ごしていた時間を、すっと鮮明に思い出すことができるかな。
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