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映画館で観たかった...「TAR」

観終わったあとに
「これは映画館で観たかったな…」
と心の底から思った作品だった

ケイト・ブランシェット演じる
オーケストラ指揮者の光と闇を描いているので
演奏シーンが何度かあり、音響システムの整った映画館で観たら
より作品に集中できただろうなと…

それだけではなく
映像も陰影があり、とても美しく
主人公の光と闇の部分を映像でも表現しているかのように思えた

ケイト・ブランシェットはとてもとても大好きな役者さんで
「エリザベス」という作品で美しさにハッとし
リプリー、耳に残るは君の歌声、バベル、ベンジャミンバトン、
ブルージャスミン、キャロル…ぱっと思いつくだけでも
話題作にたくさん出演されているけれども
作品ごとに全く違う役を演じられ
また、歳を重ねるごとに、ただ美しいだけではなく
深みが増しており、シワも美しい!
女性が憧れ、理想とする女性像
そのものなのではないかと思える

そんなケイト・ブランシェットが指揮棒を振るシーンが
とても美しく素晴らしい!
監督のトッド・フィールドが
ケイト・ブランシェットに主役を演じてもらいたく脚本を執筆した
と何かで読んだのだけれど、そう思って執筆するのも頷ける!

指揮者としても、作曲家としても地位と名声を手に入れ
頂点に上りつめた主人公が、スランプに陥り
少しずつ闇に引き摺り込まれいく様子が
主人公に関わる人たちの表情や言葉も含めて
観ているこちら側も
「誰を信用していいのか分からない」
と言う感覚になり、気づけば作品に夢中になっていた

主人公がとてもストイックで、より良い音楽や才能を追求するあまり
周りがみえなくなっているようにも感じられたが
そのくらい音楽に対してストイックでなければ
地位も名声も得られないのだろうなとも思えた

この作品でとても印象的で心に残ったのは
第一線を退いてもなお、異国の地で指揮者として活動することはやめず
音楽を奏で続けている主人公の「光」の部分を
目撃することができたことだ

人生、ずっと頂点に君臨し続けられるわけはなく
いつか一線を退いたり、何かに失敗したり
うまくいかないことばかりだけれど
何かを好きという気持ちや、諦めずに続ければ
きっとまた何かを生み出すことができるのだろうと
感じさせられる作品だった
私にとっては「希望」を感じられる作品だったことは確かだ

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