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VR機材の広告の主人公にダチョウが起用されたわけ。

こんにちは!DMG(デジタルマーケティンググループ)の中川です。

ナディアDMG(デジタルマーケティングチーム)では、
週に1度、世界のクリエイティブ事例を題材にしたデコンストラクションを行っています。

今回、2017年のカンヌライオンズにて7つもの賞をとった、SamsungのOstrichという広告についてご紹介致します。

「不可能を可能にせよ」をテーマに作られた広告。

空を飛べない鳥、ダチョウが仮想現実(Samsung Gear VRヘッドセット)を通じて仮想フライトシミュレーターを起動した後に飛ぶことを学ぶダチョウについての物語です。

ダチョウがVRをひょんなキッカケでつけてしまい、
空を飛んでいる動画を見て、空を飛ぶことに憧れを抱きます。

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転んでも、昼も夜も、空を飛ぶという夢に向かって日々練習するダチョウに心を揺さぶられます。。
(思わず頑張れー!!!!って応援したくなります><)

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なんと!!!努力を続けることで、誰もが予想できなかった、
”空を飛ぶこと”ができるようになります!

最後にはサムスンからのメッセージも込められています。

We make what can’t be made, so you can do what can’t be done.
(我々は作るのが困難とされているものを作ります。だから、あなたも不可能と思われていることをやってみてください。)

このCMは言葉がない動画なのに、内容がしっかりと伝わってきます。

CMを見た多くの人が「まるで短編映画を見ているように美しく、心に響く動画だ」と称賛しました。

何故あえて人を使わず「ダチョウ」を起用した広告にしたのか。

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VRのCMって、人間がVRを使って凄ーい!って感動しているもののイメージですよね。

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今回は

全く新しく「ダチョウ」がVRを体験することで、絶対に出来なかったこと(ダチョウは飛べない)ができるようになる。

という斬新な動画だと感じた方も多いはずです。

その理由を調べて考えてみた所、以下2点が挙がりました。

①VRは既に市場に出回っていたので商品の新しさを紹介するための広告にしたかった

新しい=人の脳に残る。

人の脳には、黒質/腹側被蓋野(SN/VTA)と呼ばれる領域があり、
学習や記憶に関して重要な役割を果たしている「海馬」や「扁桃」と呼ばれる脳の領域と密接に結びついています。
”SN/VTA”は、「絶対的な新しさ」の刺激を与えられた時だけ活性化します。

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VRは新しい商品ではあるものの、最新バージョンが出たとしても人は商品や広告に対して
従来通りの宣伝方法では「新しさ」を感じることができないのです。

今回のCMでは、従来では考えらえれなかった、

ダチョウ(Ostrich)がVR体験をし、絶対にできないと言われていた夢を叶える

というインパクトの強い動画で、人の心に刻み込まれています。

また、Ostrichという単語には「現実逃避者、事なかれ主義の人」という意味も持ちます。

動画のメッセージとリンクしていますね。

②Samsungのブランドの方向転換

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Galaxyは、2016年頃から製品とエンジニアリングの能力に重点を置いたものから、
日常の人々に人間の利益を提供することに重点を置いたものへと進化し続けています。

この移行を達成するために、最初にブランドイメージを統合し、
その後、製品ではなく人を主な対象としてクリエイティブキャンペーンのテーマにし、
Samsung=人々の生活が豊かになるものを作る会社ということが伝わるきっかけとなった。

本事例で参考になるアイディア

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商品の凄さを伝えるCMではなく、ブランドイメージを人の心に刻むことに注力した広告動画になっている所に魅了されました。

ダチョウの些細な表情や仕草が心理描写にリンクしているところが
完璧に擬人化されていて、ダチョウを応援したくなる動画なので、
企業の利己的な部分がうまく隠れ、気持ちが良く心に刻まれます。

商品の権威や情報を伝えるCMではなく、ブランドイメージを人の心に刻む事で
「このブランドの商品だから買いたい」と思ってもらえるようになるのではないでしょうか。

この事例のような、ブランドイメージで人の信頼を得て商品購入につながるのは私も凄く勉強になりました。

営業の時にナディアのクリエイターメンバーのスキルの高さで発注していただくのも勿論大切なことだと思いますが、
お客様からもっと「中川さんだから発注したい」とおっしゃってもらえるように日々精進しようと思いました!


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