見出し画像

フィルムの事、どのくらいご存知ですか?

こんにちは!NadiaのYです。
外資系広告代理店のアートディレクターを出自とする私にとっては、フィルムって、とっても大切な存在なんです。
写真はいまや欠かせないコミュニケーションツール。でも実はここ10年くらいの事です。

「映え〜」を求め当たり前のように気軽に写真が撮れる日常

SNSが日常となった今、写真を撮ることは食事をするくらい日常の行動となっています。
それはスマホにカメラが当たり前のように入りデジカメが普及しているから。
ほんの10〜20年くらい前までは写真を撮ることはそんなお手軽ではなかったんです。

1995年 CASIOから「QV-10」というデジカメが発売されたのが一般的になった走りだったと記憶しています。

でも当時の風潮といえば「フィルムでないと写真とはいえない」
という認識でまだキワモノでしかない存在でした。
なぜならそのスペックは総画素数25万画素、撮影画像サイズ320×240ドット
2MBのフラッシュメモリを内蔵し、96枚まで保存可能

20年前のデジカメと比較した記事はこちら (デジカメWatchより)
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/special/20th/1012201.html

かくいう筆者もカメラマンに指示出しをするArt Directorという生業で、
写真も趣味としておりましたが、初めてデジカメを購入したのが2001年
娘が生まれた時でした。(ついてきたメモリーが8MB!!)
娘より先に生まれた息子の赤ん坊の頃の写真はフィルムしか無いので、デジタルデータは無いです。

写真って。

では、当時って写真はどうしてたの?と思われるかもしれません。

スマホ(その前は携帯と呼んでましたね。いわゆるガラケー)が普及している今となっては
それが無かった頃どのように生活していたか想像もつかないかもしれませんが、
昔は外出する=連絡がつかない。
待ち合わせする時は場所と時間を決めておくのが鉄則。
電車が止まったりお腹が痛くなっていけなくなってもそれを伝える術は無いのが当たり前でした。

写真も同様に大きな金属の塊(今のデジタル一眼はその名残のサイズですね)を首からぶら下げて出かけないと撮れない。
コンパクトカメラというものもありましたが、それでも今のスマホのサイズで暑さは4〜5倍くらい。
それにフィルムというものを詰めて撮影していました。
(今で言うSDカードのような存在)

フイルムで撮影するカメラをデジカメと区別するために銀塩カメラなどとも呼称します。

フィルムって。

ではフィルムってなんでしょう?

Wikipediaによると

写真フィルム(しゃしんフィルム)とは写真撮影(映画も含む)において、カメラによって得られた映像を記録する感光材料であり、
現像することにより記録媒体となるフィルムのこと。かつては、家庭用カメラの感光材料として広く普及し、単に「フィルム」と呼ばれた。

写真フィルムは、写真や映画などの映像を、感光剤の化学反応を利用して記録するメディアである。カメラ等を使用して、
フィルムを実像に露出して感光させ、潜像を生成した後、現像・定着・焼き付けといったプロセスを経て「写真」を得ることができる。

とあります。

まぁ、こう書かれてフィルムも使ったことのない人にはピンとかないと思います。
一般的にはこの円筒形のものがフィルムです。

画像1

これをカメラの中に入れてセットします。「写るんです」でフィルムに親しんでいる方もいると思いますが
あれも中にこれが入っておりこれにプラスチックのレンズをつけて単体で使えるようにしたものとなります。

画像4

そうして裏蓋を締めて撮影準備完了。ここに光を当ててることによって
像が写ると言う仕組みです。(日光写真って知ってますかね?あれのもうちょっと精度の高いもの)

従って、一度閉めた蓋を開けちゃうと感光して撮影したものがダメになります。
この円筒形の中に感光剤のフィルムが巻いて入っているので、どんなに多く撮れてもフィルム一本で撮れるのは36枚が限度。
しかも、その場では見れず現像所に出して2〜3日待たないと何が撮れているか見れない代物です。画像3

現像して上がってくるのがネガと呼ばれるもの。ネガという呼称の通り被写体の明暗や色が反転した画像の為、
このままでは何が写っているのかはわからない。なので当時は必ずプリントしてもらうのがセットでした。
お父さん、お母さん世代だとアルバムがいっぱいあるのはそれを整理した証。

ここまでは一般的な写真のお話。

ネガではなくポジ(リバーサルフィルム)というものもあり、印刷や広告などではもっぱらこちらを使って撮影しました。
現像の手順が必要なのは同じですが温度管理や乳剤管理を厳密にしてちょっと神経質に扱わないといけない代物。
その分発色やカメラの特性、その場の空気感などが写り厳密に撮影されたフィルムを眺めるのは非常に美しい絵画を見るようでした。

画像3

そして、フィルムにはいくつもサイズがあります。
PhotoShopを使う方は想像しやすいかと思いますが、画像サイズが大きい方がより高精細で大きく引き伸ばせる画像になります。
これはフィルムも同じで、大きなポスターにする広告写真では
一般にフィルムと呼ばれている35mmサイズでは 役不足だったのです。
(左下の黄色いサイズが一般に認識されているフィルムサイズ、デジタル一眼でフルサイズと呼ばれているサイズもこのサイズになります。スマホなどはこれの1/4とか1/16)

画像5

このさらに上に8×10(通称バイテン)と呼ばれるサイズがあり、使用用途によってサイズを検討して使い分けていました。またフィルムにも様々な種類がありカメラマンと相談して表現用途によってどのフィルムを使うかなども相談していました。

おっさんのセンチメンタリズムかもしれませんが、このようなお話をさせていただいたのはアナログレコードが今再評価されているように、何千万画素になってもフィルムには敵わない表現力があること。

もっといえばスポーツや自然の営みに意味もなく感動するように、演出の入った合成ではなく一瞬の切り取りとして写し撮られた画像は、そこに至るまでに様々な苦労やアイデアを振り絞ったものとして雄弁で敵わない表現となりうるものであるという拘りを表現手法として感じてもらえればと思ったからです。

興味を持ってチャレンジしてくれる方がいれば嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?