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秋です、栗きんとん

東京では、ほとんどの人がお正月の甘露煮を思い浮かべる『栗きんとん』。
名古屋で生まれ育ったわたしは、まったく違うものを想像します。岐阜の中津川や恵那でつくられ、この時期になると店先に並ぶ、上品で素朴な味わいの和菓子です。
「上品で素朴な」というと真逆のようだけれど、このお菓子にはぴったり。蒸した栗と少しの砂糖だけを材料に、甘過ぎずほろりとした食感に仕上げられていて、小さくひと噛みするだけで、山里の栗の香りが広がります。

子供の頃、学校帰りのおやつに出ると、弟とふたり「やった!」と小躍りして喜んだものでした。母が『すや』(中津川の老舗でわが家のお気に入り)の箱を開けながら「食べ過ぎたらいかんよ」と釘をさしても、ひとりいくつ食べるか取り合いに。一気に三つも四つも食べて叱られたことも。

懐かしい記憶と、秋を連れてきてくれる『栗きんとん』。今年も美味しく頂きます。

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