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24.07.11 関心領域【映画感想】



(映画のネタバレを大いに含みます)




自分の生活圏にない音がずっと聞こえてきていて違和感があった

機関銃、飛行機、人の叫び声、列車の音は分かったけれど、それ以外にずっと聞こえる音がなんなのか分からなくてあまり怖くなかった。なんの音だったのかが知りたい。副音声?で(○○の音)ってテロップを出してそれを見ながら観たい

視界の端々に人の死を彷彿とさせるものが映っていて、最初はうわぁとなっていたが、途中からミッケ!みたいな感覚になっていた

長靴を洗うところで、一瞬血が流れる描写が映ったところで、一瞬だったから理解するのがワンテンポ遅れた。人の死に関するものが視界の端々や音(映像として出てこない)とか、一瞬しか映らないのは、登場人物たちの、自分たちの世界(価値観)にとって気に止める程のものでは無いという表現なのかなと思った。

花が怖い。赤を中心に暖色の花しか映らず、中心がぼやけた加工をされていたり、BGMも恐怖を煽るようなものになったなと思ったら1面の赤。困惑しながら、どんどん酷くなるユダヤ人虐殺を表してるのだろうかと思いながら見ていた。

画面が白黒になり、減算加工をしたみたいな場面になった時、初めは何をやっているのか分からなかった。ユダヤ人が労働をしているのかと思ったがそれにしては子供一人はおかしい。手元がアップになった時、リンゴを土に指しているのだと分かった。それでもその時は何をやっているのかが分からず、二回目に同じようなシーンになった時に、子供が収容所の人に食べ物を分けているのだとわかった。とても不安になった。見つかった時の処罰が大変なことになりそうでとてもきがきじゃなかった。その子がユダヤ人の人の曲の楽譜を拾って弾いている時、歌詞の字幕が赤かったのが怖かった。あれは何を意味していたのだろうか。

おばあちゃんや赤ちゃんの、収容所から聞こえたり見えたりするものに恐怖を感じる様子を見て、やっぱり気になるよなと思ったが、元々そのに住んでいた家族にとっては音も景色も光もそれが普通なんだよなとも思った。自分にとっての異常が、他人にとっては普通、その逆もまた然りということは現代にも通ずるところがあると思った。大量虐殺の方法の会議で、自動で火が炉の中を回ると言っていたが、灰を片付けている時に火が来ないのだろうかと思った。

この作品で1番好きなのがラストのシーンだ。主人公が階段を降りるところ。むせているのは自らの死の暗示、階下に行くにつれ暗くなる階段は、自分達ナチスがこれからたどる道の暗示だと思う。その演出がBGMもなく、無機質で暗くて怖くてとても好きだと思った。
現在のアウシュヴィッツ強制収容所の展示映像が流れ、主人公たちナチスの殺した人、殺害道具(炉など)が映される。それでもくらい階下へと進んで行くのが、本来見えているはずなのに見えていると認識しないまま過ごしていくことがまざまざと見せられ、自分にも当てはまると思った時にぞくりとした。



そこであのエンドロールである



エンドロールが流れ始めて私は、この映画を見に来たことを少し後悔してしまった。人の声のようでそうじゃないような不協和音が、一定のリズムに合わせて鳴り響いている。

人の叫び声と雑踏から聞こえる声の中間のような音がずっと鳴り、逃げ出したい衝動に駆られた。しかし、そこで逃げてしまえば作中の人間たちと変わらない、見えているはずのものを認識しないことになるため本当に気がおかしくなるかどうかも含めて最後まで見続けた。足先から冷えていく感覚、ジェットコースターに乗った時のような左右が入れ代わり感覚が分からなくなる心地、プラグとジャックが接続不良を起こしている時のブツッブツッという耳鳴りが始終していた。
結果として気がおかしくなることは無かったが、悪夢を見た時のBGMとして流れてくるだろうなと思った。


自分の経験や知識のなさから、理解の及ばないところが多いため、他の人の感想、考察を見たりパンフレットを読んだり、原作小説を読見たいと思う。そうして知識を入れたあとに関心領域を見ると何が見えて来るのか、とても楽しみだ。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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