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戦略人事:求めよさらば与えられん(不安なのは未来が分からないからだ)

■多分間違っている

「求めよさらば与えられん」は「物事を成就するためには、与えられるのを待つのではなく、みずから進んで求める姿勢が大事だということ。」らしい。しかし、戦略人事においては、これは正しくはないと思う。相手から求める姿勢しか見せないことが就活生の不満に気がつかない原因ではないかと思う。

いろいろな調査結果を見ていると、内定辞退、早期退職は「ミスマッチ」ではなく、未来に対する不安なのだと思う。これは「成長の実感が得られない」ということとも一致する。自分のしたい仕事でなくても、その職種を企業側の希望で進める「ジョブ型雇用」であれば、不満を解消する手段とはなり得ない。

○人事制度改正 ジョブ型や行動評価を導入 選考で事務・技術系マッチングも
2023年5月24日

三菱電機(東京都千代田区)は来年4月1日以降入社の新卒採用から、応募・選考段階でさらなるジョブマッチングを行う制度を新たに導入した。

事務系職種採用では、採用内定後に適性や本人希望を踏まえて配属を調整・決定する「オープンコース」を適用してきたが、技術系職種と同様に応募・選考段階で入社時の配属先をあらかじめ定めることができる「職種確約コース」を新設した。「経理・財務」「資材調達」「人事・総務」「法務・知的財産渉外」といった職種ごとに募集コースを設置し、採用活動に配属先となる職種の従業員が積極的に関与。明確化した配属後の業務イメージを応募者と共有することで、選考段階で離脱や入社後の配属希望とのアンマッチを防ぐ。

https://roukijp.jp/?p=5641

■成功のための要因

もちろん、ミスマッチを防ぐ手立ては重要だが、それだけでは十分ではない。最も基本的な勘違いは、企業側に「自分たちは相手の人生の時間を奪っているのだという認識」がないことだろう。すべての人事施策の出発点は「自分たちの企業」になっており、そのための「駒」をそろえることである。

そこには、一人一人の人生に寄り添うという姿勢は皆無だと危惧する。そんな相手に絆など感じることはなく、いわゆるロイヤリティは醸成されるとは思えない。

○「世界的に見て低水準」な日本の従業員エンゲージメント 「最も低い世代」は?
2023年04月28日

調査では、従業員エンゲージメントの定義を「ワークエンゲージメント+組織コミットメント」とした。ワークエンゲージメントとは、仕事にやりがいを感じたり、夢中になったりするポジティブな心理状態のこと。これが高い人ほど仕事で新しい挑戦をし、成長していると感じていた。組織コミットメントとは、会社への帰属意識や貢献意欲のことであり、高い人ほど今の会社で働き続けたいと思っていた。

ワークエンゲージメントに影響を及ぼす要因を調査したところ、役割の明確さや仕事の意義などが、スコアに影響することが分かった。自分の仕事の役割が明確であり、やりがいを認められる際に、ワークエンゲージメントが高くなる。一方でスコアが低く、悪影響を及ぼしているのは、公正な人事評価やキャリア形成、上司のリーダーシップといった項目だった。職場や上司からのフィードバックが十分でなかったり、コミュニケーションが一方通行であったりすると、ワークエンゲージメントは低くなった。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2304/28/news103.html

もちろん、抗したことは調査結果としては尊重すべきであるが、ここに垣間見えるのは、会社側がいくら働きかけても、受け手側がそう思わないのであれば「のれんに腕押し」になりかねないと云うことだ。

お互いが欲しい欲しいと言い合っているうちは解決しないだろう。

■人事施策を、与えるという視点で話し合うこと

職種を選ぶにしても、入社後の異動にしても、何が正解かは分からない。
したがって、お互いが自分と相手を知るところから始めなければならない。それは、単に目の前の能力・スキル、適性だけではなく、長い目で見たお互いの成長がテーマであるべきである。
その時に、多くの選択を行なうが、それが自分自身で決めたことならば後悔はないだろう。

○適材適所を人事はどう実現する?鍵は従業員自身の「選択」
2023.05.25
https://mag.smarthr.jp/hr-management/personnel-change/tekizaitekisho/

こうしてみると、「ジョブ型雇用」に関する経営者の心根は「優秀な人材が欲しい」という欲望での動いていることが分かる。

もう一度振り返って見よう。

<閑話休題>

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