ジョブ型雇用人事制度のために(今のジェンダーギャップを残してはいけない)

■ジョブ型雇用への懸念:評価制度

2000年頃に「目標管理制度」が導入されたときに、これを「成果主義」と結びつけたために、本来の目標によるマネジメントが機能しなくなった。期首と期末にしか見ない目標などを、普段漫然とその人の活動を見ているヒトに評価できるわけもなく、結果として政策的に決定される。

例えば、SABCDなどの各評価の分布が中間から釣り鐘餓状になっていることからも分かる。
現在の評価制度への不満は下記記事でも指摘されているとおりだと思う。

○会社の評価で不満が多い点、「基準が不明瞭」「努力の無理解」、もう一つは?
2022/06/09

人事評価に不満を感じている会社員に「不満に思うこと」を聞いたところ、「評価基準が不明瞭」(63%)、「評価が給与と結びついていない」(46%)、「頑張りや努力といったプロセスが評価されない」(40%)が上位3つをなっている。

https://news.mynavi.jp/article/20220609-2362766/

ジョブ型雇用の要諦は「ジョブの定義」とこれに伴うジョブに対して給与が支払われるというメカニズムだ。従って、与えられたジョブが遂行できているのかどうかの判断は賃金にダイレクトに関わるので重要である。

この判断が上記のように「評価基準が不明瞭」となったら台無しである。
「いや、ジョブが明確になるので不明瞭ではないだろう」と反論するかもしれないがそれは間違っている。現在の目標管理制度でも「目標」は具体的に示されるだろう。問題は、「達成しているかどうかを部分的な活動しか見ていない」すなわち不完全情報で上司が年に1度まとめて行なう評価では、一帯目標がどのように達成されたかをどう判断したのかが不明腸だと言うことだ。

上司に聞いてみるといい。「一体私の何を見たのですか?」

これを放置していてはジョブ型雇用は機能しない。

■意気込みだけで旨く行くとは思えない

○役割の大きさや成果で評価する人事制度を導入した日特陶、取締役が語る狙い
2022年06月09日

日本特殊陶業は、4月から管理職や専門職を対象に役割の大きさや仕事の成果によって評価する新人事制度「役割等級制度」を導入した。賞与では評価基準を明確化し成果に応じて額に差をつける。長期経営計画で主力の内燃機関向け製品に頼らない事業構造への転換を目指す。業界が変革期を迎え、求める人材が変わる中、創造性豊かな人材の育成につなげる考えだ。

https://newswitch.jp/p/32478

気持ちは分かる。しかし「評価基準を明確化し成果に応じて額に差をつける。」ことに対する納得性を置き去りにしているとしたら旨く行くとは思えない。

こうした記事についてはフォローアップの取材を期待したい。(見たことはないが)

■根深いジェンダーギャップ

同じ記事の中で、下記の記載がある。

能力以外に人事評価(給与・昇格)に影響がある項目」を聞いてみると、外資系企業では「上司の好み」(59%)、「学歴」(31%)、「男女の性差」(30%)がトップスリーだった。そして、日系企業では「上司の好み」(72%)、「男女の性差」(56%)、「学歴」(40%)という結果だった。

本来、ジョブにだけ視点がゆくはずなので「性差」が評価に左右するようでは評価の信頼性はなくなる。

いままでの評価制度を廃止することを薦める。
ヒトがヒトを評価するのはバイアスがかかるし、そもそも評価する側が男性ではジェンダーギャップは解消されない。
調整は必要かもしれないが、ジョブの達成度合いは自己評価だけにして、それを受け入れるかどうかだけの判断を会社がするべきだ。それに対し対価を示し、お互いの合意でビジネスを薦める方が良い。

<閑話休題>

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