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システム思考:演繹法と帰納法(トヨタとVWの戦略)

■思考方法の違い

演繹法と帰納法については、ネットで検索すれば出てくるのでここでは省略する。
誤解を承知で言えば、「演繹法的な行動」は「こうすれば旨く行くという確信の元、順番をおって行なう行動」であり、「帰納法的行動」は「確信はないがいろいろやって行きながら調整して行く行動」で対比して考えると少し分かりやすいかもしれない。

なぜこんなことを思ったのかと言えば、欧州のガソリン車規制が2転3転するからだ。完全禁止と言ったかと思えば、「やはり無理」ということで、一部解除した。一般的に朝令暮改はよろしくはないという評価だが、彼らはそうでないのかもしれない。それはややもすれば「2枚舌」や「無責任」につながりやすい。

○フォルクスワーゲン、一時的にEV減産へ 予想を下回る需要 「顧客の強い抵抗」と従業員 
2023.06.29

フォルクスワーゲン・パサートをはじめとするエンジン車の生産は変更なく継続されるが、EV生産ラインの従業員の休暇は1週間延長された。

さらにヴルフ氏によると、エムデン工場で現在雇用されている1500人の臨時従業員のうち300人は、2023年8月に契約が更新されないという。従業員には今週月曜日にEVの減産が伝えられた。

フォルクスワーゲンは現在、ドイツ国内の4工場(エムデン、ツヴィッカウ、ハノーバー、ドレスデン)でEVを生産している。

https://www.autocar.jp/post/945524

状況に応じて、簡単に生産計画を変更するので従業員からの圧力にさらされるだろうが、これは日常茶飯事なのだろう。

一方で、下記の記事は別の意味で目を引く。

○トヨタ、「全固体電池」市販時期を明言...新戦略発表の衝撃 一気にゲームチェンジへ! トヨタのEV反撃は「本物」か
2023年06月26日

トヨタ自動車が全固体電池を用いた次世代のバッテリー電気自動車(BEV)の市販を目指す新たな戦略を発表し、業界に波紋を広げている。

トヨタは2023年6月13日、全固体電池BEVの発表をした。これに呼応するように、経済産業省は16日、トヨタのBEV用電池の開発と生産に最大約1200億円の補助金を出すと発表した。

トヨタの技術革新への期待は官民ともに大きく、経産省と「阿吽の呼吸」での発表とみていいだろう。

https://www.j-cast.com/kaisha/2023/06/26463690.html

■予測可能なリスク

 未来は誰にも分からない。なので安全を重視して「石橋をたたいて渡る」ということは重要である。しかし、そこにあるのは「危険を回避する」こと自体を目的にしてしまい、「安全」と「得られる利益」のトレードオフの片方に偏ってしまう恐れがある。それは、何をするにしても「躊躇」が発生してしまう。
 とにかく「向こう岸に渡ろう」を優先し、途中で橋が落ちそうなら引き返して別の方法を探るという姿勢は、ややもすると「優柔不断」「朝令暮改」を生みやすいがイノベーションを生み出す原動力でもある。
 現在AIに関する技術開発で日本が周回遅れ以上の遅れが発生しているのは、こうしたフットワークの欠落ではないだろうか。
 危険を無視しろというのではない。「まずはやってみる」ことを阻害してはいけない。

 そういえば「やってみなはれ」という経営者もいたな・・・

<閑話休題>

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