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戦略人事:ウエルビーイングと組織運営(反面教師としてのビッグモーター)

■包丁ではなく腕が悪いだけ

○ビッグモーターの兼重社長、組織的不正を否定「個々の工場長がやった」
2023/7/25

中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の保険金不正請求問題を巡り、同社の兼重宏行社長が25日午前、記者会見し、不正請求について「組織的ということはないと思います。個々の工場長が指示してやったんじゃないか。事実確認が取れていませんけれども、それでないとこういうことは起きない」と、組織的な不正を否定した。

経営計画書の記述について〝真意〟を説明。「遊びに行くなら気心の知れた人間と、仲のいい友達と遊びに行った方が楽しいじゃないですか。その延長線みたいな感じで。会社の方針が前を行こうっていって、俺はもう前をいかないといっては、これはもう経営になりませんので。そういうことをあそこでうたっている訳です。どんなに能力があっても会社と一緒に頑張ってくれないと力を発揮できませんよ。そういう意味です」と弁明した。

https://www.sankei.com/article/20230725-XGEQTRCRU5JRFKY5CMH3BL6W24/

「経営計画書」自体は、組織の方向性を示すものであり、違法なことが書いていなければ問題は無い。しかし、それは単なる道具である。それを現場が理解せずに不善を働くとしたら、それは経営者の責任である。

「料理が旨くできないのは包丁のせいだ」と言い放つ料理人をそのまま使い続けることはしないだろう。

■経営者の責任としての働く環境の整備

「儲けてこいと言って儲けてこれるなら経営者は要らない」というのが私の持論である。
では、経営者はどんな役割を担うのだろう。
いくつもの役割があるが、わたしは「働く環境を整備すること」だと思っている。
そのための「経営計画書」や「環境整備計画」という道具は否定しないが、その目的は「社員の働く環境」の最適化だと思う。

それは、単に物理的な福利厚生だけでなく心理的な福利厚生が含まれると思っており。それは社会の要請であり、経営にビルトインが要請される近年の潮流だろう。

それは以下のような概念が重視される背景になる。

(ウエルビーイング)
従来の健康が身体的に良好な状態を表す狭義の概念であるのに対し、Well-beingは身体的・精神的・社会的にも良好な状態、とより広い概念を表していて、また「状態」としていることからも一時的・瞬間的に良好かどうかではなく、持続的に良好であるとしていることがその特徴です。一方で、幸せと訳されることの多い「Happiness」は一時的・瞬間的な、精神的な面での幸せを表します。Well-beingはこのHappinessを包み込むような一段大きな概念です。https://www.persol-group.co.jp/sustainability/well-being/about/ より

(心理的安全性)
心理的安全性が高い状況であれば、質問やアイディアを提案しても受け止めてもらえると信じることができ、思いついたアイディアや考えを率直に発言することができます。
例えば、旧来の手法への提言や革新的なアイディアについてオープンに話し合える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いといえるでしょう。https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000230/ より

こうしたことは投資要件になっており、以下のk時でも確認できる。

○経営アジェンダとしてのウェルビーイング
2023.6.19

ウェルビーイングという言葉からは、ヘルスケアやビューティー等の特定業界にしか関係のないテーマと思われるかもしれないが、実際は、後述するような理由から、業種に関係なくパーパスや経営理念、経営戦略にウェルビーイングをビルドインし始めている企業が増えている。

 しかし、環境サステナビリティへの施策が表面的なものにすぎず、環境団体や投資家から「グリーンウォッシュ」と非難されている企業があるように、ウェルビーイングへの取り組みも正しく実践しなければ、反対に自社の評価を下げてしまいかねない。非財務情報開示の文脈に照らしてみても、内実を伴った具体的な情報の開示が投資家をはじめとしたステークホルダーから求められているのだ。

https://diamond.jp/articles/-/324020

○全業界で重要度が増す「従業員向けウェルビーイング」
2023.7.10

身体的、精神的、社会的に満たされている状態のことを指す「ウェルビーイング」が今、世界的に重要な経営アジェンダとなっている。SDGsの17目標の中の1つとして「すべての人に健康と福祉を」が掲げられたことや、幸福学についての長年にわたる研究の成果が結実し始めたことなどいくつかの要因が重なり、社会的注目の高まりから経営における重要事項へと、ウェルビーイングの潮流が広がっているのだ。

https://diamond.jp/articles/-/324621

■盲目的な服従の危険性

 道具を目的化すると、その背景や目指すべき姿を見失い、組織を考えない組織にしてしまう。いわゆるブラック企業のできあがりである。

○元社員「まるで刑務所」 朝礼で経営計画書読み上げ ビッグモーター
2023/7/28

「経営計画書の〇ページをお開きください!」。毎日行われる朝礼。代表者が声を張り上げると、数十人の従業員が数行ずつ同社の思想を読み上げていく。「まるで刑務所のような光景」(元社員)だった。

月1回、本部の役員らが「環境整備点検」で各店舗を巡回し、不備があると人事考課にも影響した。そのため店舗の清掃時、従業員は「窓の隅々まで磨き上げた」(元社員)という。

https://www.sankei.com/article/20230728-X7RXVCBQDRJ25JO2W2AWBAAOZM/?dicbo=v2-DwzfTY5

企業理念やをクレドという形にして朝礼で復唱させる光景は不思議でもなく広く行なわれている。しかし、そこには、盲目的に従うのではなく、自分対の方向性の確認であり、会社も社員との対話を促す仕組みとのセットで運営されることが必須である。

考えない組織になるかどうかは社長次第である。

○ビッグモーターの“叱責LINE”に驚愕 なぜ社長の息子は「恐怖政治」にハマったのか
2023年08月01日
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2308/01/news074.html

<閑話休題>

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