見出し画像

世間に広がる意味不明:いつまで続く自己都合(彼らの立場を理解しない技能実習生制度)

■技能実習制度を取り巻く政策

いわゆる「技能実習生」の制度は安価な労働力が欲しいというさもしい思いから運用されており、それが成り立たない事業など潰れてしまえば良いと私は思っている。愚かさを露呈する記事を見てそう感じた。

○外国人技能実習廃止となれば…「地方の労働力が奪われる」 受け入れ側、都市部への転籍に強い懸念
2023/04/15

米盛建設(鹿児島市)の東江雄幸総務部参与(65)は「実習生は円安やレートに敏感で家族への送金時期にも気を使っている」と、賃金だけの比較になると地方は分が悪いと指摘する。定着に向けて職場と住居の環境整備や相談態勢づくりに取り組んでおり「できることを続けて信頼を築くしかない」と話す。

https://373news.com/_news/storyid/173680/

安い労働力がなければ成り立たない産業の代表格が農業だという話を聞くが、建設業でも同じなのか?たしかに建設業での人材不足は深刻であることは、以下の記事でも分かる。

○建設業の倒産が急増。資材高・人手不足・工期長期化の「三重苦」
2023.04.14

建設業では人手不足も加速。労働人口の高齢化や比較的低い給与水準、建設業の需要拡大などがネックとなり、建築士や施工管理者などの有資格者が不足。2022年度には、人手不足倒産全体のうち、4件に1件が建設業だった。そうして建設現場では、「資材不足と価格高騰」「人手不足」が常態化。結果、工期も「ずれ込む」悪循環に陥る中小零細企業が目立ち、業界の倒産率を引き上げている。

https://forbesjapan.com/articles/detail/62341

しかし、「安い労働力」に頼るビジネスモデルはいつか破綻するだろう。なぜなら、日本以外で高い賃金で働けるなら、日本に来る必然性はない。

■ちぐはぐな外国人労働者に対する政府の施策

人口減少や人材不足を補う切り札と考えているのだろう。
様々な議論が進められているようだ。

(1)技能実習制度の廃止
4月10日、政府の有識者会議で、同制度の廃止と新制度への移行を求める提言が中間報告のたたき台として示されたのだ。

「国際貢献」という建前のもと、人手不足の実質的な外国人労働者受入策として1993年に導入された技能実習制度だが、海外からは低賃金での実習生の酷使について「奴隷制度」などと揶揄され、国内でも失踪技能実習生の不法滞留や犯罪という問題を引き起こしてきた制度の廃止は当然の流れであり、遅すぎた感もある。

(2)新しい高度人材が欲しいという制度
一方で高度人材は欲しいという思いがあるのだろう。報酬という餌を用意しようとしている。

○外国人材の新制度、21日開始 年収2千万円で高度専門職
2023/04/14

 出入国在留管理庁は14日、知識や技術に優れた海外人材の獲得を促進する新制度を21日に始めると明らかにした。現在の「高度専門職」の在留資格の取得要件は複雑だが、「特別高度人材制度」を新設し、年収2千万円以上で修士号を持っているなど、よりシンプルな要件で同資格を認め、優遇措置も設ける。

https://nordot.app/1019399860522434560

しかし、経営者や当事者である外国人はどう思っているのだろうか。

■労働市場をグローバルという目で見ると

かつて、出稼ぎ労働者がよりよい収入を得たいと思い、都会に出てきていたのは50年近く前で、よりよいチャンスを求めて都を目指すのは1000年以上の歴史がある。

東南アジアの貧しい国々では十区で産業が育ちにくく、裕福さを手に入れることができないために、裕福な国に出向くと言うことは現代の今でも同じである。

動機付けは、「高い報酬」がメインではあるが、「やりがいのある仕事」や「ふさわしい労働環境」も必須である。そのどれかが欠けていれば途端に魅力がなくなる。

地政学的な要素で「移動」の制限があるが、それは時代とともに緩和されたり変質したりする。知的活動であれば、「移動」の制約もない。高度人材であれば、世界中から調達できる。「高い報酬」が約束されないなら、日本来る必然性はなくなる。

現在、人材不足を問題視するが、それは簡単な方法で解決できる。

給与を上げろ!

○「外国人労働者」の受け入れより日本人の賃上げを優先すべき理由とは 元大学教授が考察
2023.04.14

そもそも労働力不足というのは、労働力の需要と供給を一致させる賃金の水準よりも現在の賃金水準が低い、というだけのこと。問題の本質は労働力不足ではなく、賃上げが足りないということなのです。

https://limo.media/articles/-/39180

安い賃金で使える人が少ないと唱える経営者に未来はない。
簡単なことだ。

<閑話休題>

(その他の参考記事)

○倒産が続く建設業  原因はコロナだけじゃなくて人手不足も?
2023/04/20

もう一つの理由は、人手不足です。2022年度は特に人手不足の倒産が目立ち、146件発生しました。2021年度と比べると23.7%増えています。

中でも業種別では建設業が一番多く41件発生しており、これは深刻な問題といえます(帝国データバンク調べ)。

長時間労働や労災の多さ、職人の高齢化などが、慢性的な人手不足の原因と考えられます。

https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/831252.html

○○出入国管理庁、特定技能見直しへ 外国人労働者に永住の道広がる
2021年11月18日

出入国管理庁は、2019年に導入した外国人の在留資格「特定技能」について、全ての対象業種について永住権取得や家族帯同が可能となる形での制度の見直しを進めている。

https://jp.reuters.com/article/japan-immigration-policy-idJPKBN2I308P

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?