戦略人事:採用のための訴求力(ブランド化した教育システムへの挑戦)
■学生の悩みと人事部の悩み
内定辞退、早期退職は、人材不足で悩む多くの企業の喫緊の課題であり、悩みであろう。
一般的には、ジョブマッチングのミス、あるいは雇用条件(福利厚生、賃金、休暇など)に関する意図しない詐称などがあろう。
それに加え、最近では「価値観」の違いなども出てきているようだ。
○Z世代のキャリアづくり 6割は「成長できないなら離職」の考え
2023.03.31
回答者からは、「成長していると実感することで、働くやりがいを感じると考えるから」といった声に加え、「個人としての力をつけないと、今後の社会では生きていけないと思うから」「成長できなければ、給料なども上がらないと思うから」「ある程度成長できないなら時間の無駄だし、今後の自身のキャリアに響くため」などという意見も。終身雇用制度の崩壊を受け、会社に頼らず自らのスキルやキャリアを磨いていく必要性や危機感を理由にあげる学生が多かった。
https://forbesjapan.com/articles/detail/62022
こうした記事はいろいろな見方ができる。
単純に「若者の価値観」と見るのは早計すぎる。
「若者は未来に不安をいだいている」とみるとどんなことが考えられるだろう。
■若者の漠然とした不安
すでに70歳に近くなる自分には想像でしかないが、「会社には行って自分はやっていけるのだろうか」という不安があるのかもしれない。それは、自分が受けてきた教育と実社会で求められるモノのギャップなのかもしれない。
現在、企業は「優秀な人材」をより強く求めてきており、それは「自立・自律」に代表される考えて行動する資質である。しかし、そうした訓練を受けてきていないことを自覚していない子供たちは、いわれのない不安にさいなまされる。
それは仕方がない。
○「日本の学校教育」がオワコンと言える2つの理由
1学級40人なのは「従順な人間」を量産するため
2023/03/18
つまり、産業革命以降の学校は、人間を忠犬にするための調教システムとしてつくられたにすぎないのです。「いえない」「いわない」「いわせない」人間を生産するための組織です。いまもその本質は変わらないので、いつまでたっても、自立しない従順な人間を育てることしかできません。
https://toyokeizai.net/articles/-/657884
すなわち
「あれ(これ)はしてはいけない」
「決められた答え以外は正解ではない」
「大人の言うことは聞きなさい(従いなさい)」
で育てられた子供たちに突然「自立・自律」を求めるのは間違っている。
教育システムを変えるしかない。
学校教育でできなければ企業がそれの責任を負うべきであろう。
■企業の魅力としての教育システム
会社のメッセージとして「成長のための教育システム」を前面に出すことは望ましい。
○キヤノンの“成果”はいかに? 4カ月研修後に「社内転職」
2023年03月30日
2018年には、ソフトウェア技術者の育成を目的とした教育施設「Canon Institute of Software Technology(通称、CIST:シスト)」を大田区下丸子に設立。職種転換を目的に研修を受ける社員は、4カ月間職場を離れて、この施設で学ぶことになる。その後、未経験でありながらソフトウェア技術者として活躍している社員もいるそうだ。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/30/news031.html
○パナソニック コネクトがジョブ型導入 20代の課長が誕生、月給は50%アップも
2023年03月29日
人材育成に関しては、従業員主体の「ラーニングカルチャー」への変革を目指していく。ラーニング機関「CONNECTers Academy」を設立し、職種別の育成体系を設けることで、各従業員が自発的に学べる環境を整えていく。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/29/news185.html
こうした取り組みが功を奏するかどうかはすぐには分からない。しかし、教育システムを充実させることで、「受注機会の拡大」「組織能力の底上げ」だけでなく、会社への信頼が高まることでの「離職防止」、また、就活生への訴求力のアップということでの「内定事態の防止」「採用希望者の獲得」などにつなげている企業を知っている。
人事を戦略的に考えるとはこういうことではないのだろうか?
■その他の参考記事
○Z世代はキャリアを会社に任せない──人事が見る他世代との「違い」
2023年03月24日
Z世代の採用活動や新入社員の受け入れにおいて、他の世代との違いや価値観の変化を感じることがあるか尋ねると、「感じることがある」(24.5%)と「どちらかといえば感じることがある」(33.5%)を合わせて58.0%の担当者が他の世代との違いや価値観の変化を感じると回答した。
価値観の変化を感じると答えた担当者からは、「希望する部署に配属されるかを意識する学生が増えている」「自身のキャリア形成や、ジョブローテーションの制度を意識する学生が増えている」「“やりたいこと”や”経験したいこと”“身につけたいスキル”が明確な学生が増えていると思う」など、自律的なキャリア形成への関心の高まりを指摘する声が寄せられた。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2303/24/news124.html
○Z世代のキャリアづくり 6割は「成長できないなら離職」の考え
2023.03.31
回答者からは、「成長していると実感することで、働くやりがいを感じると考えるから」といった声に加え、「個人としての力をつけないと、今後の社会では生きていけないと思うから」「成長できなければ、給料なども上がらないと思うから」「ある程度成長できないなら時間の無駄だし、今後の自身のキャリアに響くため」などという意見も。終身雇用制度の崩壊を受け、会社に頼らず自らのスキルやキャリアを磨いていく必要性や危機感を理由にあげる学生が多かった。
https://forbesjapan.com/articles/detail/62022
<閑話休題>
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