見出し画像

搾取する経済からの脱却(技能実習生という悪夢)

搾取する経済からの脱却(技能実習生という悪夢)

■中国を世界の工場と持ち上げるゆがみ

今から30年ほど前だろうか、バブルの前後の時期だったか定かではないが、おそらく1990年代に、賃金が安いと言うことで多くの企業が中国に進出して利益を生み出すビジネスモデルを確立したことが始まりだったのだろうか。

当然、国力の差はGDP、引いては物価水準などの差による為替の違いから、賃金水準に差が出ることは否めない。しかし、それを理由に進出する一方で彼らの国に利益還元を怠り、賃金上昇が起きたからと言ってチャイナ+ワンにきり変えるのは問題のすり替えだろう。もちろん、かの国が「独裁国家」であることのリスクはあり、撤退も難しいと言うことは最初から分かっていたことで、お互いが腹黒いとしかいいようがない。

WinWinの関係を築くのは難しく、何かが犠牲になるのはあり得る。
 しかし、誰かを搾取して成り立つ経済は辞めて欲しい。

■彼らは奴隷ではない

ISO9001の審査で、小規模の製造業に伺うことがある。ご多分に漏れず人手不足で、中には東南アジアの出身の人もいる。彼らは、正社員として雇用され差別されていない。(と思う)定着率もいいようだ。

一方、コロナであぶり出されたのは技能実習生という名の低賃金の働き手がいないと成り立たない農家の現状である。まともな賃金を払わない都合の良い労働力で成り立つ産業はなくなって欲しい。
 問題をすり替えてはならない。
 奴隷で成り立つ産業は存在してはならない。

○米人身売買報告書、日本は上から2番目 技能実習の一部「人身取引」
2022年7月20日

米国務省は19日、世界の人身売買に関する年次報告書を公表し、日本に3年連続で4段階のうち、良い順で2番目にあたる「第2階層」の評価をつけた。外国人技能実習制度や児童の性的搾取などについて、継続して問題視している。

https://www.asahi.com/articles/ASQ7N3FLTQ7NUHBI00P.html

外国からの指摘だと言うことでないがしろにしてはならない。世界がそういう目で日本を見ている。いつか、日本が弱い立場になれば、奴隷として扱われるのは自分たちだ。

○「建前と実態が乖離」の制度 技能実習生の「失踪」が相次ぐ背景
2022/7/9

途上国の外国人を最長5年間受け入れる技能実習制度は、日本の技術を海外に伝える国際貢献を名目にしながら、建設や農業、介護などの人手不足を補う安価な労働力として酷使されているという批判が根強い。

https://mainichi.jp/articles/20220709/k00/00m/010/152000c

北海道の花畑牧場の雇用問題、妊娠しても安心して産めないことに起因する事件、待遇の悪さから失踪する事件など、およそ「人」として扱っていないことが分かる。

■人権に無頓着な姿勢の危険性

多くの企業は何らかの形でグローバルなサプライチェーンに組み込まれている。自分たちが使用している原材料が「違法な強奪」で手に入れたものであれば使わないだろうし、使ってはならない。それだけでなく、傍観することも許されない。ユニクロがウイグル問題で第三者的な発言をして株価が下がったことは記憶に新しい。

食品を扱っているスーパーも気をつけなければならない。安い食材の調達で「技能実習生」を使っているとと言うことに目をつぶってはならない。「技能実習生」について記載しているポスターをスーパーで見たことがない。

誰も見ていないと思わないで欲しい。
 少なくとも私は気にしている。

経済は、価値のない場所から価値の高いところにモノやコトを移動(変化)させることで利益を生み出す行動だ。そのためのコストが生じることは理解できる。そのコストを下げたいという欲求は理解できる。しかし、それが「強奪」で良い理由はない。いい加減奴隷に頼る経済から脱却しなければならない。すでに2000年立っている。

<閑話休題>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?