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南伊豆という沼(2023年1月のnote)

このnoteは去年の1月くらいに書いてて下書きのままでした。今回このnoteに続く形での記事を書くために1年超の時を経て後悔します。

今年も早くも2023年の2月が終わろうとしている。
子供の時に比べて大人になるとだんだん新しいと感じる経験が少なくなり時間が早く過ぎていくという説があるが、今年の1月はとてもゆっくりした時間を過ごせた気がする。
そのワケは、1月の後半を普段と少し離れた南伊豆町で2週間を過ごしてきたから。振り返ってみると決まったところ以外に2週間以上滞在するってまああまりなくて、自分も出張とかの仕事とかを除いて数えてみると数箇所くらいだった。

さて、南伊豆町はどんなところかというと観光資源の多い伊豆半島の中でもとにかく自然が豊かなところ、言い換えるととても田舎だった。

田舎といってもどこから田舎なのかという線引きが難しいんだけど、今回行ってみて思ったのはとにかく夜が暗くて静か。笑
まあまあ大きい町なのに町内にチェーンのスーパーが1か所、コンビニが2か所、空き家も多くてとにかく街灯が少なくて夜19時には真っ暗だった。
都会での19時って、仕事がひと段落して、これから飲みに行くか〜みたいな時間なのに対して、南伊豆では19時には1日が強制終了するみたいな感覚だった。
東京で生まれ育ってる自分からすると初めての夜の暗さだったので、これが田舎たるものなのかもしれない。

南伊豆では様々なことを経験したが、滞在期間中にお世話になった街のお弁当屋さんの老夫婦から学んだことについて話したい。
滞在中は基本平日はリモートで仕事をしていたので、街にお店が少なくてとにかく選択肢がない中、毎日の昼ごはんをどう食べるかが重要だった。
そこで到着した日曜に街を散策していると、ある普通の家の壁に目立つ文字で日替わり弁当の文字を発見。自分たち以外にお客さんいないんじゃないか?という感じの雰囲気で、お店というよりは家。でも妙になんだか落ち着くような味だし、結局ここで平日ほぼ毎日お弁当を買って過ごした。笑

このお弁当屋さんは70代の夫婦でやっているお店で、基本的にお店に毎日お弁当を取りに行ってたので立ち話をする中でいろんなことを話してもらったが、そのご夫婦がとにかく南伊豆を愛していて、とても地域に根付いて生活している印象を持った。

その夫婦は1年のほとんどを南伊豆で過ごし、1日の流れは朝起きてお弁当を作って夜は集落でやっている温泉に通うといったほぼ同じ時間の流れを過ごしている。
滞在中のある夜、集落の温泉に連れてってもらった。その温泉は集落が営んでいてお弁当屋のご夫婦は1年間の利用料を支払っているらしく、基本は部外者は入らないようなところだが特別に連れて行ってもらった。
その温泉にはその温泉を作るのに出資なり携わった集落の方の名前が木札にずらっと並んでいて、温泉に浸かりながら「町の先人たちのおかげでここがある」と熱々の湯に浸かりながら言っていた。
この温泉、熱々というかマジで熱すぎて死ぬかと思うレベルだった。
ちなみに連れてったくれたお父さんも熱がってて、「これがいいっていう奴らは年のせいで神経がおかしくなってて熱さを感じなくなっている。」って言っててなるほどなとなった笑

ご夫婦を見ていて思うのは、南伊豆という自分らの住んでる地域やコミュニティをとても大事にしており、地域の営みの上に自分達の生活が乗っかっているという感覚を感じた。
多分そのご夫婦は自分達の価値観とか個人の利害とかよりも地域やコミュニティと共に生きることが最重要で、様々な先人の人たちと同様にその上に自分らも乗っているというイメージだ。
これが田舎で地域に根ざして暮らすということなのかもしれないなと思った。
ある日は、「息子が婿入りし、私たち夫婦もそろそろ寿命だからこの家も空き家になっちまう」みたいなこともさらっと言っていて、死が身近にあるような印象を受けた。想像だけどお彼岸など東京よりもしっかりやる地域では、コミュニティという上において、死者とも近いところに存在するのかもしれない。
そしてそこに他所から来た自分も混ぜてもらい、コミュニティを感じることでその地域がより好きになるなと感じた。観光資源や趣味だけではない地域を愛すること

また、このご夫婦以外にも、南伊豆の人たちからはよくその土地の歴史の話を聞いた。
例えば一番古くは伊豆半島は元々今の伊豆諸島のように島で、100万年前に日本列島に衝突して半島になったことや、南伊豆の小浦(とても魅力的な場所だった!)という港のある集落は昔、航海していた勝海舟や坂本龍馬が風待ちで数日立ち寄っていた漁村で、その頃は遊郭などもあって栄えていたらしい。
みんな楽しそうに話す姿がとても印象的だった。

南伊豆からホームの湘南に戻ってきて、いつもの毎日を過ごしている。
あるときふと南伊豆が恋しい気持ちになるのだが、やはり都市部の生活では全く味わえない価値観が田舎にはある。
多分また必ず南伊豆には行くと思っていて、それは向こうに知り合いができたことが大きいと思う。地域の魅力は観光資源とかだけではなくそこのコミュニティとの関わり、混ぜてもらうことにあるのかもしれない。

大好きになった南伊豆、また河津桜が咲く頃に行こうと思う!

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