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開放特許に踏み込む!!その3

おはようございます。一歩踏み込む弁理士のnabです。本日は名古屋市工業研究所が保有する素材関係の開放特許(特許6802956)に踏み込みますので、宜しくお願い致します。わかりやすくサクッとまとめたつもりですので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

いろろさんイラスト引用させていただきます。ありがとうございます😊

(1)発明の名称
 傾斜多孔質樹脂成形体の製造方法、及びそれに用いる樹脂組成物

(2)発明が解決しようとする課題
  空孔径が傾斜分布されたスポンジ体の製造を行う。

※1 傾斜分布
→スポンジ中の穴の大きさが、表側になるにつれてきめ細かくなる構成。

(3)解決する為の手段

空孔径が傾斜分布されたスポンジ体の作成フロー

① 液状のプレポリマーと沈降速度が異なる2種類の水溶性粒子とをプレポ リマー中で混合させる。


※2 プレポリマー → 液体ゴム
※3 水溶性高分子 → 例えば 塩 と グラニュー糖

② ①中の水溶性粒子を遠心力又は重力によって、沈降させる。

※4 粒度が大きく重い水溶性高分子は下に沈み、粒度が小さく軽い水溶性 高分子は上に滞留することで、傾斜分布となる。

③ その水溶性粒子及びプレポリマーを硬化させる。

④ 硬化したプレポリマー中の水溶性粒子を水によって溶解除去する。

※5 溶解除去された水溶性高分子の部分は、スポンジの空孔となる。
   水溶性高分子は、傾斜分布となっている為(※4参照)空孔径が傾斜
   分布する。

(4)もう一歩踏み込む!!(特許化のポイント)

①で、混合させるプレポリマーに有機溶媒を添加しておく。

(5)効果

 プレポリマーの粘度を有機溶媒の添加量によって調節することにより水溶性粒子の沈降速度を調節することが可能となって、スポンジ中の空孔径の分布を制御することが可能となる。

※6 低圧縮で大きい気孔が潰れ、高圧縮で小さい気孔が潰れることにより、圧縮領域で広いひずみ領域で直線的に電気抵抗率が減少するという特性を示唆しています。

(6)アイデア展開例

 ポリマーに有機溶媒を添加し、事前にポリマーの粘度を調整する点についてアイデア展開を行てみます。例えば、導電材料を添加するポリマーに有機溶媒を添加して攪拌することで、導電材料の分散性が向上して、より高い熱電効率のエラストマーが製造出来るかもしれません。
※化学分野で、作用効果を予測することは困難で、作用効果が現実になるかは実験で確かめる必要性があります。。。。あしからずです。。m(__)m。


最後までおつきあいいただきまして、ありがとうございました。
今回紹介の特許は、化学分野でした。化学分野は、近年再び、地球温暖化対策等の社会情勢により、注目されつつある分野です。化学分野は作用効果が予測しにくい分野ともいわれており、アイデアの効果を実験で確認する必要性がありそうです💦今回の記事が、未知なる素材の創造を志す皆様の刺激になれば幸いです😊

※特許からのアイデア展開を行って発明を創出した場合は、特許権侵害のリスクがついて回りますので、創出した発明(アイデア)の侵害判断、出願検討、場合によってはライセンス許諾の検討を行って、前記リスクを事前に回避することが必要になるかと思いますのでその点ご留意下さい。



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