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断鏡亭日乗 (2)

「STEINHEIL」 Culminar 85/2.8 München

日本語的に訳せば「石歓」だろうか?
それとも「石喜」だろうか?
要するに「石万歳」みたいな社名だ。
「石歓」だとしても 石の様に固く写らない。

それにしても日本のレンズは地名を書かないものが多い。
「JAPAN」だけ。
「OBUSE」とか「AIDZU」とか「SHINAGAWA」とか「ITABASHI」とか
詳細は書いていない。

それに比べて 向こうは
「SCHNEIDER KREUZNACH」「CARL ZEISS JENA」
「Ernst Leitz Wetzlar」だ。

「KREUZNACH」は多分地名だと思うけれども日本語に訳せば
「十字架の方向」意訳すれば「西方浄土」となる。
独逸からみれば東方浄土か?

話を冒頭に戻すと、ごく最近、純正フードを入手した。
フードをつけても絞りが分かるように黒のポッチが
ついている。そういうさりげない黒子。
写りもさることながら佇まいが美しい。

亡くなる3か月前のダイアン・アーバスは、最早
窓の外の景色ではなく「彼岸」を見ているようだ。
掌にはコーヒーかココアを入れたカップがある。
4月のニューヨークはまだ寒いのだろう。

右肩にかけられたストラップはカメラのそれではなく
三途の川の舟賃の入ったガマグチのそれのように見える。
そういえば もうすぐ命日だ。

私淑していたのか、ワークショップに参加していたのだったか
エヴァ・ルビンシュタインが撮ったものらしい。
アーバスは好きではないがルビンシュタインの写真は好きだ。
父上のショパンも含めて…。


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