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「らしさ」を問える、尊さ。「屋根の上に吹く風は」感想(2)


前回の記事の続き。
屋根の上に吹く風は」を見ての感想。
舞台は鳥取県智頭町にある、新田サドベリースクール

「それってサドベリースクールらしくないよね?」


これ、この言葉。
サドベリースクールとは、どういう場所なのか。
通っている子どもは、何を考え体験し、どう育つのか。

サドベリースクールの醍醐味というか、
本質を感じさせられるような…
強烈な発言だと思った。

予算会議にて


新田サドベリースクールでは、スクールの予算管理や運用について
子どもとスタッフ全員で定期的に話し合う場がある。
(サドベリースクールは、スクール自体を子どもが自治運営し、
それをスタッフがサポートするスタイル。
各々のスクールや状況によっても異なるとは思うが、
スクールのルールやスタッフの雇用に関しても、子供たちが主体となって行う)

わたしの記憶が朧げで詳細に誤植があるかも知れないが、
先月分の収支が合わず、生じた現金過不足分をどうやって補うのか
議論していたシーンで、

「親からお金もらえばいいじゃん」との意見。
それに対し、10歳前後くらいに見える女の子が
全員に投げかけた言葉が、この言葉。

「それってサドベリースクールらしくないよね?」

これをきかっけに議論の流れに変化が生じ、
最終的には「自分たちでお金を生み出す活動を企画実行し、
不足分を補填する」ことで話がまとまった。

「らしさ」を問うこと


ただもらうのではなく、自分たちでつくりだそうという
強かさやしなやかさ、自由さが感じられる
提案が出てきたことに非常に感銘を受けたのは、もちろん。

それと同等、もしくはそれ以上に衝撃的だったのは、
「らしさ」を問う発言が、子どもから出てきたこと。

つまり、この新田サドベリーに通う子どもたちが、
一般的な(常識と呼ばれるような)価値観の存在や、
それとは異なる自分自身の価値観の存在を認識しているということ。
また、その価値観に沿った選択ができる、
選んだことの責任をとる(とれる)という感覚を、
この年齢からはたらかせている様子が見受けられることだ。

これ、すごいことだと思うのだ。
成人した大人にだって、難しいことだと思う。

この辺りは、サドベリースクール創立者の
ダニエル・グリーンバーク氏の著書に描かれている
教育哲学も交えて深く論じたいところ。

それは、また別の記事にて。
一旦、筆休めとします。

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