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【WBC】MLB通的WBCの楽しみ方。

本日(3/8)、オランダ対キューバで開幕した第5回WBC。


今回は連日メディアで取り上げられるビッグプレイヤーではなく、MLB通の観点で7選手をピックアップし、彼らの注目ポイントを紹介します。

アメリカ代表 カイル・シュワーバー

短期決戦で重宝されるのはどんな選手でしょうか。

  • コンタクトに優れて空振りが少なく、ヒットで出塁しやすい選手

  • 走力が高く、塁上で相手をかく乱させることのできる選手

  • バント、エンドランなどシチュエーションに合わせた小技ができる選手

  • 守備力に優れ、確実にアウトを取ることのできる選手


そのどれにも当てはまらないのにもかかわらず、短期決戦だからこそ期待したい選手、それがカイル・シュワーバーです。



昨季はユニバーサルDHの恩恵を受けて4年7,900万ドルの大型契約でフィリーズに入団。

と思いきや、開幕早々ハーパーが肘を故障したことでDHの座をはく奪され、結局、ほぼフルシーズンレフトとして出場する羽目に。

もともとキャッチャーであるにもかかわらず方は弱く、守備範囲もMLB屈指の狭さ。昨季のレギュラーシーズンでは200三振をし打率も.218と、まるで短期決戦では使いたくない選手です。

ところが、スキルをパワーに全振りしただけあり、その爆発力もMLB屈指です。

2021年は6月に16HRと固め打ち。

昨季も6月、7月にそれぞれ12HR、10HRを放ち、シーズントータルでは46HRでタイトルを獲得。同年のポストシーズンでも、もちろん.218の低打率ながら6HRを記録。ハーパーもびっくりなダルビッシュからの一発もありました。


アメリカ代表はトラウトをはじめ、ベッツ、アレナド、アロンソ、ゴールドシュミットとMLB屈指のスター選手をそろえていますが、彼らを超える成績を残す可能性があるのが、このカイル・シュワーバーです。


メキシコ代表 アンディ・アロサレーナ


カイル・シュワバーと同様に、過去に短期決戦でまぶしすぎるほど輝いていたことがある選手のひとりが、レイズ所属のアンディ・アロサレーナ。

2020年にレイズ移籍後、レギュラーシーズンは23試合の出場にとどまり、なかなかのMLB通でなければ名前も知らなかったであろう選手です。

ところが、同年のポストシーズンでは10HRと大爆発。そのうちの3本は、ドジャースと戦ったワールドシリーズで放ったものでした。

翌年のポストシーズンではホームスチールも記録。


アロサレーナのいいところは、ルーキーの年にポストシーズンで鮮烈な輝きを見せたものの、それが決してフロックではなく、その後2シーズン続けて20-20を達成するなど安定して成績を残しているという点ですね。


彼の一瞬のスキを突く野生的なスタイルは、短期決戦で決定的なプレーをみせてくれると期待しています。

2020年のポストシーズンでは入場制限があり、無観客でファンのパネルが客席に置かれていたり、やっと入場可能となったワールドシリーズでもまだまだ席はガラガラだったりといった状況でした。

このWBCで、ファンで埋め尽くされたスタジアムで、アロサレーナがどんなパフォーマンスをするのか注目しています。


ベネズエラ代表 ホセ・アルトゥーベ


2017年に実施された前回大会以降、メジャーリーグを支配しているチームをご存じでしょうか。

ヒューストン・アストロズです。

2017年以降、アストロズが所属するアメリカンリーグのリーグチャンピオンシップシリーズ出場のチームは以下の通りです。

2017 アストロズ、ヤンキース
2018 アストロズ、レッドソックス
2019 アストロズ、ヤンキース
2020 アストロズ、レイズ
2021 アストロズ、レッドソックス
2022 アストロズ、ヤンキース

2011年から3年連続100敗以上するなど、もともとは弱小球団だったアストロズ。しかし、2017年からは6年連続してリーグチャンピオンシップシリーズへ進出し、二度の世界一も達成。

まるで松坂がいた横浜高校、田中将大がいた駒大苫小牧高校、藤浪がいた大阪桐蔭高校のような無敵艦隊の常勝チームと化し、憎たらしいまでに短期決戦での強さをつけたのがアストロズです。

そして、そのアストロズの中心選手がホセ・アルトゥーベ。

肩は弱いものの、走力に優れた守備力の高い選手(盗塁王を二度、ゴールドグラブを一度獲得)です。

ただ、他の小柄なセカンド・ベースマンとは異なり、MLB屈指の攻撃力も備えているのがこのアルトゥーベ。

2019年、2021年には自己最多の31HRを記録し、特にポストシーズンにめっぽう強く通算23HR、OPSは.844。

2019年のリーグチャンピオンシップシリーズ第6戦、ワールドシリーズ進出を決めたこのサヨナラHRはヤンキースファンにとってはトラウマなはず。


打席では確実にヒットも打ててパンチ力もあり、チームの攻撃面で多くのバリエーションを与えることのでき、かつアストロズのハート・アンド・ソウル的な存在で勝者のメンタリティを備えた選手です。


短期決戦の戦い方を知り尽くしたアルトゥーベがWBCでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目です。

同じような観点では、ほかにもドミニカ共和国代表のペーニャ、プエルトリコ代表のマルドナード、アメリカ代表のタッカー、プレスリーなどアストロズ選手にも期待しています。


ドミニカ共和国代表 フリオ・ロドリゲス

ドミニカ代表のメンバーは過去のどの大会でもモンスターぞろいの、相手にしてみたら恐怖でしかない打線でした。

今回も、もちろんアメリカに匹敵する恐怖の打線です。
マチャド、デバース、ペーニャ、フランコ、ソト、ヒメネス、ヘルナンデス・・・
ゲレーロJr.の離脱は痛かったものの、それでも攻撃力は今大会でトップレベルです。


一方で、不安なのが外野守備。

ライト、レフトはソト、ヒメネス、ヘルナンデスでしょうか。彼らは残念ながら守備面では不安の残る選手たちです。


そんな中で注目しているのが、マリナーズ所属のフリオ・ロドリゲス。

昨季はMLBデビューの年ながらマリナーズでセンターのレギュラーを獲得し、28HR、OPS .854で新人王を獲得。

特に評価が高いのは、スピードを生かした守備範囲と強肩が武器の守備力です。

昨年のポストシーズンのアストロズ戦でのこの配送からのキャッチは、0-0の延長16回というシチュエーションを考えても球史に残るワンプレーでした。

WBCのような短期決戦では、一本の長打が命取りになります。

外野守備に不安があるチームで、センターにロドリゲスがいることはあまりにも心強いです。


キューバ代表 ヨアン・モンカダ、ルイス・ロバート

元祖野球王国、キューバ。

子供のころ、パワプロで出てきたキューバチームはあまりにも強く、怯えていたことを覚えています。


そんなキューバ代表チームで注目しているのが、ともにホワイト・ソックスに所属しているヨアン・モンカダとルイス・ロバートです。


MLBではアルバレス、グリエル、アブレイユ、チャップマンなどキューバ出身の選手が多く活躍している一方、キューバ代表は亡命選手の加入を一切認めないスリザリンばりの純血主義でした。

ところが、今回は亡命選手でMLBでプレーしている二選手がナショナルチーム入り。


亡命選手に対する政治的・文化的背景は詳しくはわからないのですが、MLBの経験がある彼らが、キューバ代表チームでどんあリーダーシップを魅せるのか、ファンからどんなサポートがあるのか、注目しています。

(初戦、3番で出場したロバートは、3三振の後センターへ二塁打)


韓国代表 トミー・エドマン

カージナルスではアレナドやゴールドシュミットの陰に隠れているものの、昨季はWAR 6.3を記録した実力者です。

特別攻撃力が高い選手ではないものの、フェアゾーン全体に打ち分けるスイッチヒッターで、空振りもしない短期決戦では重宝されるタイプの選手であり、また、走力を生かした守備範囲も広いセカンドです。

今大会、アメリカ代表はストーリーの離脱があり、セカンドが薄い状況でした。ただ、もしそうでなかったとしてもエドマンはアメリカ代表を選んでいたら十分チームに入れたのではないかと考えています。


今回は、そんなバリバリのメジャーリーガーが韓国代表としてプレーします。

決して打点を多く稼ぐようなバッターではないのですが、攻撃の起点になりやすい選手であり、韓国代表の中軸がランナーとして出たエドマンをどうホームに返すのか、韓国代表のチームワークにも注目しています。


画像引用元
https://www.thescore.com/wbc/news/2558458


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