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今日のジャズ: 2月5日、1962年@ニューヨーク

Feb. 5, 1962 “Cherokee”
by Shelly Manne, Coleman Hawkins, Hank Jones & George Duvivier at Fine Recording Ballroom Studio A for Impulse! (2-3-4)

軽やかなウェストコーストジャズのドラマーのイメージが強いシェリーマンが東海岸に戻って手掛けたのが、このアルバム。

白人ドラマーの中でも最高峰の一人で、特に華麗なシンバルワークと繊細で軽快なブラシの捌き方が巧みで素晴らしい。透き通っていて綺麗なのだ。

この曲ではインパルスによる東海岸録音というセッティングもあってか、黒人を代表するエルビンジョーンズのブラシに匹敵する、迫力に満ちた鬼気迫る力強さと重量感が迫力と共に捉えられていて、テクニシャンであると同時にジャズ界屈指の抜群のスウィンガーであることがわかる。右から聴こえる出だしのドラムソロから始まり、十秒の時点から視界が開けるかのように左の音場が加わってステレオモードになり空間が広がる体験が味わえる面白い演出もある。

テナーサックスの大家、コールマンホーキンスが雄大な旋律重視の演奏をし始めるとスローダウンして、しっとりとしたブラシの職人技を聴かせる。

ピアノは心地良く間合いを入れる伴奏名人のハンクジョーンズ、ベースは重鎮のデュビビエだから変幻自在な展開にも懐の深さと引き出しの多さで適応する。手数の多いドラムは最後までメリハリがあってスリリングに進行してゆく。

曲はイギリス人作曲家によるインディアン組曲からの一曲だが、ネイティブ・アメリカンとは何の縁もないそう。展開が速いことからミュージシャンが練習曲として取り上げていった結果としてスタンダード化したという珍しい曲。

2月2-3日の登場曲と同様、インパルスのNY録音ながら別スタジオ収録。このスタジオは、現在、高級ホテルのルメリディアンニューヨーク(以前のパーカーメリディアン)が建っている場所で、カーネギーホールと同じブロック、同じ通りの徒歩二分の距離という57thの6と7 Avenueの間でマンハッタンの中心街という超好立地。こんな場所で録音するとなると、さぞ高揚感が増して、普段聴けない、このような演奏が産まれるのだろうか。ダイナワシントンの名盤、”What a Diff’rence A Day Makes”もこちらの収録。

スタジオがあった当時のホテルの写真がこちら。このホテルの大宴会場がスタジオに改築されて利用された。

現在のルパーカーメリディアン

ダイナワシントンによる”What a Diff’rence A Day Makes”。唄声の中に何処となく都会のど真ん中的な高揚感が伝わってくるかも。

同じインパルスレーベルの八年後2月2-3日収録作品は、こちらからどうぞ。

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