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世界遺産のグヌン・ムル国立公園 04/05

秘境のリゾート、巨大洞窟とコウモリ達、そして、アントゥー(精霊)

その彼が、何と、100km先のバリオと言う高地で見つかったとの報告がありました。

でも、この方向は、行方不明になった地点からは、ムル山を超えてさらに、数々の急な丘陵地を越えていかなければいけません。村人達でも、このルートは、よっぽどの事があっても、行く事は困難と言われている道のりです。

その関係者の代表のP氏が、急遽、バリオまで、飛行機で飛び、彼と面会しました。そこで、見た彼は、与えられた洋服をきているものの、やつれていて、当初より、数10kgは痩せいている様でした。

彼に事情を尋ねると、以下の様な話をしだしました。

「ここに着くまでは、夜にならなかったです。日が暮れたかと思ったら、ずっと傍にいた人もいなくなり、ここの村人が話しかけてくれたのです。その後、今日まで2日間、ずっと眠りに落ちていました」 

P氏は、「ずっと傍にいた人」とは、誰かと尋ねました。

彼は、最初から、少しづつ思い出しながら、一言一言ゆっくりと語りだしました。

「最初、工事の途中、小便がしたくなって、誰にも知らせず、ふらっと、森の中へ行きました。用が済んだ後、現場へ戻ろうとすると、大きな木の傍に女性の人がいました。その人は、ムルでも見た事が無い人で、色の白い、髪の長い女性で、サロンの普段着の姿でした。いろいろ話を聞いてくるので、答えていると、彼女が、私の村へ来ませんかと言うのです。

一瞬、仕事の事も脳裏をよぎりましたが、少しさぼっても大丈夫だろうと思い、彼女に付いて行く事に決めました。
その道々は、今まで見ていたジャングルの風景とは異なり、別世界に来た様な感じでした。

途中で、2つの大きな岩に座れる所があり、その木陰で休み、彼女が持っていた笹に包まれたご飯を食べました。

今思うと、彼女は、何も持っていなかった筈なので、どこから、持ってきたのか不思議ですが。

その後、様々な果物が沢山なっている所を通りかかり、その果物は、見た事があるものもあれば、今まで、見た事の無いものもありました。

彼女が、落ちているものを拾って、皮をむいてくれて、食べました。

幾つかどぎつい赤い実がありましたが、彼女は、これは猛毒で、触っても死ぬからと教えてくれました」

(05/05)に続く。。。


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