ドリ鍋

ボルネオ島のマレーシア側のサラワク州に住みだして、20数年が立ちます。 その長年の生活…

ドリ鍋

ボルネオ島のマレーシア側のサラワク州に住みだして、20数年が立ちます。 その長年の生活の日々で起こった事などを、書き綴っています。 また、ボルネオの熱帯雨林の大自然や、先住民族の文化などの現在も共有します。

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はじめまして

はじめまして、「ドリ鍋」です。 ボルネオ島サラワク州(マレーシア)20年数年の滞在中に得た、色んな話を少しずつご紹介したいと思います。 真面目な文化や歴史や自然の話、面白い話、謎めいた話、不思議な話等を取り揃えて、ご紹介します。ボルネオ島の風土や文化、そして異文化を感じ取って頂ければ幸いです。 しかしながら、私は、文化人類学や自然科学の専門家ではありませんので、誤った表現や情報があるかもしれませんので、ご了承下さい。 又、誤りにお気付きの方は、どうぞ、ご遠慮なく、ご指摘

    • イバン族の食文化 11/11

      その時、「バキバキバキッ」と大きな音が頭上でしたかと思うと、何か大きなものが私の背後に落ちてきて、下へ落ちていった。 腐った大きな枝が雨の強さに耐え切れず、折れて落ちてきた。 その枝の残骸が、我々の座っている枝にも引っかかっていた。ウォルターが私を一瞬見上げかと思うと、そのまま、先程イノシシを追っていた時と同じ様に、一気に地面迄降りた。 私は、どうしたものかと、木の上で地面の彼を見ていると、彼が手招きしている。 何か言っているけど、雨の音に掻き消され、何も聞こえない。兎

      • イバン族の食文化 10/11

        ゲテモノ系の極致は何といったって、昆虫系だ。 ボルネオ島自体は、全体的に食料が豊富なので、あまり、見かけないが、それでも、タンパク源を摂取する為に、ゾウムシの幼虫や、元気を出す為の蟻の子、セミの一種等を食べる。 ゾウムシの幼虫の初体験は、事務所のスタッフが、大量に買ってきて、事務所の台所で、調理した時だ。 しかし、彼は、間違えた。 油で丁寧に炒めてしまった。何十分間も炒めたが、あの柔らかい幼虫は、柔らかいままで、1時間以上たっても、変化がなかったので、我慢して、皆で食べた

        • イバン族の食文化 09/11

          その昔、彼らの狩猟の武器は、吹き矢だった。 非常に硬い木のテツボクを利用し、その吹き矢の先には、槍がついていた。 槍は、追い詰めた時に、とどめを刺すのに使われる。 矢は、ヤシの幹の硬い部分を、竹串の様な形に作り、先を尖らせ、毒を塗る。 毒は、獲物の種類や大きさによって、いろんな種類を使う。 一般的な毒は、イポーと呼ばれる種類の木で、その樹液が使われる。予め、矢の先に塗っておき、矢筒に入れておく。矢も、獲物によって、微妙につくりが異なり、特に、大きなイノシシ等は、矢が刺さ

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        はじめまして

          イバン族の食文化 08/11

          その木の上で、数秒が数分に、数分が数時間に、数時間が数日に、その様に思えるほど、時間が進まないと感じた。 その微かにしか見えない状況で、時間が立てばたつほど、より見えるようになり、音に対しても、時間と共に、少しづつ敏感になっていった。 時折、遠くで、木の折れる音が聞こえたり、今まで聞こえなかった夜虫の声が聞こえたり、フクロウの鳴声がすぐ傍で鳴いているように聞こえたり、遠くで流れている筈の小川の音が聞こえてきたりと、少しずつまわりの音が良く聞こえるようになってきた。 匂い

          イバン族の食文化 08/11

          イバン族の食文化 07/11

          その頃には、私とウォルターのいる小屋のあたりだけが明るかった。 空を見上げると、薄い雲がはっていて、微かに薄明かりの三日月が照らしているだけで、微かな風の音と夜虫の断続的な響きの中で、あたり一面は暗闇が支配していた。 ウォルターの活き活きした目を横目に、私は不安に満ち溢れた心持で、この暗闇に吸い込まれていく様な気がした。 先ほど、佇んでいた田圃が見渡せる丘も、私が薙倒した稲のある田圃も、小川へ行く道も、全てが、静寂の暗闇に覆い尽くされ、ふと、子供の頃、悪夢で深夜目を覚まし

          イバン族の食文化 07/11

          イバン族の食文化 06/11

          ある日、イバン族のロングハウスで、朝起きると、ビスケットとコーヒーが用意してあり、二日酔いには丁度よい軽い食事だと思っていた。 その日は、奥地へ行く予定だったので、しっかり目にビスケットを食べて備えたのが失敗だった。 トイレに行って戻ってくると、「ご飯」の朝食がさらにしっかりと用意されていたのだ。その村人もビスケット食べた筈なのに、その完璧な朝食の前に座って、私を待っていた。 そして、「マカイ」(食べるのイバン語)の発声の後、食事を始めた。 私は、どうするべきか迷ったか

          イバン族の食文化 06/11

          イバン族の食文化 05/11

          もう1種類の地酒が、「イジョ」と呼ばれるヤシ酒があり、イバン族の人が「イジョ」と呼ぶヤシの幹から取れる樹液に、ある樹木の樹皮を入れると発酵するらしいが、この酒だけは、サラワク中にあるイバン族の中でも、バタンアイやルボック・アントゥー近辺の限られたイバン族の村にしかないレアな酒だ。 これは、カルピスの様な味がして、一飲、アルコールの殆ど入っていないカルピス・ハイかなという感じで、私はこれを飲んだ時、酔う前に吐き気がしたので、果たして、酒と呼んで良いのか物議を醸すところだ。

          イバン族の食文化 05/11

          イバン族の食文化 04/11

          食事が出来上がるのを待っている間、彼は、小屋の奥に置いていた酒を持ってきて、満面の星空の下で、酒を飲んだ。 イバン族の伝統的な酒は、3種類あって、最も一般的なのは、「トゥア」と呼ばれる、お米から作られる濁酒の様なもので、少し甘い梅酒の様な感じの酒である。すごく丁寧に作られたトゥアは、アルコール度の低いワインの様な感じにもなる。 簡単に作れるので、イバン族の人であれば、誰でも作れるのだが、逆に、その作り手の性格がもろに出る。大雑把な性格の人が作ると、酸っぱかったり、甘すぎた

          イバン族の食文化 04/11

          イバン族の食文化 03/11

          麻袋が満杯になった所で、ふた握りほどの籾を、長方形の臼(うす)に入れて、軽くつきだした。 少しつくと、箕(み)に入れて振り、籾殻を風に飛ばしていった。きらきらと光ながら落ちていく籾殻を見ながら、物思いに耽っていると、目の前に白い米だけ残った箕(み)が現れた。 彼は、そのお米を手ですくって、黒ずんだ鉄鍋の中に入れて、小屋の裏へ降りて行った。そこには、澄んだ小川があり、彼はお米を洗い出した。 そして、その川原で、火を起こして、ご飯を炊いた。 日本では、美味しいご飯を炊くには

          イバン族の食文化 03/11

          イバン族の食文化 02/11

          一方で、焼畑は、丘陵地などの2次林を焼いて作られるお米の種類で、通称、パディ・ブキットと呼ばれる。2次林を3~4エーカー程(ちょうど一家族が1年間食べていく事の出来るお米が出来る)を切り拓いて、数週間乾燥させた後、一番乾燥する8月頃に火入れをする。 その後、9月頃に種もみを直播する。この風景は、独特で、一人が、長い棒でリズミカルに穴を掘っていき、もう一人が後ろから付いていき、その穴に数種類の種籾を入れていく。 収穫は、1~2月頃となる。焼畑は、同じ場所では、長くても2年位

          イバン族の食文化 02/11

          イバン族の食文化 01/11

          サラワク先住民族のイバン族の一番大切なもの、それは・・・・。 雨季が終わる2月頃、サラワク州の先住民族のお米の収穫が始まる。その時分、私はイバン族のロングハウスに訪問した。ある日、畑仕事をしている友人のウォルターに会う為に、彼の畑へ向かった。 途中、何人かの村人に出会い、世間話をしながら、彼の畑に辿り着くと、日本と同じ様な風景に出会った。破れた麦藁帽子をかぶらされた泥まみれの不細工な案山子が、動く事無く、何も語らず、佇んでいた。時折吹く風でそよぐ稲の穂先が、何かを思い出

          イバン族の食文化 01/11

          イバン族の夢占い  05/05

          翌日、その方にホテルのロビーで会うと、予想通りの紳士的な方で、日本人であれば知らない人はいない某旅行会社の社名と名前を告げられた。道中、穏やかな感じで、サラワクの旅行業やサラワクの観光地に関して尋ねられたが、少しばかり、いつもの旅行会社の企画担当の視察の方とは異なる質問が気になっていたが、約2時間程で、グヌン・ガディン国立公園に到着した。実際は、ラフレシアが咲いているのは電話で確認済みで、少しばかり斜面の崖を降りて、川を越えたあたりにあるのは知っていた。しかし、車中で、咲いて

          イバン族の夢占い  05/05

          イバン族の夢占い  04/05

          彼は、話を戻した。「夢の話だったな。ワニに食べられるという事は、気持ちが良い話ではないが、その夢を誰かが見ることで、その食べられた人がワニの仲間になったというシャーマンもいる。それは、何を意味するかというと、イバン族と同じ様に、お前も、ワニとの契約の一部を得たんだ。分かりやすく言うと、お前がワニを食べない限り、絶対にワニはお前を食べない」。一瞬、学生時代に、大阪のお好み焼き屋で興味本位でワニ肉入りのお好み焼きを頼んだが、臭かったので食べなかったのは正解だった、と思い出した。そ

          イバン族の夢占い  04/05

          イバン族の夢占い  03/05

          クチンに戻った数日後、クチンに長く住んでいる日本人の男性が、末期の癌だという事を知らされる。私は、一瞬、耳を疑った。つい数週間前、元気な様子で少し話をしたばかりだった。その人は、癖があるのだが、根は非常に良い人で(多分)、時折、ご飯を奢ってくれたりしていた。身内では無いが、少し親しくしていた人だった。その夢のお告げ通りだった。しかし、自分自身に、これは偶然だ、あの晩、歯を抜いたから、そんな夢を見ただけだ。これはそんなお告げではないと、自分に向かって言い張った。しかし、その後、

          イバン族の夢占い  03/05

          イバン族の夢占い  02/05

           ある日、私がそのロングハウスを訪れた時に、ふと、いつもの景色と異なるのを感じた。そのロングハウスの対岸の木がなくなっていたのだ。いつも、午後になると、子供たちがその木の登れる所迄登って、川へ一斉に飛び込む、そんな風景が印象的な木であった。私は、鉄砲水で流されたのだと思ったが、村の人に尋ねると、こういう事だった。その村のシャーマンが夢を見た。その夢の中で、いつもの様に、子供たちが、次から次へと、その木から川へ飛び込んでいた。少したって、その木から飛び込んだ子供の一人が、血を流

          イバン族の夢占い  02/05