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フルーツの王様 「ドリアン」02/04


そろそろ、果実の話に入りますが、そんな高い木に登って果実を取るのかと思われるかもしれませんが、サラワクでは、違います。基本的には、果実が落ちるまで待ちます。

ドリアンの果実がある程度熟すと、自然に落ちます。時折、熟す前に落ちる果実もありますが、それは、未だ、果肉の白い部分が(ここが食べる所)固いので、野菜として、スープに入れたり、炒めたりして食べます。これは、無臭です。でも、これも、そんなに美味しいという代物ではありません。

そして、熟したものが自然に落ちたドリアン。落ちてすぐ食べると、匂いはほとんどありません。口に入れると、濃厚な甘みと独特の風味、玉ねぎ、大蒜、カカオの様な味が、口と鼻を支配します。少しドロドロしているのもありますが、レアチーズのケーキを柔らかくした様な感じです。

1つの果実が、幾つかの空洞に分かれて、それぞれに、果肉がありますが、それぞれの果肉は、それぞれの味ですので、これも楽しみの一つです。特に、端っこに小さい塊(小指の爪位の大きさ)のものがあれば、当たりです。

この小さい塊が最も絶品です。「ドリアン」は、「臭い」と言うイメージが先行してますが、不幸な事で、本当に美味しいドリアンを食べる機会に巡り会えなかっただけのことなのです。みかんも、熟しすぎたものは、美味しくないですよね。同じ事だと思います。
 
ドリアンの果実が、大きく成りだすと、いつでも、実が落ちますので、24時間、ドリアン所有者は、家とドリアンの植えてある畑を行ったり来たりして、落ちた果実を回収します。朝も、昼も、夜も、深夜も関係ありません。何度も行きます。

特に、温度の関係か、夜の方が落ちやすいそうで、夜は、頻繁に、3時間に1回位の割合で行きます。又、夜は、他のドリアン所有者も同じですので、ごく稀に「ドリアン泥棒」も出ますので、要注意です。

一度、「ドリアン狩り」に同行しましたが、怖い怖い。灯りは懐中電灯だけ、「ボトッ」「ボトッ」と、そこら中で、ドリアンの落ちた音がすると、暗闇の中で、次いつ落ちるかハラハラしながら、ドリアンを探さなければなりません。

又、遠くから、別の人の懐中電灯が見え、一瞬「ドキッ」としたり、懐中電灯に照らされた人影が動き、「アントゥー」(精霊)かとびくっとしたり、結構緊張感溢れます。一方で、苦労して取ったドリアンは美味しい。苦労と言っても待っているだけで、運ぶのが多少大変ですが、そんなに苦労ではありませんが・・・。こちらの人は、採りたてのドリアンをおかずにご飯を食べたりします。結構、いけます。

中でも、甘味が少ない様なものや、酸味が強いものや、少し苦いものは、大き目の容器に入れて、保管します。これに塩を加えて、保存食とします。「タンポヤ」と言う名前です。

1週間目迄は、そのまま生でおかずとして食べますが、1週間を越えたら、チリ(唐辛子)と塩を含めて、炒めて食べます。ドロッとしてますが、味は甘味の強い梅干の様な感じです。

でも、ドロッとしてます。一応、保存食と言う事で、どの位もつかと聞いたら、2年、3年、もつと言う。

それは、無いだろうと、「何をして食べれない判断にするか」と聞くと、そこの長老が、一言、「臭くなったら」と言ったら、私も含めて全員、「???」と言う感じでした。ご存知の通り、ドリアンには、そもそも匂いがありますので、どういう微妙な臭いの判断をするのかと、皆不思議でした。

実際は、毎年、実がなりますので、シーズンからシーズンの間の保存食用みたいです。保存食と言えば、野生のイノシシの「カッサム」という、塩と麹でつけたイノシシ(野生のものに限る)を、生姜で炒めたものが、私の一番の大好物です。これは、普通のレストランでは食べる事は出来ず、先住民族の人からしか、手に入りません。横道にそれました、すみません。

(03/04)に続く。。。

 

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