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【ECコンサル】楽天市場における売上向上方法のすべて

こんにちは、プロテーナムというECコンサル・運営代行会社で取締役をしています渡邊と申します。
簡単に自己紹介させていただくと、東大から新卒で楽天に入社し、楽天市場にて、広告企画販促部という部署で広告をつくってました。(当時はすべての広告の効果測定を見ることができました)、その後コンサル会社を経て、今はこれまでの経験を活かしつつ、ECコンサルタントをさせていただいています。
さて、今回は楽天市場における売上向上方法を徹底的に説明しようと思います。
これから楽天市場を攻略しようという方の体系的なインプットからすでに楽天市場に精通している方の学び直しにまで、活用できる記事になっていると思います。ぜひご一読ください。

楽天市場売上向上ドライバーの全体像

上記が楽天市場の売上を上げる際に考えるべきドライバーの全体像です。
以下の順に説明していきます。

  1. 注力すべき商品の選定

  2. CVR向上施策の実践

  3. アクセス獲得施策の実践

  4. 客単価向上施策の実践

1.注力すべき商品の選定

色んな商品を扱っている企業様が多いと思いますので、まずは自社のどの商品から取り組めば、検索結果の上位に表示され、売上があがる状態を達成しやすいか?という観点で、どのような順番で注力していくかを決定します。
まずは以下の2点の観点で選定すると、成果が出やすいです。

  1. 同一商品を扱っている他社よりも安く販売できる

  2. 自社しか取り扱っていない

上記に加え、市場規模が大きいと尚よいです。
検索結果からわかる競合調査Nintというツールによる市場規模調査も行えると盤石です。

2.CVR向上施策の実践

CVRの向上を狙う際にまず抑えるべきは消費者の心理です。

  • 今購入しなければならない理由をつくる

ここに集約されます。ECモールで購入を検討しており、なおかつ最初から購入する商品を決めていない消費者は、購入する理由を探しています。今購入する理由を作ってあげましょう。具体的に説明していきます。

  1. 価格

  2. クーポン

  3. ポイント

  4. サムネイル

  5. ページ

  6. レビュー

価格

当たり前ですが、一番インパクトが大きいのは、価格を調整し、通常販売時より、もしくは競合と比較して一番安い価格で販売することです。
具体的には、類似商品のなかで、最安商品の金額を確認します。そこから自社で値引き可能な範囲から考えて、対抗可能か検討します。
可能な場合、以下の順に値下げを検討します。

  1. イベントや5の倍数の日にのみ値下げを実施する

  2. 1で検索順位が上がらない場合、通常時もしくは自社のイベントの日を決めて、値下げを行う

具体的な価格調査方法
上記を実施するためには、まずは価格調査が必要です。自社と同一商品と類似商品を検索画面から探して、以下のテンプレートのように記載するとわかりやすいです。

競合商品調査例

クーポン

次に有効なのは、クーポンです。価格自体を下げてしまう場合と異なるのは、定価を維持しつつ、一時的に値下げが可能です。
どのように実施するか、について説明していきます。
楽天市場には、4種類のクーポンが存在し、店舗側でコントロールできるのは1-3です。

  1. 配布型クーポン:店舗内で獲得を促進することで、ユーザー自身が獲得するクーポン

  2. 自動付与型のサンキュークーポン:商品購入後、自動でユーザーに付与されるクーポン

  3. クーポンアドバンス:クーポン型の広告

  4. 楽天発行クーポン:楽天側で不定期に発行されるクーポン

クーポン発行画面

クーポン金額の考え方と活用のタイミング
クーポン金額は使ってもらう想定の対象に応じて変更し、最も効率がよいクーポン金額に設定します。

【クーポン金額の考え方】

  • 新規獲得:競合商品の金額を下回る金額に設定

  • リピーター対策:300-500円OFF程度に設定

【クーポン活用のタイミング】

  • 楽天スーパーセール、楽天マラソンなどのイベント

  • 5の倍数日

イベントが最もアクセスが集まるので、イベント時に合わせてクーポンを活用するのが売上アップにつながりやすいです。一方で、競合があまりにも仕掛けを強くしてくる場合は、通常時にクーポン発行することで、売上を取りに行くことができるかもしれません。ありきたりですが、状況に応じて活用しましょう。

クーポンを発行したら発行しっぱなしという企業様が多いかもしれませんが、クーポンの獲得枚数と利用枚数は確認できるので、割引額に応じた変化を検証したうえで、自社にとってベストなクーポン金額を把握しておきましょう。

ポイント

自社の定価は下げたくないものの、類似商品に価格競争力で負けてしまっている場合は、イベント時のみなどポイントを活用することで、売上を上げることができます。ポイントは新規獲得であれば、競合商品の金額を下回る倍率に設定します。
楽天市場におけるポイント設定は2種類あります。

  • 楽天市場実施のキャンペーン

  • 店舗作成の独自キャンペーン

楽天実施のキャンペーンは必ず実施できるわけではありませんが、申し込むことで実施可能店舗として選定されると、楽天負担でポイントキャンペーンを実施することができます。
店舗作成のキャンペーンはポイント原資を店舗側で実施する必要がありますが、店舗のタイミングで、店舗が設定したいポイントを設定可能です。

ポイントキャンペーン申込画面

ポイント倍率の考え方と活用のタイミング
クーポン同様できるだけポイントコストを抑えて、売上をあげていく必要があります。そのためには、1にも2にも検証ですが、一度以下のルールに則って、ポイント倍率を検証するといいでしょう。

【ポイント倍率の考え方】

  • 競合商品の価格を確認して、競合価格を下回るポイント倍率を設定する

  • 自社の利益から逆算して、許容できる最大のポイント倍率を把握した上で、5倍ずつポイント倍率を刻んで設定する

【ポイント活用のタイミング】

  • 楽天スーパーセール、楽天マラソンなどのイベント

  • 5の倍数日

クーポン同様のタイミングで活用を検討するのが効果的です。

サムネイル

サムネイルは検索結果に表示される画像のことです。皆さんも購入時サムネイルを見て、どの商品をクリックするか、瞬時に判断しますよね?非常に重要なので、基本を押さえて作成、改善を行いましょう。

検索結果画面

【サムネイル制作時に抑えるポイント】

  • 検索上位商品の特徴を分析して、共通している要素を必ず押さえる

  • サムネイル(第一画像)以外の写真、コンテンツを見てもらえるようにフックとなる情報を記載する

ある意味簡単です。競合商品があれば、まずは徹底的に真似するのがよいでしょう。ベースを作ってから以下の方法で検証し、改善を進めましょう。

【サムネイルの改善方法】

RPP広告に出稿することで、CTRで検証することができます。

サムネイルを変更しても、正直何が良くて、何が悪いのか、感覚での判断になってしまうと思いますが、CTRを見れば一目瞭然です。どの要素をいれるとCTRが上がるのか、細かい検証になりますが、実施していきましょう。

商品ページ

商品の売上をあげるためには、ページを一定の水準の品質まで引き上げる必要があります。ページ改善の考え方としては、以下2つがメインです。

  • 消費者から見たときに信頼を得られ、購入の意思決定を助ける内容となっている

  • 楽天SEOに最適化されている

【消費者から見たときに信頼を得られ、購入の意思決定を助ける内容となっている】

商品ページの役割は「購入の意思決定に必要な情報を過不足なく盛り込み、(できれば他の商品と比較検討させずに)その場で購入してもらう」ことです。この条件を満たすページ制作のポイントをまとめました。

  1. キャンペーン内容:ページ冒頭でキャンペーンを訴求することで、まずページを読む気を起こさせましょう

  2. 基本的な商品情報:商品のイメージが湧く画像を差し込み、どういう商品なのかの全体像を伝えます

  3. 権威付け:「楽天でのランキング受賞」「楽天外部での受賞歴」「インスタでの掲載内容」「レビュー内容の記載」などを掲載し、商品への信頼感を醸成します

  4. 商品詳細情報:他の商品と比較してどこがすごいのか、具体的なセールスポイントなど、この商品に関する具体的な情報を記載しましょう

  5. 今買うべき理由:期間限定キャンペーンなどは必ず記載しましょう

  6. レビューキャンペーン:最後に「レビュー記入でクーポンプレゼント」などのキャンペーンでレビューを促進しましょう

詳細な内容は以下の記事に記載しているので、見てみてください。

【楽天SEOに最適化されている】
楽天市場内には、検索結果上位に表示するアルゴリズムがあります。楽天市場内のルールに合わせてページを作成するようにしましょう。
以下が押さえるべきルールです。

①商品画像:
・商品画像登録ガイドラインに乗っ取って作成
・できる限り白背景でなく、写真背景で設定
②商品名:
・文字数の上限は127文字
・商品名に選定したキーワードを重要な順に盛り込む
③キャッチコピー:
・商品名に入りきらないキーワードなどを記載
・商品名に選定したキーワードを重要な順に盛り込む
④販売説明文:
・選定した商品名に盛り込めていないキーワードを盛り込む
・商品に関連性のあるキーワードを半角スペースで区切って記載する(お歳暮、母の日、など)

詳細は以下の記事で説明しています。お時間あるときに読んでみてください。(他モール説明も含む)

レビュー

レビューは商品の購買率を上げるために、非常に重要な要素になります。
最低でも★4以上を目指すのが一つの目安になります。
※楽天市場では商品購入前にレビュー特典をうたうことは禁止です。そのため購入後にフォローメールを送り、購入者とレビュー記載者を照らし合わせて、クーポン付与対象者を探し、クーポンを付与する必要があります。

【レビュー獲得方法】

  • レビューを書いたら、〇〇円OFFクーポンを配布

  • レビューを書いたら、〇〇プレゼント(シェイカー、タオル、ミニバッグ、など)

上記の施策を実施するだけで、レビュー数が大幅に上がることがあります。過去のご支援例だと、記入率は4%前後に落ち着くことが多いです。

3.アクセス獲得施策の実践

CVR向上施策を完了し、購買が望める状態になったら、次はアクセス獲得施策です。アクセス獲得施策は以下の施策に集約されます。

  1. 自然検索対策

  2. RPP広告

  3. クーポンアドバンス広告

  4. イベントサーチ

  5. メルマガ・LINE

  6. アフィリエイト

  7. 外部広告

自然検索対策

お金をかけずに実施することができ、かつ広告でアクセスをいれてから、継続的にアクセスを獲得するための下地として、まず実施すべき施策です。商品に関する適切なキーワードを以下に反映することで、ユーザーが検索した際に、検索結果の上位に表示されるようになります。

  • 商品名

  • 商品説明文

  • キャッチコピー

楽天市場で公開されている検索ロジック

出典:https://www.rakuten.co.jp/ec/digitalplatform/

上記を少し言い換えると以下になります。
1.自然言語処理による検索キーワードと商品の関連性
検索キーワードと、商品の説明に出てくるキーワードの出現頻度や希少性を加味して商品のスコアリングを実施

2.検索キーワードごとの商品の人気度
検索を行ったユーザーが、各商品にどう反応したか(転換率、購入数)をモニタリングし、ユーザーが支持した商品に対して検索キーワードのスコアリングを実施

楽天内の検索ロジックを把握したうえで、以下の作業を行っていきます。
1.盛り込むキーワードの選定:楽天市場内のサジェストキーワード、Googleのキーワードプランナーなどを参考に、自社商品に関連があり、キーワードボリュームが大きいキーワードを選定します。
2.キーワードの盛り込み:キーワードを選定したら、商品名、商品説明文、キャッチコピーに自然な形で盛り込んでいきます。以下のような表を用いて整理するとわかりやすいです。

キーワードの整理方法

RPP広告

RPP広告掲載イメージ

楽天内の広告で費用対効果が高く、キーワードの検索結果への表示順位に大きく影響するため、まず最初に取り組むべき広告です。RPP広告で設定したキーワードからの流入を取り、CVを稼ぐことで、将来的には自然検索で設定したキーワードで上位に表示されることを目指します。

RPP広告の設定方法
まず店舗として全体の予算を設定する必要があります。
特に表示したいキーワードが決まっている商品について、それぞれキーワードやCPCを設定します。
CPC目安を超える金額を設定することで、一定数設定したキーワードで検索結果に表示されるようになります。(希望するキーワードを入力してから、CPC入力項目にカーソルを移動すると、目安CPCが算出されます)
※RPPに商品は自動で表示されるため、表示したくない商品がある場合は除外商品登録する必要があります。

クーポンアドバンス広告

消費者の購買履歴や閲覧履歴をベースに最も費用対効果がよく購入される可能性が高いクーポン金額を表示して、購入を促進する広告です。ROASが1,000%以上期待できるため、RPPに続き、必ず活用すべき広告です。

基本的には楽天側が独自のアルゴリズムで最適な広告配信をしてくれるため、特別設定をいじる必要はありませんが、以下2点については、検討の余地があります。

  1. 値引き率の上限:上限を高くするほど、クーポン露出量、獲得数、利用数ともに多くなります(クライアントの方と相談して上限を設定しましょう)

  2. クーポン獲得単価:値引き率ほど影響はありませんが、クーポン獲得単価を引き上げることで、露出量を増やすことができます

クーポン消化枚数を増やしたい場合は基本的に値引き率の上限を引き上げることが効果的です。
弊社の過去支援実績からすると、入札単価を10円引き上げると、獲得枚数が20%程度UPしますが、利用枚数には影響が少なく、一方で、「値引き率」を「中」⇒「高」に変更すると、利用枚数が2倍程度に増加しました。

イベントサーチ

楽天市場には、「スーパーセールサーチ」という楽天市場のスーパーセール実施時にのみ表示される、値引き対象商品だけが表示されるサーチ画面があります。一定水準以上の割引にし、アクセスを大量に確保することで、売上の大幅アップを見込めます。一説には、楽天のスーパーセール期間中流通の8割がスーパーセールサーチ経由という説があるほどです。
スーパーセールサーチに表示させるためには、事前の申請が必要かつ細かいルールがありますので、以下の記事を参考にしていただければと思います。

メルマガ・LINE

メルマガはほとんど読む人がいないのではないか?という声もありますが、適切に運用できれば一定の効果が望めます。またLINEはメルマガと比較して見やすく、流通も2倍以上立つ傾向にあるので、リピーター醸成につながりやすいと言えます。

メルマガの配信事例

以下を注意しながら配信するのがよいです。

  • 配信タイミング:楽天のイベント開始時、5の倍数日

  • 配信内容:特別セール商品、クーポン、ポイントなどを訴求し、「今」購入する理由をつくる

メルマガ配信事例
メルマガ配信事例

LINEの配信事例
LINEを効果的に活用している店舗さまはリッチメニュー/メッセージを活用している店舗様がほとんどです。商品が見やすく購入につながりやすいため、実施していきましょう。

リッチメッセージで商品訴求
リッチメニュー

アフィリエイト

アフィリエイトは外部から成果報酬で集客できる施策です。リスクをコントロールしたうえで、集客できるため、ぜひ活用を検討しましょう。
施策には2通りあります。

  1. 「パートナーへの料率アップ」で設定した料率:
    全パートナーの中で、高い料率が紹介する商品の選択に影響を与えるパートナーが対象となり、料率5%~20%(1%ごとに設定可能)となります。

  2. プレミアムパートナーへの商品掲載:
    プレミアムパートナーとは、楽天アフィリエイトが認定する人気ブロガー、インフルエンサー、メディア等で活動するパートナーです。 プレミアムパートナー(商品提供)とは、店舗様から商品を無償でご提供いただき、ブログ、SNS等で紹介してもらうことで流通増加を図る施策です。

外部広告

基本的に楽天市場内の広告が一番費用対効果が高いので優先順位は下がりますが、楽天内の消費者は刈り取りつくしてしまった、という企業様は、外部の広告を使うことも有効です。Googleのリスティング広告やDMをつかうことで、新規顧客のアクセスを獲得できます。楽天市場にも楽天市場の会員データを活用して、外部に出稿するメニュー(楽天DSP)があったりするので、活用の検討をしてもよいでしょう。

4.客単価向上施策の実践

商品が購入される状態を整え、アクセスを確保し、売上が上がるようになってきたら、客単価を上げてさらなる売上UPを狙っていきましょう。

  1. セット商品の登録

  2. クーポン利用最低金額の設定

  3. 組み合わせの設定

セット商品の登録

売れ筋の商品の複数個セットや売れ筋商品と良く購入される商品とのセットを販売することで、客単価の向上を狙えます。

複数商品のセット販売


クーポン利用最低金額の設定

〇〇円以上購入で利用できる〇〇円OFFクーポンを発行するのがおすすめです。最低利用金額の10%OFFにする場合が、弊社のご支援事例では最も費用対効果が高いです。(例、10,000円以上1,000円OFF)

クーポン事例

組み合わせ購入の設定

組み合わせ購入を設定することで、複数商品の購入を促進し、単価を向上することができます。

最後に

楽天市場における売上UP方法について、長々と説明してきましたが、いかがでしょうか?正直そこまで目新しい情報がなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
ここまで説明してきてなんですが、ECの売上UPには近道はありません。様々な施策を試して、どの施策の効果が高いのか?どのような状況だと、どのような施策が効果的なのか?といったことを突き詰めて、自社に最適な施策を見つけていく作業が最も重要です。
PDCAを高速でかつ徹底的に回していきましょう。

最後に宣伝ですが、もしこのnoteを読んで、私にEC運営について聞いてみたい、コンサルや運営代行を任せてみたいと思っていただけましたら、以下までご連絡いただけますと幸いです。(簡単なご質問でも構いません)
twitter:@EcNabe
弊社HP:https://proteinum.co.jp/

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