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Web3のSocial Design 2:脱成長+Web3での経済成長

はじめに

地球温暖化を始め,人類が負荷をかけすぎて地球環境を壊している問題が注目されています.地球温暖化以外にも,プラスティックゴミ問題,衣服ロスや産業廃棄物などの廃棄物問題,森林破壊など,経済成長を続ける(先進国の一部の)人間が原因となって地球環境が許容できない範囲まで環境破壊が進んでいます.

母なる地球を破壊から守らなければならないことは自明だと思います.
では,我々人類はどうすれば良いのでしょうか? 今話題になっているのが「脱成長」です.資本主義は成長を前提としていますが,これ以上経済が成長すると地球が許容できなくなってしまうから成長を止めようという考え方です.でも我々は経済活動の成長を止めた社会で暮らしていけるのか? どうすれば成長しながら地球環境を守ることができるのか,この記事では,そこを議論したいと思います.

脱成長

マルクス研究家でもある斎藤幸平氏は『「人新世」の資本論』(集英社新書)で「脱成長コミュニズム」を提案しています.成長を前提としている資本主義に見切りをつけて,コミュニズムに移行しようという提案です.

ケイト・ラワースは『ドーナッツ経済』(河出書房新社)で,成長しなければ人類の生活を維持できないけれど成長しすぎると地球環境に取り返しがつかないダメージを与えるので,その間のちょうど良い成長を続けようという提案をしています.ドーナッツ経済は単純な脱成長ではありませんが,成長に制限をかけています.

ジェイソン・ヒッケルの『資本主義の次に来る世界』(東洋経済新報社)は,自然を支配して飽くなき利益を追求する資本主義を止めて,自然と共生するアニミズムと言う視点で成長に依存しない社会を作ろうという提案です.先進国と言われる欧米の資本主義が発展途上国とよばれる国々を植民地化し安価な労働力として消費し,利益追求のサイクルを回し続けたことで生じている格差に問題点を指摘し,利益を求める資本主義を批判しています.この提案も脱成長を目指しています.

これらの提案は,資本主義は成長することと一体であるから,成長を目指さない新しい社会と経済のシステムに移行しようとしています.でも,成長なしに我々の暮らしを維持することができるのでしょうか? 株価が暴落したら大恐慌が起きるのではないでしょうか? 成長しながら地球環境の破壊を免れる方法はないのでしょうか? 次の章ではそこを議論したいと思います.

地球環境を破壊しない成長の可能性

地球上で経済活動を行うと地球環境を破壊します.でも,宇宙やサイバー世界で経済活動を行って,リアルな地球では自然と共生する豊かな暮らしを送ることもできるのではないでしょうか? 宇宙進出にはまだまだ時間がかかりますが,サイバー世界での経済活動はすでに実施できる状態にあります.渡辺が提案するのは,Web3(メタバース)での経済成長です.

Web3が登場するまで,デジタルなサイバー世界で経済活動を行うことはできませんでした.デジタルな世界では簡単にコピーできるので,希少性がある財産を所有したり売買したりできなかったのです.しかし,ブロックチェーンが登場し,ブロックチェーンに基づく暗号資産(トークン)が登場し,NFTという代替不可能なトークンが登場したことで,デジタル世界のアイテムに唯一無二な希少性をもたらすことが可能になりました.クラウドに保存されているあるデジタルデータに対して,その所有者をブロックチェーンに書き込むことで,そのデジタルデータの所有者を決めることができるようになったのです.2021年には大ブレークして,十億という値段がついたNFTもありました.今ではメタバース上の土地も売買されています.つまり,メタバースのようなサイバー世界で経済活動を行えるようになったのです.

後述する電力問題を除いて,サイバー世界での経済活動はリアルな地球に直接の影響を与えません.サイバー世界で土地を造成したり商品を製造したり廃棄したりしても大丈夫なのです.

電力問題に注意が必要

サイバー世界の活動はコンピュータを利用するので電力が必要ですし,リアルな世界でコンピュータを製造する必要があります.ですから,地球環境に負荷をかけないコンピュータ製造方法や,電力確保の努力と工夫が必要になります.車が全面EV化しているように,電力需要は増加する一方です.自然エネルギーや核エネルギーなどを利用する技術を向上させること,電力消費が少ないサイバー世界を構築することがとても重要です.

ビットコインを維持するために必要なProof of Workというマイニング活動はかなりの電力を消費します.ビットコインと並ぶブロックチェーンであるイーサリアムは電力消費が少ないProof of Stakeに移行しました.このような電力消費効率化の取り組みが,Web3やメタバースなどのサイバー世界を維持するシステムに不可欠です.

渡辺の提案:Web3というサイバー世界での成長

資本主義の世界で生きている我々の経済活動が地球環境に負荷をかけすぎて地球環境を破壊してしまう危機に面している今,地球を守る経済活動に転換することは緊急の課題です.メタバースに代表されるサイバー世界で経済活動を行って,サイバー世界で成長していけば,電力負担以外の負荷をリアルな地球環境にかけることが避けられます.

経済活動や経済に関わる社会活動をサイバー世界で実施し,人間はリアルな地球で,豊かな自然を守って母なる地球と共存して暮らす世界,それが渡辺が提案する世界です.コロナ禍を経験したことで,我々はオンラインで会社勤務をしたり教育をしたりできることに気づきました.それを更に進めましょう.幸い我々にはブロックチェーンという技術があり,Web3という新しい社会を構築することができます.

(2023年5月24日追記)サイバー世界では経済成長を継続して,リアルな世界では地球環境に負荷をかけない脱成長とでもいうべき暮らしを送る,それが渡辺が目指す世界です.

では我々はWeb3でどのような社会を築くべきなのか,それが渡辺の今の大きな研究テーマです.noteにもこれに関して色々書いていこうと思います.

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