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『ソウルメイト』ひとくち感想

ユナイテッド・シネマ新潟にて、公開日の本日2月23日(金)に観てきました。

公募展で大賞に選ばれた「作者・ハウン」という記載だけで応募された絵画。そこに描かれていたのは、高校生のミソだ。ギャラリーの担当者から、ハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けたミソだが、ハウンとは幼い頃に遊んだだけの仲だと語る。ハウンのブログにはミソとの深い関係が綴られているにも関わらず…。

ミソとハウンは小学生からの大親友。性格も価値観も育ってきた環境も正反対だが、唯一の共通点は絵を描くのが好きなことだった。ずっと一緒に生きていくと約束する2人だったが、17歳の夏、ハウンに恋人ジヌができたことで少しずつ気持ちがすれ違っていく。そんな中、ミソは済州島を離れてソウルで暮らすことを決意。しかし、ソウルでの暮らしは精神的にも肉体的にも過酷だった。生きていくだけで必死な日々を過ごしていたミソだが、ハウンには絵の勉強をしながら旅をしていると嘘の手紙を送っていた。それから5年が経ち、再会を果たした2人は、釜山旅行に出掛ける。久しぶりに2人で過ごす時間に気持ちが昂るも、価値観の違いによって大喧嘩に。それを機に、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンは忽然と姿を消した。2人だけの“秘密”を残して…。

公式サイトより


最高でした。すっごくおもしろかった。

ネタバレにならないように魅力を語ろうとするとすごく困ります。予告編や冒頭でなんとなく予想した内容に対していい意味の裏切りが続いていく。

こればかりはもう、ここで読むのをやめてとりあえず観に行きなさい!としか言いようがないです。とにかくおすすめなので…


本作『ソウルメイト』は、小学生から大人になるに至るまでのミソとハウンの友情を描いた映画です。

二人が親友同士であることは変わらないまま、高校生や青年になるにつれて時期や生活が変わると同時に、お互いの見え方や感じ方にも変化が訪れていく。こういう時間経過を丹念に追っていくことができるのはやはり映画ならではだと思います。

大人になるまでに微妙に変化してゆく友情関係もそうですし、生き方が人ごとに違うばかりか、一人の人生の中でも変わっていく等のさまざまな移ろいが描かれるところには、ちょうど彼らと同じような年齢になった私自身も強烈な共感を覚えるところでした。

さらに言えば、私もかつてはイラストを描いていたことがあるし、仕事や住む場所を転々としていたことがあります。そうした個人的な経験も相まって余計に、絵を学びながら旅をするミソの人生や「やりたいようにやりたい」という考え方、引いては絵そのものが重要なモチーフとなってゆく映画のストーリー全体に対してかなり入り込むことができました。まるで自分の物語が他者によって代わりに語られているようでもあった。

ミソとは対照的に、無難に進学して就職したハウン
自分がやりたいことについて正面から考えたことのなかったハウンに訪れる違和感や迷いもまた、覚えがある人は多いのではないだろうか

この映画はきっと、もちろん詳細な部分については大きく異なっていたとしても、いろんな経験を持ついろんな人にそれぞれの仕方で刺さる映画だと思います。

ぜひ自分のこれまでのことや、あるいはこれからの迷いについて、この映画を観ながら重ねてみていただきたい。

若い人にも若かった人にも、おすすめです。

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