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鍼灸接骨院の見極め方

ケガをした時や体の不調がある時に、体の治療手段やメンテナンスとして鍼灸接骨院を選ばれる方も多いかと思います。
私自身、接骨院に4年、その次に鍼灸接骨院に2年通いました。
その経験を基にお話ししたいと思います。

まず、鍼灸接骨院は基本的には国家資格を持った鍼灸師や柔道整復師が多くいます。
(資格を持っていない場合は「整体師」と名乗る場合が多いようです)
その鍼灸接骨院が保険が使えるところだった場合、無条件に信じてしまいやすい傾向が生まれます。
しかし、一人一人がきちんと見極めていかなければなりません。
その理由をお話します。

手技だけの接骨院よりも鍼灸がある方が有効性は高いと感じます。
筋肉へのアプローチはもちろんのこと、ツボや経絡にも働きかければ内科的なアプローチもできるからです。
ただしこれは鍼灸師の腕によりけりです。
経験年数の長い鍼灸師でも、東洋医学に精通していなかったり、患者の体と向き合わずに商業主義に陥っている場合もあるからです。
筋肉の固いところに鍼を打つのは得意だけど東洋医学は苦手という鍼灸師は多いです。
しかし、鍼灸接骨院では内科的なものもオールマイティに何でも診れると宣伝しながら、鍼灸師が勉強したり知識のアップデートをしていない場合があります。

鍼灸接骨院で「妊活」を売りにしている場合もあり、これは女性の一生を左右する一大事ですので、特によく見極めていく必要があると感じます。

見るべきポイントはいくつかあります。

患者を患者として扱っているかどうか

残念ながら患者を「顧客」としてしか見ていないところもあります。
宣伝文句は立派だったり初回のカウンセリングは時間をかけても、回数券を買わせたら「獲ったどー!」とばかりに、「釣った魚に餌はやらない」場合もあります。
「ベルトコンベアーでどんどん流れてくる【体】を流れ作業的に処理する」というところもあるのです。
これは恐らく経験した人にしかわからない表現だと思います。
見極めるポイントは以下のポイントです。

●傾聴ができているか
患者の体の悩みや症状に対して真摯に向き合っているかどうかです。
傾聴どころか、患者が訴えていても聞いているようで微妙にスルーしたり、適当なことを言ったりしている場合もあります。
これは私達が自分の体や健康に向き合っていないと気付けないことかもしれません。
「素人だからわからないだろう」と思って適当にあしらっている場合もあるからです。
そのため、患者サイドでも、依存し過ぎないで自分でも勉強することが重要です。

院長が「顧客をスピード勝負で処理する為の司令塔」になっていて、自らも流れ作業の施術に陥ってしまっている場合も多々あります。
又、全ての不調を「姿勢の歪み」ということにして、今ある痛みを訴えても直接は対処せず、ひたすら肩や腰に対処して、骨盤矯正や猫背矯正に誘導されることもあります。

言った事に真摯に向き合ってくれていますか?
微妙にスルーされてたり、「素人だからどうせわからないだろう」という態度を取られていませんか?
経験年数の若いスタッフの場合、質問された時にその場でわからなくても誤魔化さず、他のスタッフに聞いたり、その場で調べたり、又は次回までに調べてきていますか?
スタッフ同士の連携は取れていますか?
「みんなで患者さんの体を良くしていこう」という体制が取れていますか?

私はマッサージの時に「ここが硬いですね」とか「ここに不調がありますね」と言われましたが、筋肉の名前がよくわからなかったので、「鍼灸師の先生にお伝えください」と言ったのに、伝えられていなかったことがあります。
その後の鍼灸の施術では「いつもの場所」に鍼を打ち、姿勢矯正の回数券を消費するパターンでした。
スタッフ同士で「この患者さんは今日このような体の状態なのでここに鍼を打った方がいいと思います」などの引き継ぎが無いところは、「みんなで患者さんの体を良くしていこう」という体制は取れておらず、回数券を売る為に姿勢矯正に誘導する為の施術をしている可能性があります。

「傾聴」というと「自分もそういう経験があります」「痛いですよね。わかります。」とか「お辛いですね」と言って共感するだけという場合もあります。
しかし、心理カウンセラーではないのですから、話を聞いて共感するだけではなく、具体的な施術で良くしなければ意味がありません。
問題解決をせずに、ひたすら共感の言葉だけされる場合もありますので注意しましょう。
その場合は本当に共感しているわけではありません。
ビジネスで共感したフリをしているだけです。
人は共感されるような言葉を言われると自分が理解されていると思い込みがちですから、心理操作の手段として共感の言葉を使っている場合もあるのです。

●回数券を買わせることがメインになっていたり姿勢矯正に偏っていないか?
自費診療の回数券を買わせるビジネスモデルには、「顧客を嵌めたい枠」というものがあります。
猫背矯正・骨盤矯正・EMSというメニューが一般的で、それを売る為にはなから首・型・背中・腰しか見ていない場合もあります。
私も今思い出すと、最初のカウンセリングで姿勢だけ見てろくに体に触られずに施術計画が立てられていました。
上半身、しかも背面ばかりの施術が行われ、下半身の施術に取り掛かったのは通い初めて1年後からでした。
保険適用の幹部(大腿部)の施術に取り掛かったのは実に2年後です。
下半身の痛みを伝えてはいたのですが、いつも微妙にスルーされていてそのうち諦めてしまっていました。
意を決して自分からしつこく言わなければ延々背中や腰しか施術されなかったのです。

例えば、足に痛みがあってそれをかばうように歩いている場合、その患部の治療を行わないまま、猫背矯正や骨盤矯正をやっても、穴の開いたザルに水を注ぐようなものですよね?
しかしその患部の施術が保険適用の部分だけで済んでしまう場合、姿勢矯正の自費診療に誘導できないと見なされると、軽視されることさえあります。

どうしてこのような事が起こってしまうかというと、「根本改善=姿勢改善⇒姿勢矯正メニューを売る」というマインドセットに基づき、自費の診療メニューを売る事に注力しているからです。
宣伝文句でよく使われている「根本改善」という言葉は、患者からすると全身を診てくれるように期待しがちですが、実は「姿勢の根本改善」のことを言っている場合が多いのです。
ですから、患者の不調や痛みに向き合わずに、ましてや全身を診ずに猫背や骨盤ばかり見てひたすら姿勢矯正のメニューを売り続けるのは、彼らからしてみると「全ての不調は姿勢の歪みが原因なので、姿勢が根本改善すればその不調や痛みも良くなるはず」という確固たる信念があるからです。
しかし姿勢が改善したとしても「体を使い続けると姿勢もその都度歪む」と何だかんだ言って通い続けるように促します。

患者の立場からすると「商業主義」とか「売上至上主義」のように見えますが、やっている本人達は「患者様の体を根本から改善している」という確固たるプライドがあってやっています。
ですからそこに考えのギャップというものが生まれてしまうのです。
私が通っている鍼灸接骨院のブログを見てみると、これを良く表している事例がありました。
「自律神経の乱れが原因の頭痛」とか「慢性的な疲れ」というタイトルで、ブログの中身は「頭痛の原因は様々ですが、骨格の歪みを治すには姿勢矯正メニューがお勧めです」「猫背矯正にも対応しています」というものでした。
又、「寝違えによる頭痛やめまい」というタイトルで、内容は「寝違えてしまってそれを放っておくと痺れなどの神経症状が起こる可能性があります。一番のお勧めは姿勢改善です」というものでした。
恐らく、全てを姿勢矯正に誘導する為の強烈なマインドセット(思い込み)により、患者一人一人の状態に合わせて施術するだけの思考ができなくなっているのが原因だと思います。
極端な例ですが、私は実際に突発的な原因による痛みや不調を訴えてもスルーされ、姿勢矯正に誘導され、更に痛みを訴えると「そんなに痛いなら病院で鎮痛剤をもらって飲めば?」と言われたこともあります。
恐らくそれは、「姿勢矯正すれば良くなるんだから長期的な視点で見て我慢できないならとりあえず病院行って薬でももらえば?」ということだったのではないかと思います。
それを院長に相談すると、そのスタッフの発言に驚きもせず、「社員教育が行き届いてないので改善します」という言葉もありませんでした。

実際に院長に「なぜブログに”根本改善”と言いながら姿勢矯正のことばかり書いているのですか?」と質問したところ、「”この疾患が治る”という書き方をすると法律に引っかかったり、治せなかった時に患者から問題にされるからグレーな言い回しにしている」と言っていました。
(「根本治療」と書いてある時もありましたが、それは無意識に書いてしまっただけで本来は「治療」という言い方すらしないそうです)

そうであれば「骨盤の歪みや姿勢が悪いことが原因の不調に対してアプローチしていき、姿勢を改善します」という宣伝文句にすれば良いわけですが、グレーな言い回しをすることにより、いざとなったら「あくまでも当院では不調の原因を姿勢の歪みとして捉えているのに、顧客側がそれ以外のものを勝手に期待して全ての疾患が良くなるという勘違いをした」と言い逃れするつもりなのでしょう。

●「患者から言ってくるのが当たり前だ」という態度になっていないか
「患者からの自己申告が無いとわからない」という態度を取る施術者がいます。
人間というのは慢性的な痛みに対して鈍感になっていたり、忙しい日常生活を送る為に不調を無視してしまう傾向がありますし、不調の原因が何なのか素人なのでわかりません。
それを見抜くのがプロなのですが、自費メニューを売ることばかりを考え、患者を診ていないからそういう発想になるのです。
しかし、不調を伝えても微妙にスルーされて姿勢矯正メニューに誘導されたり、いざとなった時に責任転嫁されてしまうと「自分が悪いのかな」と思い込んでしまう患者もいるでしょう。

●患者の体をきちんと触っているか
患者の体を全く、あるいはほとんど触らずに鍼を打つ鍼灸師がいます。
大量の「お客」を「処理」する為に、いかにして鍼を速く打つかばかりに意識が行っている鍼灸師もいるので注意しましょう。
柔道整復師や整体師はあなたの体を先入観なく客観的に見ていますか?
「この人は猫背だから」とか「この人は腰痛があるから」という先入観で肩や腰ばかりを見ていませんか?
人間の体は全て繋がっています。
特定の場所だけ見ていたのでは根本的な治癒には繋がりません。

●いつも同じところばかり施術していないか?
マッサージは見分けがつきにくいですが、鍼治療や電気治療器を当てる場所などは分かりやすいです。
ある程度の期間同じところを施術するのはありますが、それが2~3ヶ月以上続いているようなら注意しましょう。
特に、肩や背中や腰あたりに集中している場合は、猫背矯正や骨盤矯正を売る為にそこしか見ていない場合もあるからです。
必然的にマッサージもそこを中心に行われることになります。
他の箇所で集中的に施術すべきところがあってもスルーされることもあります。

●インフォームドコンセントがあるかどうか
あなたの体の状態を説明して、どうしてその治療が必要なのかきちんと説明できるかどうかです。
「このような施術をします」という説明があったり、「今回このような施術をしましたが、次回どうだったか聞かせてくださいね」などの声掛けはありますか?

そもそも対応のバリエーションや選択肢が少なく、回数券を「消費」させる為の施術になっている場合があります。
その場合は「先週は猫背矯正やったから今週は骨盤矯正ね」とか「前回骨盤だったから今回は猫背やっときましょうか」という感じになります。
回数券の消費ありきで肩や腰しか見ていない場合も多々あります。

回数券を持っていない場合は「どうしますか?」とお伺いがあっても、回数券を持っている場合には聞かれもせずに骨盤矯正の機械のところに誘導されたり、スタッフが猫背矯正のストレッチポールを持ってきたりして、全く断る隙を与えない場合もあります。
そのため、「回数券を持っている方が雑に扱われる」という事も起こってくるのです。

●東洋医学の舌診・問診・触診・脈診などはあるか?
東洋医学に基づいて内科的なアプローチができるとうたっている鍼灸接骨院もあります。
しかし鵜呑みにしてしまうのはやめた方が良いです。
例えば妊活などは、その人の体を根本から変えるような大きな改善が必要な場合があります。
その他、内科的・精神的な症状に関しても、このような詳しい診察が無いのに鍼を打たれている場合、残念ながら自律神経を整える程度のツボにしか打っていない可能性が高いです。

東洋医学というのは、どうしてその症状が起こっているのかを、その人の体質や様々な角度から見て、その人に合った選択をするものです。
「この症状ならこれ」という西洋医学とは全く違います。
例えば同じ東洋医学の漢方薬だと、風邪の症状でも人によって・タイミングによっては飲むものが全然違ってきます。
きちんと見極めないと逆効果であったり副作用が出る場合もあります。
漢方薬局の薬剤師や登録販売者は、東洋医学の知識に基づいて毎回30分以上かけてカウンセリングをしてその人に合った漢方薬を決めます。

このように東洋医学では非常に細かい判断基準がありますので、相手をろくに診ていないのに施術できるはずはありません。
国家資格を持っているとはいえ、東洋医学の知識は国家試験の勉強の為の教科書的な暗記のみで、臨床の経験もほとんど無い鍼灸師はたくさんいます。
患者に細かい質問もせず、舌を見る事もなく、症状を聞いただけで「わかりました」と言う鍼灸師がいたとしたら、注意した方が良いです。

そういう場合は、内科的な症状は自律神経の乱れが原因ということで自律神経を整える程度のツボに鍼を打たれるか、自律神経が乱れるのは骨盤が歪んでいるということで姿勢矯正に誘導されるか、そういったことを「対処できる」と言っている場合もあることを覚えておきましょう。

私は長年漢方薬局に相談して漢方薬も飲んでいたのである程度の知識はありますが、鍼灸師さんと話をしていて「え?こんなことも知らないの?」と思うことは多々ありました。
具体的には、私は「肝火上炎」が原因でめまいやのぼせがおきていたのですが、それを説明して施術してもらうように言ったら、「そんなものが原因でめまいが起きるなんて聴いた事無い」と言っていました。
又、「寝汗をかくので陰虚ではないかと思うんですよね」という話をしたら、「陽虚は聞いた事あるけど、陰虚は無いよ」と言って笑われたことがあります。

実はこのように、内科的な症状のある場合に東洋医学を用いる必要があるのに、できないのに何でも対処できるフリをしている場合もあるということです。
私は内科的な症状に対してその鍼灸接骨院が対処できないと判断したので、「鍼灸院に転院する」という話をしたのですが、院長に「僕にはできるから責任もって診ます」と言われましたが、私の体質すら把握していませんでしたし、把握するつもりも無いようでした。

ちなみにその院長はその数か月後に「東洋医学的な施術をして良くなったところで、本当にそれが効いたのかどうか因果関係は証明できない」と言っていました。
その接骨院は院内に「妊活」という言葉を使って掲示していましたが、そのことについて聞くと「インターネット上にそのように宣伝すると法的に問題になるけど、院内に掲示するのであれば問題ない」「あくまでも”妊活”であって妊娠できるとは言ってない」とのことでした。

もちろん婦人科で不妊治療を受けても子供が授かるかどうかは確実なものではないのでそういう表現をせざるを得ないのはわかりますが、東洋医学に一縷の望みを賭けている人は、「施術にかける姿勢」をきちんと見るようにしが方が良いと思います。
「私の体質はどのようなものですか?」「どのようなアプローチをしていきますか?」など質問してみて、曖昧な答えしか返ってこないようなら、転院も考えた方が良いと思います。

●経過観察をしているか
長く通っていて「前はこういう状態だったけど今はこういう状態になっている。ここより他のところに施術の焦点を移した方が良い」など、全身の経過を診ながらやっているかということです。
これができていない場合は、客観的に体を診ていないということですので、いくら長く通っても根本改善とはならないでしょう。
※「根本改善(治療)=姿勢矯正」だから姿勢矯正メニューに誘導したら根本改善に繋がると本気で思っていたり、そのような宣伝文句で釣ろうとする施術者もいます

●家庭での筋トレやストレッチの指導をしているか
早期の卒業を目標にしているところは、いずれ通わなくなるか、メンテナンスの為に通っても1~3か月に一度の来院を想定しています。
筋トレやストレッチの指導をして普段から癖付けるようにするはずです。
継続的に通わせることを目標にしているところは、依存させようとしているので、本人が意欲的で聞いてこない限り、筋トレやストレッチを嫌がる人には指導しません。

●不安を煽ったり安心させるような心理操作は無いか
これは最も見抜くのが難しいことです。
わざわざ鍼灸接骨院に通うというのは体の不安があるからで、どうにか不安を解消したいという心理が働き、安心させるような事を言われると依存してしまいがちです。
だからこそ、その不安を利用してコントロールしようという人に付け込まれやすくなってしまうのです。
安易に100%信用してしまうのではなく、常に客観的に見る事が重要です。

「通わなくなったらまた痛みが出てくる」とか、長く通っていても「通う頻度が足りないから痛みが改善されないんだ」という心理状態になっていませんか?
「根本改善」と宣伝しながら、通い続けないと健康が維持できないと思わせるようなところは不安を煽って心理操作している可能性が高いです。

●施術以外の理由のアピールや責任転嫁が無いか?
「仕事のストレス」「季節の変わり目」「寒暖差」「ホルモンの関係」こういうものはもちろん体に影響するものです。
しかし「~だからしょうがないよね」というニュアンスの事を言い訳のように言い、それに対して具体的な治療プランも無く、体を根本的に改善してそういうものに左右されないような体にしていこうなどとも考えていない場合も多々あります。
実際に私も鍼灸師から「季節の変わり目で体が辛いでしょう?」と決めつけて言われて、「いいえ、この時期の不調は排卵の影響が強いです」と返すと、相手は「…」無言でスルーしてきました。
それは心理的操作のテクニックなので、体調がすぐれない本当の理由を探って施術しようということではなく、「わかってますよ」的な雰囲気を醸し出すテクニックなのです。
でも自分の体が良く分かっていない患者からすると「ああ、そうか。季節の変わり目だから体調が悪いんだ。私の体のことをよく分かってくれてるな」と納得して信頼してしまうのです。
そしてそういう患者がネットで口コミを書き、それを見た新規顧客が来るというわけです。

又、「痛みや不調がある場合は自分(患者)から言うのが当たり前。言わないのが悪い」という責任転嫁のスタンスのところにも注意しましょう。
人間は自覚症状が無かったり、慢性化した痛みや不調をスルーしてしまう場合もあります。
痛い場所に原因があるとも限りません。
それを見抜くのがプロというものです。

●聞かれたくない事を聞いた時に不機嫌にならないか
「不機嫌ハラスメント」をご存じでしょうか。
聞かれたくないことを聞かれた時に、不機嫌な態度で威圧するやり方です。
知らない事を聞かれたり、保険のことを聞かれた時にこれが発動する場合も多いようです。
(不正受給があって無意識の防衛本能があるから)

●プライベートな話題で人間関係を構築しようとしていないか
プライベートな話題で愚痴を聞いたり、おだてたり、時にはディスったりすることによって、感情コントロールによって関係を構築しようとしている場合があります。
単にトークが上手いのかと思っていたら相手によって巧みに接し方を変え、離れて行かないようにがっつりマインドコントロールされていたということもあり得ます。
そういうことで関係を構築しようとしているスタッフがいる鍼灸接骨院は、たとえ国家資格を持っていても、患者の体を良くしようという意識が低く、営業トークを使用した商売に著しく傾いている場合が多いです。
患者が離れていくリスクがあるのに何故そういうことをするかというと、単純にそれ以外の人間関係の構築の仕方を知らないか、洗脳されやすい人をそれぞれのやり方でコントロールして長く通わせた方が効率が良いからです。
ある程度体が良くなってしまうと、もう通ってこなくなりますからね。

●長年通っている人の話を平気でしていないか
「うちは10年通ってる人もいるんですよ」という自慢をしたがる接骨院もあります。
しかしそれだけ長く通わなければならない状態にあるということです。
「どうせ完治することはないだろう」と思っている場合もあります。
メンテナンスでたまに来ることはあっても、長く通っている人がいるから信頼できるというアピールをするところはプロ意識が低いと思った方が良いでしょう。
プロ意識があれば長年通わせていることを恥ずかしいと思うからです。

最初のカウンセリングでろくに体を診ていない(触ってもいない)のに問診や姿勢を見ただけですぐに回数券を買わせようとするところも要注意です。
「卒業」を目標にしている鍼灸接骨院はなるべく早く卒業させようとしますが、回数券を売る事を第一としているところは3~4ヶ月かかると説明しておいて期待を持たせ、回数券購入に誘導するパターンがあるからです。

長期で通わせて搾取しようとするところは結局3~4ヶ月過ぎても、何も言わずに、何も考えずにしれっと同じ施術を続けます。
それどころか患者を囲い込む為にまた更に回数券を買わせようとすらします。
「もうだいぶん良くなりましたね」などと言われることはないので、それぞれが見切りをつけて「終了」させるしかありませんが、引き留められたり、不安を煽るような事を言ってくるでしょう。

カモられていることに気付いて通うのをやめたり他に転院したいのであれば、回数券を消費した後に次回の予約をしておいて、頃合いを見計らってキャンセルの電話を入れて「また予定が決まったら電話します」と言って連絡しないでやめるのがスマートなやり方です。

●施術者の中には精神的な病や心の問題を抱えた人が一定数いる
どの業界・どの職種でも一定数は心の病を抱えた人がいます。
心の病を抱えていると他人との境界線が曖昧になったり、心を守る為に無意識の防衛機制が働きやすくなります。
代表的なものは、
合理化・・・ 受け入れがたい感情や欲求をもっともらしい理由をつけて自分を納得させること。いわゆる正当化。
歪曲・・・現実の出来事や情報を歪めたり、変形させたりすること。
分裂・・・不安や葛藤から逃れる為に、自己イメージの中での自分を「成功した人」と「価値の無い人間」に分割し、「成功した人」のイメージを自分のものとして、「価値の無い人間」の方を他人に投影する。
といったようなものがあります。
防衛機制の中でも「昇華」であれば、「負のエネルギーを文化的に認められる良い方向へのエネルギーに転換させること」なので、本当に患者と向き合いながら治療家としてのスキルアップに努める可能性もありますが、売上至上主義に向かってしまった場合、上記のような防衛機制が色濃く出てきてしまう場合があります。

また、自己愛パーソナリティ障害を患っている場合、イメージ上での自分の理想像が高く、自分は特別だと思い込んでいるので他者からの評価を受け入れることができず、傷つくのを回避する為に突然相手を威圧したりします。
共感性が欠如し、相手の立場に立って物事を考えることができず、その場にふさわしくない言動をしていたり、自分の目的達成の為に他人を利用したりします。
ターゲットにした相手が大事にしているものを、けなしたり貶めたりすることもあります。
「与える」と「受け取る」のバランスが取れず、常に「奪う側」に回るのも特徴です。
「自己愛」というと「自分を愛し過ぎる」とイメージしがちですが、実際は「ありのままの自分を愛することができない」ということを意味します。
そのため、常に偽りの自分像で生きているのです。

施術者がこのような心の病を患っていた場合、職場や家庭に留まらず、無意識のうちに顧客(患者)をもターゲットにしてしまう場合があります。
売上至上主義のビジネスモデルだった場合は、「自分の目的達成の為に他人を利用する」をきっかけに、患者へのモラハラに発展してしまう場合もあります。
「患者にモラハラするなんてあるわけない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、医療施設・福祉施設で職員による患者への虐待が立件されている事例も多数あります。
職業倫理は精神の健全性があってこそのものです。
自分を道徳的な人間や成功者に見せる為に、他者への奉仕の精神があるかのように演じている場合もあります。

そんな支配欲の強い自己愛性パーソナリティ障害の人のターゲットになりやすいのは、「自己肯定感が低い人」です。
自己肯定感が低いと雑に扱われたり軽く見られたりしても気付かず受け入れてしまうからです。
「自分さえ我慢すれば」という心理も起きやすいのです。
また、幼少期に親との機能不全の関係性で愛着障害を抱えてしまった人も、自己愛のターゲットになりやすいです。
生きていく為に高圧的な人の顔色を窺い、ひたすら迎合してきた実績があるからです。

鍼灸接骨院だけではなく医療機関やセラピーなどに行く人の大半は怪我や病気などの問題を抱えているので、生育状況に問題はなくても、自己肯定感が一時的に低くなっている場合があります。
ですから、
売上至上主義×他者を利用したり奪う事をためらわず、偽りの自分像で生きている自己愛パーソナリティ障害の経営者×自己肯定感の低い患者
というのは、パズルのピースがカッチリハマってしまうかのようにお互いが引き合ってしまうのです。

又、自己愛性パーソナリティ障害を患っている人は、自分を魅力的に見せるのが上手く、カリスマ性のある人物として映る場合が非常に多いです。
ですから、知らず知らずのうちに全てを委ねてコントロールされてしまうこともあります。
有名芸能人が整体師や気功師など(占い師という場合もありましたが)に心酔してしまったという事例がありましたが、これはカリスマ性にハマってしまったからです。
これは誰にでも起こり得ることであり、いかに気付いて自分で正常な判断をするかがポイントになります。

●施術者に認知の歪みはないか?
先ほどの精神的な病にも関連してくるのですが、「認知の歪み」とは「自分の欲求を正当化する為に物事を都合よく歪める脳の働き」です。
その中に「一般化」というものがありますが、これは少数の事例で他の全てが同じだと判断してしまうことです。
「情報が揃っていない」「まだ全てを判断するには早い」といった段階から判断することにもつながります。
また、「認知の歪み」の中には「レッテル貼り」というものがありますが、これは「あの人はこうだから」と決めつけ、一度レッテルを貼ると矛盾した情報は認知されず、現実的には捉えられなくなります。
それらが起こると、今度は「複雑な思考ができなくなる」という問題が起こってきます。

「患者が自分から不調のある個所を報告しないとわからない」と言われていたので、私は痛みを訴えて「ここに鍼を打って下さい」とまで言っていたのに、それをスルーされたことがあります。
「どうして打たないんですか?理由を教えて下さい」と言ったら「あ、忘れてた」と言って何本か鍼を打ち換えられたことがあります。
又、先ほどのブログの話にも関連するのですが、ブログのタイトルと本分の内容が全く別だったこともあります。
認知の歪みが進行すると、ほんの1~2分の短期記憶にまで影響を与えてしまうということです。

認知の歪みを放置して症状が進んでいくと、自分がやろうとしていたこと、さっきまで認識していたことがわからなくなったりする可能性があります。
最初は自分の欲求を満たす為の都合の良い解釈や歪みだったものが、そのうち正常に思考できなくなり、複雑な処理ができなくなってしまう場合があるのです。

元々優秀だった人や社会的な成功者は特に自分に自信があるので、「自分のやり方は絶対に正しい」と考えるあまり、認知の歪みに気がつかない恐れがあります。
認知の歪みは多かれ少なかれ誰もが持っているものですが、その自身の裏に劣等感があったり、売上至上主義に走っている罪悪感があるとそこから目を背ける為に、「自分はプロだから」 という偽のプライドを持ってしまうことにもつながります。

普通の仕事なら取引先とのトラブルで気付く可能性もありますが、相手が患者だと、カーテンの向こう側で1対1の関わりになりますし、患者が「自分の知識が無いのかな」と思ってしまいがちになります。
何かがおかしいと気付いた患者は無言でやめるだけです。

施術者が、姿勢矯正に誘導する為の強力なマインドセットに囚われて客観的に患者の体を診る事ができず、いつもの施術のパターンに陥っていても、本人は気付かないということです。
それどころか、認知力や思考力の低下による負荷を軽減させる為に、増々パターン化した施術に頼ってしまうということも起こり得ます。
ですから、私達が患者の立場でよく見なければならないのです。

●施術者や経営者がスピリチュアルに傾倒していないか
宗教やスピリチュアルは個人的な信条なので否定はしませんし、それぞれの自由があります。
しかし患者に影響するような範囲にまで及んでいた場合、注意する必要があります。
東洋医学はWHOでも認められている学問ですが、「気」という目に見えないエネルギーを扱っているため、スピリチュアルと親和性があります。
単に施術を受けに行ったはずが、自分が予期しない形でその手のエネルギーを押し付けられている場合もあるのです。
これを「スーパーインポーズ」といいます。
逆に「エネルギーヴァンパイア」といって、エネルギーを吸い取られる場合もあります。
これは施術者本人もよくわかっていなくてやっている場合が多々あります。
体を良くしようとしてお金を払って行っているのにこんな目に遭うなんて嫌ですよね。
(エネルギー的な施術をしている事を分かっていて、自分で選択して行っているのであれば問題はありません)

その場合は見極めたり防ぐのは難しいですが、言動から判断するしかありません。
これは実際に経験したことですが、院長が、患者さんが連れて来た赤ちゃんが寝ているベビーカーを押してヘラヘラ笑いながら、何かに取り憑かれたかのように院内中を走り回っているのを目撃したことがあります。
その異様な雰囲気にスタッフも患者も、誰もが唖然としていました。
その院長は「自分の人生は全て自分の思い通りにしてきた。引き寄せの法則にハマっている。」と言っていましたが、それは他人や状況を自分の都合の良いように利用したり動かす為に、心理的なコントロールをしているだけでした。

その場合は言動に現れていましたが、エネルギー的な識別力(怪しいものを察知する能力)を身に着けるまでは、むやみに近寄らない方が良いと思います。特に、エネルギーを感じやすいエンパス体質の方は、スピリチュアルな事に興味を持ちがちですが、中には危ないものもあることに留意しましょう。

●スタッフの入れ替わりは激しくないか
業界として人材が流動的であるという理由もありますが、経験の浅いスタッフがどんどん辞めていく場合は、きちんとした指導や教育がなされていない可能性があります。
「みんなで患者さんの体を良くしよう」という共通の意識があれば、経験の浅いスタッフが困った時にすぐに先輩に聞きに行ったり、次の施術の時までに分からなかったところが解決しているはずです。
院長が威圧的な人で患者の立場から見てもわかるような場合、スタッフはもっと圧力を感じるはずです。
私が通っていたところでは2年の間に10人ぐらい辞めていました。
辞めたスタッフ鍼灸師さんが辞める前に「とにかく速く鍼を打てとせかされる」と言っていましたが、回転率重視なので傾聴など想定していないですよね。

どのようなビジネスモデルなのかを見抜く

●回数券ビジネスになっていないか
「回数券を買わせてしまえばこっちのもの」とばかりに、今度はいかにしてその回数券を「消費させるか」ということに重点が置かれ、「猫背矯正」や「骨盤矯正」「EMS」などに誘導しやすい体のパーツしか見ていない場合があります。
パッケージとしての標準の「流れ」があり、その「型にはめようとする」ということです。
実際接骨院向けのビジネスセミナーやコンサルで教えられているのは、いかに回数券の購入率を増やすか・いかにリピート率を増やすかという心理誘導の手法です。
具体的には最初のカウンセリングで「治っていく」というイメージを持ってもらい、その為にはいかに続けて来院することが重要かということを説明するということです。
購入した人は押し売りされたわけではなく、自分の「治りたい」という気持ちに対する希望を強化され、治るイメージを喚起させられたわけなので、型にはめられたことには気付きません。
あとは実際に快方に向かわなくても、その時に植え付けられた「治るイメージ」だけで希望を持って通い続けるのです。
それがプラセボ効果になって、実際には施術の効果が出ていなくても、良くなっているような気がするかもしれません。
患者の「治りたい」という気持ちが強ければ強いほど、施術の効果がどうであれ、自分に対する扱いがどのようなものであれ、長く通う原動力になるのです。

自分の「良くないたい」という気持ちでお金を払っているのか、それとも、その接骨院に対する正当な対価としてお金を払っているのか、それをよく見極めるようにしましょう。

そのセミナーやコンサルが悪いわけではありません。
彼らはいかにして企業を儲けさせるかが仕事なのですから。
重要なのは鍼灸接骨院がどのようなスタンスでやるかということです。
患者を顧客としてしか見ていないのか、それどころか人としてではなく物や金蔓として見るようになっているのかどうかです。
患者の体にきちんと向き合って卒業させることを目的でやっているなら回数券も悪くはないのですが、最初からいかにして長期で通わせるかを考えているところもあります。
最初のカウンセリングで体の悩みを聞き、共感し、姿勢を見るだけで、実際体に触ってもいないのに3~4ヶ月の施術計画を説明して「根本改善」の期待を持たせて、複数の自費診療メニューの回数券を買わせるところは要注意です。
回数券の枚数も「ちょうど週1で通って1枚ずつ消費するぐらい」に設定されていることが多いです。
その回数券がちょうど無くなる頃にまた次の「回数券キャンペーン」が始まります。そうやってハメられていくのです。
その場合は元々3~4ヶ月の計画では施術していません。

●ネットの口コミで新規顧客を獲得しようとしていないか
「キャンペーン」と称して「口コミを書いたら割引券を差し上げます」というところもあります。
検閲が入りますから、ハッキリ言ってサクラですよね。
ホットペッパーの口コミは席だけの予約をした人が書き込みをすることができるので、誰が書いたかバッチリわかります。
通い始めて間もないのにすぐに口コミを書かせようとするのも、効果がよくわからないうちに書かせて良い評価を集める手法です。
最初は誰だって良く感じるものです。
最初に3~4ヶ月という治療計画を立てて回数券を買わせたのなら、ある程度の期間を経てから書いてもらえばいいわけです。
というか、口コミは本来自発的に書くものです。
地方で地域密着型をうたいながらネット口コミに力を入れているところは要注意です。
良いところなら地域の人脈ネットワークで評判が広がって自然に人が集まって来るはずですから。

●ブログはコピペになっていないか
猫背矯正や骨盤矯正に繋がる症状はその施術方法まで詳しく説明しているのに、それ以外の症状(めまい・女性特有のホルモンの乱れ・のぼせ・息苦しさ等)については一般的な症状や原因の説明をどこかのサイトからコピペしたような文章になっている場合、注意が必要です。
頭痛に関しては様々な原因があるのにも関わらず、「自律神経の乱れが原因」と言いながら結局は骨盤矯正や猫背矯正に誘導したりします。
これは何を意味するかというと、全てオールマイティに対応できるわけでないし深い原因を診るつもりはなく、儲けの為に姿勢矯正に誘導する意図があるということです。
「根本改善」と派手に広告していたとしても、あらゆる角度から見るのではなく、姿勢矯正メニューを売る為の方便として言っている場合があり、それをブログの文章から読み取る事ができる場合があるということです。

●割引キャンペーンや物販・季節のイベントに力を入れていないか
これは「顧客」の「購買意欲」を掻き立てようというマーケティングの手法が使われています。
施術の技術力で勝負しているところはそんな小賢しいことはしません。
クリスマスイベントやハロウィンの仮装で楽しさをアピールして心理的に釣ろうとしているところもあります。
くじを引いたりサイコロを振らせて割引率を決めるという「楽しい演出」をするところもあります。
そういうところは、患者としてではなく、やはり顧客として見ていて、いかに心理的な罠に嵌めるかという視点で見ているということです。
本当に患者を良くしようというところはイベントの企画を考える暇があったら、いかにして患者を良くするかを考えたり、スタッフの教育を徹底するはずです。

●「根本改善」を売りにしているのに、「リピーター多数」という矛盾した宣伝文句になっていないか
体が根本的に改善したら続けて通い続ける必要はありませんよね。
それなのになぜ「根本改善でリピーター多数!」みたいな宣伝をするところが多いのでしょうか?
それは、「健康を維持する為には通い続けることが必須だ」という言い訳めいた深層心理があるからです。
例えば、体を根本から良くして免疫力を上げるように導くのではなく、「あなたは風邪を引きやすい体質だし、今は大丈夫でもまた引く可能性があるから定期的に通いましょうね」と言っているようなものです。
体の強固な基盤を築くのが「根本改善」というものですよね?
しかし実際は、このような信念が施術者の頭の中には常にあれば、長く通っている患者がいたとしても、何の疑問も抱きません。

「通わなくなれば体がまた悪くなりますよ」という暗示をかけることもよくあります。
実際私は仕事を辞めた時に「仕事のストレスが無くなったから今は体調が良いけど、仕事を始めたらすぐまた悪くなるよ」と言われました。
「だから体調が良くなっても安心せずに通い続けろよ」という心理誘導のテクニックです。
しかも良くなった理由が「仕事を辞めた」という施術に関係無いことなわけですから、はなから施術に責任を持っていないし、患者の体を良くしようとも思っていなかったということです。

患者の立場からすると、「根本改善」というと全身をトータル的に診て深い所の原因まで探って改善することであると期待しがちですが、接骨院や整体院業界では姿勢矯正メニューを売る為のマーケティング理論としてこの言葉が使われている可能性があります。
これを「姿勢の根本改善」と言わずに単に「根本改善」と言うのがミソで、受け取る側はまさか姿勢矯正メニューを売る為の売り文句であるとは気付かず、様々な角度から体を診てもらえるのだと勘違いしてしまうような心理誘導が含まれているのです。

「繰り返し来てもらうこと」が前提のビジネスモデルの場合、「来院指導」が行われます。
これは、「患者の教育」として行われるので、本人達もビジネスモデルの一環だとは思っていません。
そしてその時に使われるのが、
「姿勢が歪んでいるから痛みが出るんです」
「定期的に通わないから日々の生活の中でまた姿勢が歪むんです」
「筋肉が衰えたら歪み易くなるので定期的にEMSと姿勢矯正をしに来てくださいね」
という言葉です。
この心理操作を使う為に、実際に痛いところ部位の治療をせずにわざと残しておく場合すらあります。
(私は大腿部の治療を2年間放置され、痛みが残っているからと週1で通い続けてしまったことがあります)

マーケティングとは本来「顧客ニーズに合ったものを提供する仕組みづくり」で双方にとってwin-winなものであるべきものでしたが、これがいつしか「商品やサービスが売れる仕組みを作ること」という意味に売る側にとって一方的に都合が良い意味に解釈されてしまっています。
これでは企業が利益を得るだけであり、顧客ニーズに対応できないまま顧客ニーズからズレたものを心理誘導でその気になって買わせることにつながります。

このような無理のあるビジネスモデルは廃れていきそうなイメージがありますが、心理誘導にハマってしまう患者がいる限り無くなりません。
ですから、患者側も賢くなって見抜く目を身に着ける必要があるのです。

●保険適用を客寄せパンダ的に使っていないか
鍼灸接骨院は要件を満たせば保険が適用される場合がありますが、それを客寄せパンダとして使い、自費診療の回数券を買わせることに注力しているところもあります。
後程私の実際の体験談として書きますが、保険適用されている箇所以外のところを重点的に見ているような場合は注意が必要です。

●どのような人がターゲットなのか情報を集める
高い技術力を売りにする場合、当然高い技術力を持ったスタッフを揃えなければなりません。
一方、画一化されたマニュアルで施術を行うシステムにしてしまえば、経験年数の浅いスタッフにでもどんどん顧客対応を任せて、高い回転率で多くの利益を得ることができます。
前者の場合は様々な症状や病態に対応することができるかもしれませんが、後者の場合はある決まったパターンが推奨されます。
後者の場合は、国家資格を持ったスタッフがいるところに行ったつもりなのに、実はクイックマッサージぐらいのレベルの施術しか受けられない場合もあります。
しかも料金はクイックマッサージよりも高くなります。
保険が効くように取り計らってもらえる場合もありますが、その分猫背矯正や骨盤矯正が毎回ついてくるので、高くつく場合が多いからです。
後者の場合は、初回のカウンセリングの時に、色々な症状を聞いたとしても、結局は「姿勢が歪んでいるから」という理由で姿勢矯正を勧めてくることになります。
自分に無い症状でも、「例えばこういう病気や症状の場合はどういう施術をされますか?これまでどういう施術をしてどういう経過でしたか?」といくつかの病気や症状で質問してみて下さい。
全て「姿勢矯正」に結びつけるようであれば、それは画一的な扱いしか受けられない可能性があるということです。

●自分が何を求めているのかを明確にする
「肩こりや腰痛が酷いので姿勢矯正を受けたい」という明確な目的があれば、それを売りにしているところへ行くのは何の問題もありません。
しかし、例えば「頭痛」をどうにかしたい場合、頭痛にも色々な原因があり、必ずしも姿勢が原因とも限りません。
体が悲鳴を上げそれをどうにか伝える手段が「頭痛」だっただけで、その原因を詳しく診ていく必要があります。
脳の疾患が原因で頭痛が起きていて、今すぐ病院で治療や手術を受けないといけないような場合もあります。
東洋医学的なアプローチの方が良い場合もあるでしょう。
問診時に「頭痛」というキーワードが出て来た場合、病院でMRIやCTなどの検査を行って、脳に異常がないことを確認するように勧める良心的な鍼灸接骨院や鍼灸院もあり、ホームページのそのように書いてあるところもあります。
しかし、「頭痛は骨盤の歪みが原因なので」とすぐに姿勢矯正に誘導するようなところがあるのも事実です。
その場合は手遅れになる場合もありますよね?
実は、背中の痛みにも重大な内臓疾患が絡んでいるという場合もあります。
ですから、鍼灸接骨院を選ぶ場合は、まずはどのようなポリシーでやっているのかをホームページ等でよく見て、更に行ったとしても初回の問診でどのようなスタンスなのかを見極めるようにした方が良いです。
中には、それを曖昧にしたまま初回に高額な回数券を買わせて、あとは「あなたが鍼灸接骨院を選んだんですよね」「でも別に治せるとは言ってませんよ」というスタンスを貫いている場合もあります。
「こういう場合はうちでは対応できないので」とハッキリ言ってくれるようなところが、誠実であるということです。

●番外編 院長の宣材写真が「腕組み」しているポーズ
「腕組み」というのは心理的に、自己防衛・警戒・拒絶・隠し事・威圧、そして相手より優位に立っていることを示す態度を表します。
そのため、院長の宣材写真が腕組みしているポーズだった場合には、その接骨院を選んだとしても、よく警戒した方が良いでしょう。
こういった方は何かとカリスマ性があり、魅力的に見えるものですが、妄信してしまわないようにしましょう。
私は実際2か所で経験していますが、無意識の行為なので「相手を威圧してコントロールしようとしている」という事を本人は全く認めませんでした。

●番外編 院長の財テク話
これは実際にあったんですが、体や健康の話には食いつかないのに、経済の話となると途端に食いつきが良くなり、院長が「お金がどんどん貯まっていくのが快感」、「資産形成が趣味」、「住民税が多くって困る(自慢げに)」、「経営や投資の勉強をもっとしたい」という発言をしていました。
ただでさえ短い施術時間なのに患者はこういう話を「聞かされる」わけです。
プライベートで友達同士ならそういう話をすればいいですが、患者にまで聞かせるということは、お金がどんどん入ってきてウハウハしていて、相当な金の亡者になっているのだと思います。
患者からすれば、話をしても適当な返事をしたり誤魔化したりで、東洋医学の知識はまだまだ不十分と感じたので、「経営や投資の勉強をもっとしたい」なとど言われると過度に物欲に陥っていると分析することができます。
院長が患者と真摯に向き合う姿勢が感じられないのにこのような発言をする場合、その院の方針が物質主義なわけですから、それがスタッフにも波及しますし、そういう方針に賛同できるスタッフだけが残り、真面目で誠実なスタッフは辞めていく可能性があります。
見極める為に、こういう話(経営方針や投資や資産形成について)をわざと振ってみるのも良いかもしれません。

実際の体験談

私が直近で2年間通っていた鍼灸接骨院での実例です。
●ネットで「根本改善」「体の悩みに寄り添う」というのをアピールしていた
●初回のカウンセリングと施術計画は丁寧だった
「任せて下さい」という院長のカリスマ感があった
●施術計画で希望を持ってしまったので、1回施術を受けてその日のうちに高額な回数券を買ってしまった
●回数券には使用期限があり、残り回数は患者にはわからない仕組みになっている
●2回目からは猫背矯正・骨盤矯正・EMSトレーニングの回数券を消費させる為の「ベルトコンベアーの施術パターン」に入る
●必要性については全く言わず、ルーティーン的に猫背矯正と骨盤矯正をされる
骨盤矯正に至っては「足の長さや手の長さが左右1センチ違うから」という理由
それもちょっと細工すれば1センチの差があるように見えるもの
●鍼灸の保険適用の為の医師の同意書は「大腿部の神経痛」だったが、その後2年間それに対する施術は行われなかった
(自費で鍼の本数を増していたが保険分も自費分も全て違うところに使われていた)
●院長の鍼灸の施術はF1のピットイン並みのスピードで、体に触らずに高速で「決まったところに」毎回鍼を打たれていた
●スタッフ鍼灸師に体の不調を訴えてもスルーされる(上の空で聞いてない)
●「国家資格を持っている」「勉強してきた」「経験がある」と前置きしてから、「そんな症状を訴えるあなたの体がおかしい」と言われた。
東洋医学で言う「梅核気」だったが、鍼灸師は知らないようだった。
●スタッフ鍼灸師に痛みを訴えてもスルーされ、2週目に「そんなに痛いなら病院に行って鎮痛剤もらって飲めば?」と苦笑いしながら言われた
(猫背矯正と骨盤矯正などの儲かる施術に繋がらない痛みはスルーする方針だったらしい。その後他のスタッフから「ハイボルト治療がありますよ」と勧められた。)
●症状を訴えても自費のメニューに誘導できない場合は、微妙にスルーされたり解決に向かわない事も多々あったので、そのうち言っても無駄だという心理状態になり言わなくなる。そのうち自分の痛みにまで鈍感になる。
「体の調子はどうですか?」と聞かれて症状を訴えても対処されないのが一番心理的にくる。
●院長もスタッフ鍼灸師もそんな感じなので「東洋医学に精通した鍼灸師がいる鍼灸院に転院する」という話をしたら、院長に「自分が責任を持って施術する」と言われた
(院長は「薬飲めば?」発言について驚く様子も無く、「社員教育を徹底します」という話も無かった)
●仕事を辞めて無職になったら、院長が小馬鹿にしたような感じで「仕事見つかった?毎日暇でしょうがないでしょう。自分だったらそんな暇には耐えられない。1週間が限度かな。働かないなんて考えられない。」などとしつこく言ってくる。
毎回「仕事見つかった?」「いつから働くの?」と言ったり、就職活動の情報を逐一聞いてくる。(金蔓だと思っているから無職だと困るのか?)
その一方で「体の状態」や「施術の効果」に関しては一切聞いてこない。
相変わらず体に触らずに「決まった場所」に鍼を刺すだけ。
●その頃の私は「良くなりたい、治したいと思っているのにどうしてわかってくれないの?」と思いながら、1週間に1度の頻度で通ったり、回数券を買い続けていました。
今考えると治したいという気持ちを利用されていただけなので、分かってもらおうとする努力など必要なく、そんなところはとっととやめればよかったんです。
●鍼灸の保険適用がされている「大腿部(ふともも)」について、どうして施術が行われないのか質問すると、喧嘩腰で「こっちも色々考えてその理由にしてるんだから口を出すな」と威圧された
●「実際大腿部に慢性的な痛みがあるんですけど」と言ったら「なぜそれを言わなかったのか。言わないのが悪い。」と責任転嫁された
(最初のカウンセリングで伝えていたから保険適用の同意書を医師にもらっていたのに、保険適用の箇所はあくまでもお飾りとして無視していたらしい)
●「柔道整復師に見てもらうから待って」と言われたが、柔道整復師は背中と腰だけ触って「背中と腰の張りが残ってるので…猫背矯正と骨盤矯正が必要ですね」と言い、「肩と腰について言って猫背矯正・骨盤矯正・EMSに誘導するベルトコンベアーの施術パターン」に乗せようとされた
●私が院長に「大腿部を触られてもないです。固定観念があるから触りもしないで判断するんじゃないですか?これだからいつも同じところしか施術されないんです。」と言ったら渋々大腿部を触り、「深いところに肉離れがあるね」とやっと認めた
●以前から鍼の自費回数券を買っていたので、結局保険分は大腿部の施術、自費分は背中と腰に使うことになった
●次の週に柔道整復師に左大腿部の話をしたら患部を触って「これは病院だと異常無しと言われるやつだね」と言われ、左だと言ってるのにいつの間にか右ということにされ、最後には「考えすぎるのは良くないよ」と言われた

今思えば…

私の体験談を読んで「なぜそんなところに2年も通い続けていたの?」と思われる方もいらっしゃると思いますし、私もそう思います。
きっと私はマインドコントロールされていたのだと思います。
それは、「回数券を買わせて囲い込む」とか、「個人的な人間関係の縛りを作る」とか「不安と安心の感情コントロール」という事が主な理由だったと思います。
私の場合は威圧やディスりが主でしたが、「おだて」の手法も使われていた気がします。
よくブラック企業が研修で自尊心をズタズタにしておいてから、その後褒めたりして感情コントロールすると言われていますよね?
無意識のうちに相手を見極めてその相手に合った心理操作の手法を使っているのだと思います。

最初のカウンセリングの時に太ももの痛みを訴えたのに、その患部に取り掛かったのは実に2年後でした。
その間も時々言っていたし施術者も患部を触っていたはずなのですが、私がキツく言わなければ施術は始まりませんでした。
私は全身良くなったわけではなく不満があったので通い続けていたのですが、不満があるならとっととやめて他に行けばよかったわけです。
しかし通い続けていたのは何らかのマインドコントロールにハマってしまっていたからだと思います。

ただし、それは「無意識にやっていること」なので、彼らは表面上は本当に患者の体を良くする為に献身していると思っているから厄介です。
これは、「根本改善=姿勢矯正」という確固たる思い込みと彼らなりの正義があるから起こってしまうことです。
ですから背中と腰だけ触って「背中と腰の張りが残ってるので…猫背矯正と骨盤矯正が必要ですね」ということに毎回なるのです。
様々な不調を訴えても「姿勢が悪いから」という理由に転嫁されて、結局は姿勢矯正メニューに誘導されるか、それも難しい場合はスルーされるということも実際起こっています。

症状が肩こりと腰痛だけの人は良いのかもしれません。
それでも肩こりと腰痛には様々な原因があるので、特定の部位しか見ないのなら根本改善にはならないことを覚悟する必要があります。
ある程度通ったら他に転院するなど、承知の上で一時的に利用するぐらいであれば問題はありませんが、何年も通う(通わされている)ようだと注意した方が良いです。

猫背矯正と骨盤矯正とEMSトレーニングを中心に売るビジネスモデルで他を診られないなら、「肩こり・腰痛・姿勢矯正専門」というのを掲げ、「根本改善」などと過大広告しなければよいことです。
でも実際は「妊活」すらメニューに掲げているところすらあります。
子供を持つというのは人生を左右する一大事ですから、そのような信頼の置けないところに人生の重要な時期を捧げてしまわないようにしましょう。
効果が無いままリミットが過ぎてしまうなんて悔やんでも悔やみきれないですよね?

指摘して変わる可能性はあるのか?

残念ながらそれはありません。
もしあなたが、自費診療メニューを売る事が第一になっていて、そのカモにされていた事に気付いたとしましょう。
しかし彼らは「患者の為」という名目で自分自身をも騙しています。
人が変わるには常に自分の内面を見つめて無意識の行動を取らないようにしなければなりませんが、多くの人はそれがあまりにも辛いため、目を反らしてひたすら理想の自分像を思い描いているのです。
彼らは、本当に根本から改善するにはどうしたら良いか一人一人を深く診ることは無く、いかに利益を上げるかに注力していますが、表面上の意識では「患者の為」という意識でプライドを保っているのでしょう。
患者が離れて行ったとしても「途中でやめた患者が悪い」と責任転嫁するだけで、また新規顧客を獲得しようと躍起になるだけです。
倒産するほどの売り上げの落ち込みがあっても自らの行動を振り返るとも限りません。
それはブラック企業がどんどん社員が辞めていっても改善しないのと同じです。
また募集して新たな社員が入ってくるうちは「替えはいくらでもいる」ということです。
ですから、私達一人一人が見極めていくしかないのです。
(自戒も込めて)

リハビリ(回復)は専門の医療機関へ!

事故や怪我の場合、専門の医療機関にかかった方が良い場合があります。
患者の数だけ治療内容の選択枝があり、適切な治療プログラムを提案できるのは、優秀な理学療法士です。
海外では理学療法士に開業権がありますが、日本では理学療法士には開業権が無いので、残念ながら医師に雇用される立場になっています。

理学療法士はたくさんいるので、優秀な理学療法士に出会うには、教育体制がしっかりした医療機関に行くことが重要になります。
↓全国各地にあるので検索してみてください
研修施設リスト (jarm.or.jp)

人材確保の為に理学療法士を募集している鍼灸接骨院もあります。
私が2年通った鍼灸接骨院も理学療法士を募集していました。
しかし雇われの身であればそこの方針に従わなければならないので、せっかくの専門知識があっても、売上至上主義の接骨院であれば患者を型に嵌める方針に従わざるを得ない可能性はあります。
理学療法士が自分で開業する場合は理学療法士とは名乗らず、「理学療法士の資格を持った整体師」として整体院を開業している場合もあるようです。

鍼灸に興味がある方は

鍼灸接骨院では、筋肉に鍼を打って弛緩させたり、患部の血流を良くする施術を行うことはできても、東洋医学を使った内科的な施術ができる鍼灸師がいなかったり、いても儲け主義のお店で大量に鍼を打つことに従事している場合も多々あります。
しかし鍼灸自体は色々な有効性や可能性がある分野です。
自分が通っている鍼灸接骨院を見極めてイマイチ改善が見込めない場合は、鍼灸専門の鍼灸院に行ってみるのも良いと思います。
(ただし、そこでも見極めが必要ですが)
又、漢方薬局に併設されている鍼灸院や、漢方薬局に鍼灸師がいて施術を行っている場合があります。
その場合は薬と施術の両面から診てもらえる可能性があります。

鍼灸接骨院を経営されている方へ

私は全ての鍼灸接骨院が悪だと言っているわけではありません。
堅実・誠実をモットーにされているところもあると思います。
「流れ作業的な施術は行いません」とハッキリHPに書いてあるところもあります。
宣伝やマーケティングを一切行わないところもあるようですが、HPも無ければネット上に情報が何も無ければ、どういう施術を行っているのかが見えず、良いところを探している身からすると、せっかく通いやすくても候補から外さざるを得ません。
ですから適度な宣伝は大歓迎です。

この記事を見てもし「この記事は鍼灸接骨院に対する営業妨害だ!」と怒りを覚えた方がいらっしゃったとしたら、それだけ心当たりがあるということですね。
改善した方が良いかどうかはそれぞれが判断することだと思います。
荒稼ぎできなくなるかもしれないリスクと、「顧客」に気付かれて離れていかれるリスクと、天秤にかけることになるかと思います。
わかっていてもこれまでのやり方を変えられないかもしれません。
それもまた人生だと思います。

私達患者も選ぶ権利があります。
施術者が患者を診るように、患者も施術者やその院の方針を見ているのです。

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