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仏教を知るキーワード【02】四聖諦 ~仏教の根幹をなす4つの真理~

「生きることは苦」であるという真理を発見したブッダは、さとりへの道を示した 

四聖諦(ししょうたい)は仏教の要諦を四項目で示した教説である。

1) 苦聖諦:「生きるとは何か?」と問い続けたブッダが辿り着いた最終的な答えは「生きるとは苦(ドゥッカ,苦しみ、不満足、思い通りにならないこと)」であった。苦とは、生まれること(生)、老いること(老)、病むこと(病)、死ぬこと(死)、愛着する人・ものと離れること(愛別離苦)、求めるものが得られないこと(求不得苦)、嫌いな人・ものと付きあわざるをえないこと(怨憎会苦)、要するに、生命を構成する五蘊(色受想行識)に執着していること(五取蘊苦,五盛陰苦)と定義される(四苦八苦)。苦聖諦は「知り尽くすべき真理」だ。

2) 苦集聖諦:「生きるとは苦」であれば、なぜ我々は必死に生きているのか?ブッダは苦が連鎖する原因(苦集聖諦)として渇愛を発見した。渇愛とは輪廻させてしまう、ゾクゾクする喜びと欲望が絡み合った、そこかしこに歓喜してしまう、渇き・渇望感のこと。とにかく刺激が欲しいという渇き(欲愛)、とにかく生きたいという渇き(有愛)、何もかも破壊したいという渇き(無有愛)の三種である。渇愛が眼(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・舌(味覚)・身(触覚)・意(思考)において暴走することで、我々は輪廻し続ける。苦集聖諦は「無くすべき真理」だ。

3) 苦滅聖諦:渇愛によって輪廻(生きること)に囚われている我々はどうすべきか? ブッダは渇愛が完全に滅した境地、解脱・涅槃を目指すべきと発見した。そこではじめて、苦=無価値なものに過ぎなかった我々の生存に、涅槃という目的が成り立つのだ。苦滅聖諦は「達するべき真理」だ。

4) 苦滅道聖諦:では如何にして解脱・涅槃に達するのか、という問いへの答えが、苦を滅する道の真理、すなわち中道であり、八正道である。苦滅道聖諦は「実践するべき真理」だ。

四聖諦は以下のように三つの段階(三転十二相)によって完成する。

苦(ドゥッカ)とは何かと知ること、苦は知り尽くすべきだと知ること、苦を知り尽くしたと知ること。
苦の原因とは何かと知ること(=渇愛)、苦の原因(渇愛)は無くすべきだと知ること、苦の原因(渇愛)を無くしたと知ること。
苦の滅とは何かと知ること(=涅槃)、苦の滅(涅槃)に達すべきだと知ること、苦の滅(涅槃)に達したと知ること。
苦の滅(涅槃)に達する方法は何かと知ること、苦の滅(涅槃)に達する方法を実践するべきだと知ること、苦の滅(涅槃)に達する方法を実践し終えたと知ること。


※『総図解 よくわかる 仏教』(2011,新人物往来社)に寄稿した原稿を再編集して掲載していきます。
※2016年2月25日に内容をアップデートしました。
※2018年11月16日に内容をアップデートしました。

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