くるりライブツアー 「線」

先月末に東京2daysで〆となったツアー「線」。

NOW AND THEN」や「チミの名は。」でくるり熱が再燃したものの、それはあくまでも過去にどうしようもなく好きだった曲たちにやっぱりノックアウトされたということであって、その次のツアーに対しては、(また体制の変化もあるし)うまく日程が合えば行こうかな、くらいのぼんやり感でいたため、スケジュールのチェックなどもあまりしておらず、気付けばちょうど東京2daysの時に海外に出る予定を入れてしまっていました。

しかし、ツアー開始ごろに発表された「その線は水平線」は、まさに心に刺さる作品でした。私がくるりをどうしようもなく好きだった時期に、その惹かれる理由になったような曲。

岸田氏のTwitterでも、新曲やこれまであまりやらなかった曲を演奏するといった旨のことが書いてあったので、これはきっと「その線は水平線」に繋がるような、定番曲でいえば「HOW TO GO」、レア曲でいえば「帰り道」、「真夏の雨」や「Sunday Morning」などが聴けるのでは?とざわざわし始め、だとしたら絶対に行かねばならない!と、遅すぎる画策を始めました。

しかし、東京2daysの時期には完全に海外だし、(既に3月もはじめの時点だったので)3月の土日にはかなり予定が入っている(しかも動かせないもの)、ライブ日程だけ見れば行けそうなところは会場が遠すぎて移動を考えると実現性がかなり低い、場所と日程的にはありえるかなという名古屋は出国前日・・・というどん詰まりの状況。その中でぎりぎり行けそうだったのは松山公演でした。

その周りの予定を何とか調整し、チケットを手配し、実際行けそうだという状態になったのは公演約10日前。そしてちょうどその頃、松山公演の翌日に開催される高松公演の前、琴電のイベントにくるりが参加するという発表を聞き、(松山→高松の移動は可能だけれども、高松から東京に戻ってすぐ出国というのはかなりつらいのでは・・・とかなり悩みつつも、)急遽高松公演にも追加で参加することに。

そんなこんなで本当にどたばたな中、嵐のように松山、高松とライブ参加して、その後出国し、帰国し、今に至るというわけです。

ライブの後、色々あふれていた感情をメモしたり整理したりしている余裕がなく、記憶もだいぶ飛んでしまったけれども、「線」に参加できたのは良かったと思います。

まず、私のくるり初ライブとなったCDJ0506以来、紆余曲折はあったものの全てのツアーを見てきているので、その線を切らずに済んだこと。

次に、普段は東京やたまに京都などで聴いているので、その雰囲気とはだいぶ異なる会場のライブを体験できたこと。(四国だと会場が少ないのもあるのか、お客さん同士が顔見知りである割合が高そうで、それが特に東京の会場の空気感とは絶対的に違った。)

最後に、松山公演の会場で、「その線は水平線」のCDを手に入れることができたこと。

ライブの構成は、私が切望していたものとはだいぶ違ったけれども、まあ、レアといえばレアでした。松山、高松ともほとんど構成は同じでした。(高松は、アンコールに「琴電」ソングが追加されていたのが違いかな?)

最初に、ここ数年ほとんど演奏されなくなった「東京」をドーンと持ってきて、その後は「東京レレレのレ」。何でいきなりこんなに「東京」押し(?)なんだろうと思っていたら、新曲の「東京オリンピック」にかけてのことだったとは思うのですが、この新曲がおそろしい変拍子のインストで、2日続けて計2回聞いたのに、結局最後まで拍子がとれない・・・すさまじい代物。まあ、、面白かったです。笑

その他の旧曲は「愛なき世界」とか「飴色の部屋」とか「スラブ」とかがここ最近あまり聴かなかったものかな?定番曲だけど、「ハイウェイ」や「ロックンロール」や「虹」が聴けたのも良かった。あとは「ワンダーフォーゲル」や「ばらの花」や「ブレーメン」等もありました。

「東京オリンピック」以外の新曲は「忘れないように」、「ハイネケン」、「ニュース」というのがあって、「忘れないように」は現体制のフジの曲の雰囲気に近い感じ、「ハイネケン」や「ニュース」は魂のゆくえの頃の雰囲気に近い感じだと思いました。

そして、やっぱり「その線は水平線」が聴けたのは良かったです。でも、現地でボロ泣きするかなと予想していたのですが、YouTubeで聴いていたバージョンよりも感傷性が低く、ビート感もあり、わりと淡々と演奏されていたので、沁みるなとは思いつつも、意外とあっさり聴いていた感じがします。(サイドにギターが2本いたので、それで泣かせる演奏をされたらボロ泣きだったと思います。あえて、そういうのを抑えたのかなという気もしました。)

あとは「春を待つ」。これも、ちょうど私が四国に遠征している頃にアナログ盤のみで販売になった作品で、気にはなりつつも再生機器を持っていないのでどうかなと思っていたのですが、とても良かったです。(遠征から都内に戻って急いで探しましたが、軒並み売り切れで、入手はやはり無理でした。。)

もう今後生まれる曲からは出ないだろうなという、岸田氏の昔の感覚を感じる曲で、「その線は水平線」を含め、今、この時期にそういう作品をまとめてリリースするというのは、やっぱりそういう感覚とはもう違う世界にいるからなんだろうな、と、ぼんやり思いました。

さみしい気はしたけれど、でも、どちらの曲も、それらが生まれた頃に演奏されたのよりも、絶対、今、演奏されたほうが良いものになっていると思います。

時を経て、ライフステージも変わり、喪失したものとのノスタルジーや、もちろん技術的な向上も相まって。岸田氏の歌い方や声、優しくなったし、それがどちらの曲にも合っている。

ノスタルジー。そう、ノスタルジーなんだな。ここ最近発表されている刺さる曲に共通するもの。そこについて、もう少し考えてみよう、そんな風に思いました。

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