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ファン第一号なのね:day21

私が少し前まで住んでいた街の、
心落ち着く場所。

仕事の愚痴を同期と言い合った日も、
友達とワイワイ恋バナで盛り上がった日も、
幼馴染と将来について語った日も、
大好きな人とのデートの日も、

ビールと共に、
色々な思い出を重ねた、場所。

ディープで穴場なあの場所は、
私の秘密基地なのだ。

ひさしぶりに、そこでビールを飲んだ昨日。
何店舗ものお店が並んでいるから、
いつも迷う。

昨日は、初めての場所に入った。

そこにいたのは、
1人の客と、店主のお婆ちゃんと、それを手伝う娘。

なんか、おばあちゃんの家に来たみたいな
雰囲気がめっちゃ出ていた。

名前からは想像できなかったが、
どちらかというとスナックっぽくて、
1軒目にいくお店じゃないことは、
入ってから気づいた。

コップで瓶ビールを飲んだ。
お通しに出てきたもは、
手作りの漬物と、銀杏と、シャインマスカット。

なんかすごく、ほっこりした気持ちになった。

一軒目の私たちには、
どう考えても、ビールのおつまみとしては
物足りないくらいの感じなのに、
そんなことよりも、胸がいっぱいになった。

1人いた客が帰って、店に残ったのは、
私たち2人と、店主と娘と。

定番の、どこから来たの?から始まる
会話のキャッチボール。

店主の娘と、私の連れが会話をする。
ありきたりな、ありふれた会話の中に、
愛を感じて、私はずっと隣でほっこりしていた。

なんとも言えない空気感の中に、
話し声が響く。
何も言わず、たまに、孫みたいで
かわいいねと、言いながら、
私たちの話を聞く、店主のお婆ちゃん。

4本開けた瓶ビール、
最後の一本の、最初の一杯を
お婆ちゃんが注いでくれた。

美味しかった。泣きそうになった。

あの1時間ちょいの時間の流れは、
なんだかゆっくりで、すごく幸せだった。
せかせかした環境で過ごす最近は、
心が疲れていたけど、
そんなことも吹き飛ばすくらいの
3人の愛くるしさが行き交っていた。

私の連れは、スポーツで活躍して、
たまに新聞に載ったりする。

昨日の会話の中でも、その話がでた。
私は、この子新聞に載ってるんですよって
自慢した。

新聞の取材をとった写真を見せた。
お店の人も反応は同じ!
おおーすごい!!!

そう、誰から見ても凄いのだ!

スポーツの話になった時、
連れはいつも言う。たまたまですよ。
自分なんか全然です。って

私は違う気がする。結果それは、本人の努力であると。
素人の目には、新聞に載ることも、
大会で活躍することも、「すごい」と一括りに
捉えてしまう。

そこの背景に、どんな努力があろうとも、
そこの見えない部分は注目されることなく、
すごいという言葉で終わってしまいがちだが、

きっと連れの、すごいの中には
それなりの努力があったんだと思う。

店主の娘に、
連れの取材の新聞を見せて私が、言われた言葉。

「ファン第一号なのね」

………….素敵だ

私は、もちろん彼のファンだ!

第一号として、認定されていれば嬉しいが、
きっと、ファンは沢山いるだろう。

まあ何号でもいい。
私の中で、応援したい唯一の、人。
応援したい人第一号には変わらない。

「ファン第一号。」

印象的な言葉すぎて、
今でも耳にずっと残ってる。

心に残る言葉だなって勝手に思った、夜だった。

と、同時に、連れも頑張っている。
私も頑張らなくては!と、改めて
気合いが入った、夜だった。

みんなに自慢したくなる人がいるって、
本当に誇らしい。
こんな凄い人が、ほら、隣にいます!!
って、自慢したくなる。

大好きな場所で、好きな人と、
素敵な店主と、会話を交わし、
ビールを飲んだ昨日の記録。

幸せな思い出が積み重なった。

ファン第一号☺️ふふふ

また、あのスナックに行ってみたい。

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