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「一流のプロフェッショナルに」の教え

 私は、東京高田馬場にあった資格予備校の当時の学院長、成川豊彦なりかわとよひこ氏との個別面接に、向かっていました。

 私は、その前に、先生の資格試験に合格するための本を何冊も読み、その巻末に書いてあった「どうしても合格したいなら、手紙をよこせ。」というのをマジで実践し、先生に「社会保険労務士にどうしても合格したいのですが、その方法を教えてください。」と手紙を書きました。

 そうしたら、本当に電話がかかってきて、「高田馬場まで来い。」ということで、即、日時・時刻を約束して、成川先生の本を持参してうかがったのです。

 成川先生の本は、今は絶版になっていると思うのですが、『成川先生の特別講義 社労士 -「社会保険労務士」試験の必勝ガイド-』で、当時の社労士試験の置かれている状況と試験必勝法が書かれていました。

 約束の時間に到着すると、成川先生は、小雨の降る中、屋外で、傘を差し、高田馬場界隈の神田川沿いを歩きながらの個別講義をしてくれました(当時は無料でした。)。

 「学校はどこを出ているんだ。」と聞かれたので、言いよどんでいると、「高卒なのか。」と聞かれて、「東京大学卒業です。」と言うと、「なら、司法書士はどうだ。」と言うので、「司法書士を取ったら、会社を辞めることになりますから、社会保険労務士がいいんです。合格方法を教えてください。」と教えを請いました。
 ※相手が、資格予備校の学院長なので、学歴を言いよどむ必要はないのですが、「東京大学卒業」と自ら名乗るのは、根掘り葉掘り聞かれて、いろいろと面倒くさいので、通常は、自ら進んで言うことはないのです。こういう東大卒の人は一定割合いると思います。

 学院長は、1時間もの間、個別面談をし、その間、熱い握手を20回くらいは交わし、気合いを入れ、勇気付けてくれました。

 その後、予備校の学院長室に戻り、学院長が気合いを入れて叫ぶポーズのポスターと、学院長の気合いの入った叫び声が入った目覚まし時計を買いました(買わされました、が正解かもしれません。本体が無料講義なので、それは仕方がないでしょう。)。
 ※目覚まし時計は、すぐに壊れましたが、ポスターは、長いこと自室に飾っておき、私の受験生活を見守り続けてくれました。

 そして、先の社労士試験の必勝法の本に、毛筆でサインをしてもらいました。

 『木下直人先生、「一流のプロフェッショナルに」2002.9.7. 成川豊彦』

 私は、どういうわけなのか、自分の専門性を高めることには一生懸命でしたが、管理職になるという発想が全くありませんでした。
 ※あれだけ勉強しているにもかかわらず、マネジメントにかかる勉強は、不思議なくらい、全くといっていいほどやりませんでした。ただし、ヒューマンリレーション(人間関係)の本はずいぶん読みましたけどね。


 管理職の登用研修でも、かなりの高得点だったと記憶していますが、管理職の打診は全て丁重にお断りしました。
 ※ただ、相当に悩みました。でも、どうしてもやりたくない、という心の中の本心に従いました。世間体は優先しませんでした。

 自分は、管理職としての道は進んでいく人ではない、どちらかというと、専門性を突き詰めて、専門職的な生き方、いわゆる「企業内個人事業主」みたいな生き方がいいとずっと感じていました。

 それで、成川先生の「一流のプロフェッショナルに」という言葉が今も、心に響いているのです。

 社労士試験は、上手にとは言えませんでしたが、成川先生の言葉を胸に、-他の予備校に転籍の上ですが-何とか合格し、資格登録もしています。

 世の中には、管理職の道を進むのが向いていない人が一定数いると思います。そういう人は、専門職的生き方を指向し、プロフェッショナルを目指すのも手だと思いますよ。

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