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65歳以降は体重を減らさない工夫が必要

 中高齢期以降に関する健康本など、いろいろと読んでいると、通常の人が持っている常識とは異なる事実が、近年の医学調査により、明らかになっていることがわかります。

 「肥満パラドックス」と呼ばれ、「肥満ややせを表すBMI(ボディマス指数)が高いほど病気の予後がいい」という事実が明らかになっています。

 つまり、糖尿病であろうが、心臓病であろうが、やせている人より太っている人の方が、治療後の調子がいいということなんです。

 ちなみに、みなさんはご存じだとは思いますが、BMIとは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値で、肥満や低体重(やせ)の判定に用いるものであり、BMIが22になるときの体重が標準体重とされています。

 なお、このBMIの値が22近辺になる人が、最も病気になりにくいとされてきたのですが、先に申しあげたように、(中高齢期を過ぎて老齢期に入ってくると)逆に、BMIが25超30未満の従来は肥満とされていた人の方が、病気の予後がいい、つまり、従来の想定と異なるため、「肥満パラドックス」と呼ばれているのです。

 で、注意すべきは、上記の( )内で書いたように、「中高齢期を過ぎて老齢期に入ってくると」という指摘なんです。

 中高齢期までは、肥満を抑制する「メタボ対策」が必要ですが、老齢期に入るあたりの65歳以降からは、逆に体重を増やしていきましょうよ、という話なんですね。
 ※趣旨引用:『「80歳の壁」を超える食事術』吉村芳弘著・幻冬舎新書刊

 老齢期のリスクとして、問題になっているのが、サルコペニアとフレイルです。

 サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)とは、加齢によって筋肉が減少して日常生活に支障が出る状態のことで、この状態になると、筋肉量が減って筋力が低下するため、足に力が入らず、ほんの少しバランスを崩しただけで体を支えきれなくなり転んで、骨折してしまうといいます。

 中でも、太もものつけ根にある大腿骨を骨折してしまうと、手術が必要で、そのまま寝たきりになってしまうことも稀ではないといいます。

 厚生労働省の調査では、転倒・骨折が脳卒中や認知症とともに、寝たきりになる大きな原因に数えられています。

 また、フレイルとは、「虚弱」を意味する言葉で、老年医学では、介護は必要としないけれども日常生活動作や認知機能に衰えが見られる状態を指します。いわば要介護の予備軍です。

 このふたつは、いったんなってしまうと回復には大変な気力と体力を要するため、予防が大切なんですね。

 これらの予防には、何はなくとも、筋力・筋肉量の減少を防ぐことなんです。

 人間の筋肉量は、30歳をピークに、何もしなければ、1年に1%ずつ減っていきます。

 つまり、80歳時には、何もしなければ、筋肉量はピーク時の半分になる計算です。

 この筋肉量の減少が、サルコペニアとフレイルを引き起こすのですね。

 筋肉量の減少を防ぐためには、①食べること(カロリーを取ること、特に、たんぱく質を重視した食事)、および、②運動(有酸素運動・筋トレ)が重要とのことです。
 ※ウォーキングなどの有酸素運動は、筋肉のうち、赤筋(遅筋)を鍛え、筋トレなどは、白筋(速筋)を鍛えるのです。特に、サルコペニアでは、白筋が衰えると言います。ですので、老齢期は筋トレも重要なんです。

 私は、50歳代で、まだ、メタボ対策世代であり、肥満抑制に重点を置く世代なんですが、こういった論点は、中高齢期のうちから着目しておいた方がいいと思います。

 要は、食事と筋トレが大切という話でした。

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