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締め切り→量→質⇒「質量転化の法則」

 大学時代、「東京大学漫画愛読会」というサークルに所属して、ただ、漫画を読み、麻雀をし、酒を飲んでいました。
 ※「漫画愛好会」ではありません。ですので、漫画を描く方ではなく、読む専門です。

 当時の雑誌『週刊朝日』に、東京大学の変わったサークルが紹介されており、その中のひとつとして、「ちょっとビョーキなサークル」と打たれていました。
 ※ちなみに、サークルの他のみなさんは、ビョーキどころか、大変優秀です。国家公務員第一種(当時)法律職を1位合格された方とか、弁護士になった方とか、博士になられた方とか、大学教授になられた方とか、私のような凡々たる人生でない方が多いです。まぁ、だからと言って、卑下することもありませんよ。一応、生活できていますからね。

 その当時、読んだ漫画で、つげ義春の『ねじ式』というものがありました。

 何だか、夢の中みたいなシュールな画風で、結構、衝撃的でした。

 このつげ義春という作家は、あまり作品を出していません。いわゆる寡作の作家であり、存命のようですが、もう作家活動はしていないようです。

 私が、非常に残念に思うのは、どんなにいい作品を、ほんの少数残しても、やはりある程度の作品数を世に問わないと、プロフェッショナルと呼べないのではないかなと感じてしまいます(>_<)。

 もちろん、この作家は、一定の方面の方から、大変尊敬されていますが、ただ残念だなと思ってしまうのですね。

 誰もが、手塚治虫みたいに、超一流の作品を、湯水のごとく、生み出せる訳ではないのはわかっています。
 ※手塚治虫氏は、漫画愛読会の大学祭の講演に呼んだ記録がありました。講演料を渡そうとすると、「学生からは受け取れない。」と言って、受け取らなかったそうです。なお、手塚治虫氏が短命だったのは、ひとえに働き過ぎだったからと言われています。

 漫画の世界ではないですが、亡くなられた作家・政治家の石原慎太郎氏や、作家で、現在の日本大学理事長の林真理子氏、はたまた、現役作詞家・音楽プロデューサーの秋元康氏などは、本当に息の長い活動歴を持ち、私は、その活動の質・量ともに、大変に尊敬しています。

 思うに、クリエーターや創作家という性質の職業の方は、やっぱり、寡作ではいけないと思うのですね。

 どんなときも、
①アマチュアの上限以上かつプロの下限を超える一定の質を保った作品を、
②スピードを保ちつつ(これは単純に言うと、締め切りを確実に守るということ)、
③ある程度の数、量産しないといけない

と思うのですね。

 これは、「言うに易く、行うに難し」といったことであるのはわかっていますが、そうでないといけないなと感じています。

 上記の①~③の中で、特に大事だと思うのは、②の締め切りはきっちり守りつつ、③量産するということだと思います。

 なぜならば、クリエーターや創作家の多くが、締め切りを守らない方が多いと言われていますが、締め切りを守りさえしていれば、同じ質レベルの作家なら、仕事の安定性の面からも、依頼者はそちらに頼むでしょう。

 仕事の締め切りさえ守っていれば、だんだん仕事の依頼も増えてくるでしょうから、量はこなせるようになってくるでしょう。

 そして、量がこなせるようになってくると、必然、質も上がってくるはずです。

 これは、「質量転化の法則(量質転化の法則)」と言って、「量をこなしていく→質が上がっていく→もっと量をこなせるようになる」という現象を表す(物理学の)法則です。

 「締め切り(スピード)→量→質」を遵守し、作家は創作していくべきだと思いますね。

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