2021/07/29,30 日記 『現代美術コテンパン』の感想

・『現代美術コテンパン』読み終わった。読み終わったあとの感想も最初に書いたのとそんなに変わんなくて、この本が書かれた1975年までの米国現代美術批評の様相と、時代の空気がよく伝わってきて面白かった。個人的に、文体で笑えるところはそんなになかったんだけど、読みやすくはあったかもなー。
 グリーンバーグが言った「人は新しい物に触れると最初はそれを醜く思うのである」みたいなことへの返答に「・・・ああ・・・・・・まあ・・たしかに・・・・・・・・・そうですね・・」って風に書いてたのは笑った。

・本を図書館へ返しに行ったついでに最近入った本の棚あたりを見てたら、『ART SINCE 1900:図鑑 1900年以後の芸術』が置いてあった。
 編さんしてた人たちが、卒論のために1980年代あたりの米国美術批評を読まんとならんかったとき、論文などを参照した人たちだったので「懐かしっ!!」と思ってしばし立読みした。
 これ卒論書いてたときに欲しかったなあ・・・・・・。
 その流れでいろいろ見てたら、ダントーの本もロザリンド・クラウスの本も翻訳出てるじゃん・・・。今・・・。
 わざわざ読まんと思うけど、いまさら・・・。

・しかしー。理論的な言葉が言葉の外にあるものを表す表現よりも目立ち、上位に置かれていた時代のアーティストたちは、なんやかんや辛かったろうな・・・と思う。
 言葉じゃない言葉の世界だから、絵や造形表現の世界を生きたかったんだろうに(少なくとも私はそうなので、理論! 理論! コンセプトっ! 言われたら落ち込みまくりそう)。潰されてしまった人たちも多かったろうな。
 かなり最近まで続いてた風習なのかもしれないなー。
 ばいばい、コンセプト。

・あ、でも、今はポリティカル・コレクトネス的な言葉が強いのかも。

・批評って罪やな。

・『現代美術コテンパン』に書いてあったように、1930年代にしろ70年代にしろ、批評家とかその取り巻きの空気が、ある種のボヘミアン的価値観とか、かなりの社会主義っていうか共産主義の「プロレタリア大好き」的価値観を礼讃していたらしいのは、なんかさもありなんだったなあ。
 でも、グリーンバーグの考え方を批評しながら引き継いだ雑誌『アートフォーラム』が、冷戦下では全然米国寄りな態度をとってたこととか考えたら、興味深~と思う。
 『アートフォーラム』のあとに創刊された批評雑誌『オクトーバー』の由来はエイゼンシュテインの『十月』だったりするのも、そうなんやー、って思う。

・トム・ウルフが映画『ライトスタッフ』の原作者だと知った。昨日一番びっくりしたことはそれやった。ので、再見しようと思って映画を借りてきた。

・『十月』は全然だけど『戦艦ポチョムキン』はアクション映画としてめっちゃ盛り上がるのでとても好きです。

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