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日記:ぼくはこんなことを考えている 2月編

2月に個人的に書いていた日記を、加筆・修正などをして羅列していきます。今月はいつもより少し、外に出ているようです。


2日 細野さんのラジオ

細野晴臣さんのラジオでかかった曲があまりに好みだったもんだから、オールディーズ系?のポップスにも俄然興味が湧いてきた。

70年代の邦カントリーや、細野晴臣・久保田麻琴に代表される和製エキゾチカが大好きな自分にとってはこういう曲調、ほんとにたまらん!

アーサー・キットはオーソン・ウェルズとかと仕事をしている歌手だったりして、地味にビッグネーム。
それでいてこの「ショー・ジョー・ジ」では日本の民謡、「ウスク・ダラ」ではトルコの民族音楽を取り入れたりとかなりワールドミュージック方面に優れた感性を発揮した方のよう。

2年くらい前からこのエキゾ路線の音楽を好きだけれど、こういうエキゾ系の名曲を見つけるのはただでさえ難しい。
「邦楽エキゾ名盤ディスクガイド」なんて見たことないし、Twitterでもたいてい音楽好きな人ってRadioheadかマイブラの話してるんだから。みんな好きだよな〜あの辺り…


6日 常連まみれの町中華

今日はたまたま、いろんなことが重なってバイト後すぐに1人で外食をすることに。普段は99%夕飯は家で食べているので、めちゃくちゃに新鮮。

その新鮮さが、謎のフロンティアスピリットを僕に起こさせる。僕にとってのフロンティア精神の権化は、3年前くらいにやり込んでた某もしもしゲーのcv.小見川千明キャラから学んだものしかないわけだけど。

「…どうせならバイト先からも家からも離れた駅まで電車で行って、チェーン店じゃないところでご飯食べてやろうじゃねぇか!」

珍道中すること45分ほど。GoogleMapを見るとバイト先から程よく離れたところに、「The・町中華」という佇まいのお店を発見。

その割に評価が良い

レビューを見ると常連さんがかなり喋っているタイプの店とのことで、ここに決定!
開拓者精神を持って外食に臨むんだから、静かなとこ入ったって意味ない。

中国系?のお兄さんが席に案内してくれた。
けっこう店員さんに留学生系の方が多い印象。

しかしその割に内装の三国志のイラストはめちゃくちゃシブサワ・コウ風であることから、なんとなく「日本から見た中国」を意識しているあざとさが見出せる。

しかし『一騎当千』レベルにキャラデザが魔改造されてるならまだしも、関羽レベルの有名人に名前表示はいるのか?とは思う。むしろ他のキャラに名前を振ってあげなよ

髭と緑色の服、そして青龍偃月刀。これだけ人物を示唆するアトリビュートが揃っていたら、もはや字など必要ない気が…



あとはメジャーなジュースたちの中にしれっと混ざるグァバに度肝を抜かれたりもした。
グァバ………全く知らねぇ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!

そんなグァバの味を「奥深い」ひとつで済ませるのはあまりに不親切すぎるだろ。
それはもう、「考えさせられた」って感想書くのと同じくらい手抜き。実質読んで/飲んでなくても書ける説明文。


周りにいるのは若者からご老人まで幅広い地域の方々、といった印象。

かなり酔ってるお婆さんが青椒肉絲を食べながら「この牛肉美味しい!」と連呼しているのが今日のハイライト。
同席してる老人たち誰も「それは豚肉!」って訂正しないところも含めて、あまりにも幸せな風景だった。

ああいう正しさとか整合性を全部越えたところにある幸せを目の当たりにした時が一番うれしいかもしれない。


9日 野生を取り戻せ!

買い出しにスーパーへ。平日昼間の住宅街には主婦の方が多くて、寝癖も直さず中学の指定ジャージで外に出るスタイルの自分は居づらい。
この程度で「なんか部外者だと思われてるんだろうなぁ…」と思ってしまう自分は、きっと一生田舎には住めないだろうな

道中、散歩しているトイプードルが他のお家のトイプードルに「種付けしてやるぜ!!」と言わんばかりの勢いで必死にバックを狙っているのが印象に残った。

熱い性欲、リードで繋いでも無駄だよ!と言わんばかりのハッスルぶり。

そうか、小型犬って生きてるから交尾をするんだよな…動物は嫌いじゃないけど、一切興味を持っていないので新鮮に驚きを感じる。

小型犬の交尾って、相当面白い事象かもしれない。普段は人間によって愛玩物として扱われ、「野生」を奪われて換骨奪胎された犬による鮮烈な「野生」の主張

ただ、やりすぎると人間によって去勢という手段で抵抗されてしまう悲劇。『アフロ田中』のソクラテス関連のエピソード読むと、去勢ってエグいことするな…と。

ペットを飼っている人って少なからず動物が好きな人なんだろうけど、そこら辺の「野生」を奪っているという罪悪感とはどう向き合っているのか、真剣に気になる。

僕自身は飼えるような動物に興味がないので、真面目に考える機会がなかった。

サイは好き。ガイのデザインが好きなので。


だからこそ、「野生」を奪ってしまうことに関しては「しょうがないよ、いくら美しく尊くても人間にとってはたかだか動物だし、そこまでは気を使えない…」と悪役の立場をとることで向き合っているが、ペット好きはどうなのか?

やっぱりブリーダーから生まれた時点でそういう運命なんだから、自分1人が飼わない程度では大勢に影響は無いんだし良いか!みたいな「逃げの姿勢」なのかな?

そうだとしたら、ずいぶん薄情。


推敲してる時に「小型犬の交尾を"面白い"呼ばわりしたのは良くなかったかな?」とは思ったけど、よく考えたら人間の交尾すらギャグ的に受け止められて久しいから何にも問題はない。


10日 銀魂女子

Adoさんが生配信をなさっていたらしい。お忙しいだろうにゲーム配信とかもしてる芸能人、マジでなんなんだ?

Twitter民の習性で、特に興味がなくともトレンドをさらっと見てしまう。情報にたくさん触れることで、安心するんだろうか。
「Adoって銀魂女子みたいな喋り方」というようなツイートがあった。そうなんだ、と思って配信を少し覗いてみると……


確かに。女性オタクの方に多い、脳みそで感じたことを口から勢いのままに放出するタイプの喋り方をしている気がする。
好き嫌い分かれるとは思うけど、僕は友人としてはそういう話し方嫌じゃないタイプ。ラジオとかで聞く「供給者」として応援するかは微妙ですけど。

「まってまって」とか「無理無理」とか、そういうのをLINEで送る若年層の女性オタクは多いように思う。少なくとも僕の周りは案外いる。

そういう方たちはLINEという、いわば「本当に何を伝えたいか精査できるメディア」においても会話的なスピード感のあるノリを重視している方なんだろうなという印象で、特に悪いイメージを持ったりはしない。
真面目な連絡に対して顔文字使ったりする先輩とかの方がよっぽど嫌かも。

しかしこの「銀魂女子」という言葉、差別と連帯という二つの相反する性質を持つ形容だと感じる。実質バンジーガム。


もしこの言葉を使っている人が同じように銀魂大好きな女性オタクだったら、それは世の中における少数派として連帯を示す何よりの褒め言葉になるだろう。「Adoさんも銀魂女子なのね!うれし〜」みたいな。

ただもしそれが部外者による発言なら、「私生活にまで銀魂語録使う銀魂女子サムすぎ…」のようにいささか侮蔑を含んだ言い回しだ。
小集団をラベリングした呼称って、その集団外の人間が使うとかなり差別的な印象受けるから、個人的にはできるだけ避けるようにはしている。


ちなみに件の投稿をしていたのは、萌えキャラのアイコン&そのキャラの名前で活動しつつも政治批判しまくるヤバアカウントでした。……………加減しろ莫迦!


11日 人生初ライブ

初めて吉野家に入った。なにしろ僕はオギャーと生まれてこのかた生粋の松屋派である。松屋だと僕はこれしか頼まない。

僕はご飯の好みに関しては完全に極右。一度気に入ったら完全にそれしか食べないループに入るので、今までは丼ものを食べたい時に松屋以外に入るという選択肢がなかった。

…結果的にそれは正解だったと知ることになる。
吉野家のねぎ塩丼はペラいお肉に「リケンのノンオイル・くせになるうま塩味」をかけた味がした。なんだよ、こんなのなら家で食える以下じゃねーか!!!
後日にもう一度赴き三種のチーズ牛丼を食べたが、こちらもなんとなく普通。やっぱ松屋よ。


こんな話をしてる場合じゃあないんだよ!今日は人生で初めて音楽ライブに参加した。
細野晴臣さんによるトークショー×ライブのイベントだ。

本当に急に告知が来たもんだから驚いたが、幸宏さん・鮎川さんの訃報などもあったしいつ細野さんも体調を崩されるか分からないのだ。
大好きなアーティストが生きている内に会える機会があるなら、絶対に行くべき。


緊張しながらビルに入ると、ロビーにバースペースが設置されているタイプの豪華な会場で萎縮。まるでフリー素材みたいな、「いかにも」なシャンデリアがあって、あまりの場違いさに震え上がる。
おいおい、ドレスコードとかある可能性あるのか?安いコート一丁で来てるんだが。

だが、ここまでアウェイだと逆に開き直れるというもの。
マナー知識の全てを『キラッとプリ☆チャン』第28話「セレブなパーティー行ってみた!」『岸辺露伴は動かない「富豪村」』からのみ吸収しているクソオタクは胸を張って入場。

ち、近い!本当に目と鼻の先だ!
そしてどうやらU-22チケットを取った観客はどまん前の席にまとめて配置されている。なぜなら周りにあまりに若い女性や「就活終わりでござい!」という男性が多いから。

普段は違うタイプのオタクをしている自分だけれど、周りにいる女性の話し方を聴いていると「どの界隈のオタクも生態は一緒なんだなぁ…」と分からされる。

ちっちゃいぬいぐるみと写真を撮っている方も散見された。そういうオタクはどこにでもいるなとは思ってたけど、まさか細野晴臣界隈にもいるたぁ思わなかったよ俺は。

暗転。細野さんのラジオのジングルが流れ出す。ぬ……っと舞台の奥からおじいさんが現れる。

細野晴臣だ!!!
実物見るとやっぱり小さい。でもこの身体が、邦楽史を文字通り開拓していったんだよな。



あっという間にライブパートは終了。会場全体が明るくなって、ふぅ…と一息。

「私もうイントロで泣いちゃった…」
「『終わりの季節』ヤバかったよね…」
「(啜り泣きの音)」

こういう時に、自分は感動に浸れない。どうしても周りの人の反応が気になってしまうし、頭では「目の前ですごいことが起こってる!」と分かっていても心が追いついてこない。
そうか、泣いたか。鳥肌立ったか。俺も痺れたけどさ、すごいな。

ライブは素晴らしかったけど、終演後にすぐ匿名ラジオ聴いちゃったりなんかして。何度も聞いた「完成じゃ音頭」にクスッと笑わされたりして。

会場の豪華さや慣れないライブという媒体とは異なる要因から発される妙な"いづらさ"を、終始克服することができなかった。思春期すぎる!!!!!!!


16日 ボカロのMV

分厚い本を読んで何も得られない時もあれば、何気ないツイートに頭をぶっ叩かれたような衝撃を受ける時もある。

そういう現象が有り得るってのを知ってしまったから怖いんだよな〜自分が見逃しているだけで、世界のどこかでとんでもなく面白いことが起きているんじゃないか!?という好奇心。

でも開くのはTwitterなんだよな〜外に出ようという気がゼロ……………


最近アプリの動画広告でよく見るボカコレとかニコニコのcmが、ボカロMV特有のかっちょいい文字が画面に次々出てくる様式を採用している。

アレ、正直見てるこっちが照れ臭くなっちゃうな…いかにもな編集で若者たちの柔い心を刺さんとする言葉が踊る!
筋肉少女帯『夜歩く』ですら、この様式でMVを作ったらダサく見えてしまうんじゃないだろうか。そのレベルのサムさがある。


↑まぁ当のオーケンがこれやってるけど。良い曲だけど。


25日 『ラブライブ!スーパースター!!』に救われた人

普段は全然乗らない路線に、諸用で乗ることに。駅構内には『ラブライブ!スーパースター!!』の広告が。

1期まではかなり好きなアニメだったんだけど、2期からの凋落っぷりが凄まじすぎる。
もちろん1期から葉月恋ちゃん周りのドラマがあまりにも雑だったりした。

「お母さんはスクールアイドルによって不幸せになったのでは?」という根拠ゼロの推測によって新興部活動をめちゃくちゃ弾圧するの、控えめにヤバすぎるが…


でもやっぱり、稀代の名作回「チェケラッ!」なんかは中の人の名演技も相まってグッとくる素晴らしいアニメだった。
平安名すみれの素晴らしい泣きの演技は、瞬間最大風速ならほとんどの声優を越えていた。それほどまでに圧倒的なクオリティだった。

それに最終回の「楽しいだけじゃダメだ。勝たなきゃ。」という現実を突きつけられる終わり方はバッドエンド的な展開ではあるものの、その辛い現実に向き合っていくかのんちゃんたちLiella!はべらぼうに美しかった。美しかったのに…


待望の2期で我々がお出しされたのは余りに圧倒的にやっつけクオリティな脚本。1期から不安感のあったシナリオはどんどん悪くなった。

特に凄まじかったのは、かのんちゃん含む多くのメンバーが最初から「後輩を入れる」ことに固執して、パフォーマンスや練習のクオリティを下げる方向へと舵を切ったことだ。

あ、あれほどまでに勝たなければいけないと去年結果を以て理解したはずのかのんちゃんがなんでそんな意味のわからないムーヴを…?


2期になるにつれて後輩をまとめ上げる聖人のようになったかのんちゃんは、1期のときのようなアクを見せてくれなくなった。

もう不安に悶え苦しむ姿や人間らしく逃げ出す姿は無く、「全てを受け止めます」とアルカイックスマイルを浮かべる仏さま状態。

そのキャラの短所とされる部分が成長と共に無くなっていくと、同時に魅力も消えていく…そんな哀しさをかのんちゃんに見た。

(まぁこの作品に関してはあれだけ悔しがってたかのんちゃんが急に仏さまにジョブチェンジしたことも確実に影響してるだろうが)


でもこの駅広告は、なんとなく良かった。なんでかと言えば、とても良い風景を見ることができたから。

僕が改札に入ってすぐのタイミング、雑踏の中でふとスーツ姿の大人がLiella!ポスターを見て立ち止まり、写真に納めていた。

顔は見えないが、その心のうちはなんとなく察することができる。ラブライブは余りにもリアルライブとアニメ・ゲームの距離が近すぎるとはいえ、やはりこの世に存在しないキャラクターへの愛というのは凄い。

Liella!に関しては無知なので分からないが、キャラクターへの愛というのは見返りを得られることのない無償の愛だ。
昔の日本で男色が「子を作るという打算的な目的が介在しない」という理由から尊いものとされたように、オタクのキャラクターへの愛もまた尊いものと言えるのかも。

OLさんが行き来する人の中で1人立ち止まりポスターを撮るその姿は、『ロスト・イン・トランスレーション』の一場面みたいだった。孤独と充実が感じられる、カメラを持つその人の写真を撮りたかったくらい。

作品への個人的な好き嫌いは置いといて、アニメによって少しだけ救われた人間の姿がそこにあったのは事実だ。
人間が創作に元気をもらう姿がめちゃくちゃ好きなんだよなぁ〜そんな訳で自分までなぜか元気をもらった。

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