再來!!好好台灣旅行 台北編 1/5
プロローグ
初めての台湾旅行から半年と少しが経った2023年10月24日の深夜、気づけば僕は2回目の台湾旅行に出発するために羽田空港第3ターミナルに突っ立ていた。
初めての台湾にして初めての海外だった半年前の強烈な感動が一向に冷めやらず、僕はコツコツ中国語(台湾華語)を独学で学んできた。そんな己の語学力と持ち前の愛嬌を信じて、今回1人で1週間ほどの台湾旅行に出向く。
これは、台湾を愛してやまない1人の人間の愛と情熱と汗の実録である。
以前台湾に行った際は航空券やホテルの手続きのほとんどを友人に任せていたので、紙の航空券をどこで手に入れるかもあやふやなままバックパックひとつで空港に到着。手続きは問題なく済ませたが、問題はフライトまで8時間以上もの時間を空港で過ごさねばならないことだった。(翌日5:55発)
格安航空券の代償を全身で感じながら眺めた滑走路は、闇の中で原色のライトが見渡す限り煌めいていて少しの緊張と寂しさを増幅させた。
原色の煌めく寂しい滑走路は誰の夜にも等しく映る
このように展望デッキで短歌をいくつか詠んだのち、空港内のベンチで眠った。
恐怖のリスニング・トレーニング
9時頃に桃園空港に到着し、入国審査の列に並んでいたら突然近くにいたオジが電話口であり得ないほどの罵声を飛ばし始めた。長蛇の列は一瞬にして静まり返り、激怒オジの怒鳴り声だけが空港内に響き渡る。周囲の人は皆、戦慄の表情を浮かべて怯えるほどだ。僕も恐怖を覚えたが、怒鳴り声の華語をリスニングする機会などそうそうないので全神経を耳と脳に集中させるものの如何せん聞き取れない。
もっと語学力があればこのオジが怒り狂っている理由がわかるのかぁ…と思ったら非常に悔しく感じられた。
僕が入国するまでオジは後方でずっと怒鳴り散らしていた。彼の心の平穏を祈って台北市街地へと向かう。
異国では言葉に混じる気持ちだけ触れるような裸になれる
タイワンリス原産国🐿
台北市内を歩くと汗が止まらない。そう、10月下旬と言えど南国の台湾が暑くないわけがないのだ。久しぶりにびちょびちょになるまで汗をかいた僕は、近くの公園に行った。
そこで目にしたのがタイワンリスだ。子猫ほどの大きさの可愛らしいリス達が芝生を駆け巡っているのを見て台湾に来て良かったと心から思えた。早速写真を撮って知人に送ると、タイワンリスは天敵のいない日本で繁殖していて害獣とされていると教えてもらった。そう考えて見ると彼らはかなり逞しい恰幅をしている。
これらのパワー系リスたちは、人間の都合で害獣扱いされつつも日本でブイブイいわせている同胞をどう思うのだろう。
動物好きの母にも画像を送ったら「ドブネズミかと思った」との返信が来た。
一定の量を過ぎたら駆除される人間以外の生き物達は
かわゆいリスの動画👇👇👇
汗と化した800円のレモンティー
ひとしきり台北の観光地を回ったが、睡眠不足な上に高温多湿の気候によって負荷がかかり、動くのがしんどくなってしまった。普通に具合が悪い…。
仕方がないのでホステルのチェックインまでカフェで休憩することにした僕は、タリーズ然としたおしゃれな雰囲気のカフェで800円ほどのレモンティーを飲んでいた。今考えれば普通に高い。
少し体力も回復したところで会計を済ませようとしたら、現金のみしか受け付けていないことを知った。
そうなのだ。台湾は台北でもキャッシュレスの店が案外多くない。財布を覗くと台湾ドルが全くないことに気づき焦った。
旅行1日目にして何故現金が無いかというと、まず日本で現金を下ろしてこなかったからだ。と、説明してもピンとこないだろう。何故現金を用意してこなかったのか?と思われるかもしれないが、もう本当に頭から抜けていたの一言に尽きる。
僕のこの、にわかに信じられない"やらかし"がこの旅に波紋を広げることになる。
さて、ピンチを悟った僕は口をパクパクさせながら、現金がないことを青ざめた顔面を見せつけて店員に伝えた。
だって小さな街の喫茶店♪ならまだしも、タリーズのようなカフェでクレカが使えないとは思わなかったんだからしょうがないだろ。と思いつつもパスポートを店に残し、クレカでキャッシングするためにダッシュでATMを探しに行った。
しかし想像してみてほしい。夕方、銀行が閉まっている時間帯に異国の街中で軽いパニックに陥りながらATMを探すことが、どれほど大変か。
かなり手こずりながらたどり着いたATMにクレカをぶち込み、台湾ドルを引き出そうとするも、僕が持っているクレカは海外からのキャッシングに対応しておらず何回やってもエラーになるではないか。(しかも持ち前のクレカ2枚とも!!)
これにはゾッとさせられた。リアルに警察の2文字が頭を掠めた。後ろに並ぶおばさまはATMの前で慌てる僕を見て何を思っていたのだろう。何らかの犯罪に関わるヤバい奴だと思われていなければ良いが…。
仕方がないのでおばさまにATMを明け渡した僕は、財布の中に五千円札があることに気づく。そうだ、これを台湾ドルに両替すれば良いのだ。ここまで体感30分ほど経過していた。カフェの店員は温厚そうだったが、僕が店員だったら金を工面しに行った怪しげな外国人が1時間も戻らなければ迷わず警察を呼ぶ。タイムリミットは残り30分。急げ!!と台北は中山市街を全身全霊をかけて駆けずり回った。
中山駅近くの新光三越(台湾にも三越のデパートがある)内のインフォメに、外貨を両替できる所がないか尋ねた。この時、息を切らしてまで走ったことによる発汗と精神的に追い詰められて出る冷や汗のダブルパンチにより、僕は尋常じゃない汗のかき方をしていた。さっきまでにこやかだったインフォメのスタッフも僕の汗を見て顔を引き攣らせている。聞けば、三越最上階のVIPルーム内で請け負っているらしい。ヨカッタ…これで無銭飲食での逮捕は免れた。。
汗も乾かぬうちにVIPルームに出向き両替したい旨を高らかと叫ぶと、パスポートが必要だと言われた。パスポートはカフェにある…とヘラ付きながら話すと「NO」と突き返された。僕はここで初めて外貨の両替にパスポートが必須であると気づく。前回も空港内でパスポートを出して両替したことをとうに忘れたザマがこれである。高級な調度品が並ぶ厳かな雰囲気のVIPルームでも、僕は国境を超えて恥を晒したのだ。
大人しくカフェに戻った僕は、店員に事の顛末を中国語でなんとか伝えることができた。両替の際にパスポートが必要だからパスポートを持って行かせてくれ、と。こんなことのために今まで中国語を学んできたわけではないが、勉強していなければ今頃お縄である。僕は何度も「對不起」(ごめんなさい)と繰り返し、パスポートを持って両替した現金で無事会計を済ませることができた。
たくさんの汗が出るのはまだちゃんと出すべき涙を流してないから
断っておくが、これは全て初日の話だ。台湾の旅はあと七日間あるのかと思うと少々ゾッとするが、こうして現在日本に無事帰国しているので安心して読み進めてほしい。
その後、予約していたホステルに宿泊し泥のように眠った。
寝る前に窓の外に目をやるとオレンジ色の街灯で辺りが照らされている。
台北の夜は暖かなオレンジ色だった。
1時間差ができちゃったあなたとの距離は2,093キロメートル
台北編2/3へ続く
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