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カレー食べよ



大学受験も終わり、キラキラした学生生活の妄想をしていたところに一通のLINEが届いた。

「下北行かねー?」

そう文章をよこしてきた彼は同じクラスで、進学先も同じ友人。前々から行きたいねって話してたことだったから迷うことなく行こうと返信した。

 数日後、渋谷で待ち合わせをした僕らは少し渋谷の街を歩いた。デカかった。何もかもがデカく感じた。特別都会に慣れていないわけではないはずなのだが、変な緊張感を覚えた。最近、慣れていると思っても以前と違うように感じることがときたまある。

 電車で移動して、散策してる間に日は傾いてきて、お腹もだいぶすいてきた。
「やっぱせっかく下北沢まで来たんだし、夕飯、カレー食べようよ。」
と言ってみた。別に普通のことである。なはずなのに、この言葉が口から抜けた瞬間、違和感を覚えた。僕は素直にカレーを食べたいと思った。でも多分、素直に思ったことを言うことに慣れていなかったんだと思う。少し前なら、下北でカレー食べるなんて、ベタでタザいって、そう思っていたはずだから。

 日も暮れてPM6:00。予め調べておいた店の営業開始時刻だ。広い店ではないが、なんだか居心地の良い空間であった。メニューは、吊り下げてある小さい黒板に4つほど書かれていた。キーマカレーを注文した。

 カレーを食べながら、痛い自分から大人になった気分に浸っていた。ベタがダサいとか思ってた自分、さようなら。一皮剥けた自分、こんにちは。はて、これから上手く付き合っていけるやろか。

 

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