婚活における「妥協ではなく,妥当」という発言について考えてみた
(2021.02.26に書いたブログ記事を転載したものです)
結婚支援者(婚活アドバイザーとか,結婚相談所の方とか)の方から,たまに,「妥協ではなく,妥当」「あなたに合った(妥当な)相手を選ぶことが結婚への近道」という言葉を見聞きします。
お気持ちはよくわかります。結婚希望者がまったく自分は何も努力しないのに,新垣結衣と結婚したいとか,有村架純と結婚したいとか言っていたら,「いやいや,それは難しすぎますから。現実を見ましょう。」と支援者さんが思う気持ちもわかりますし,それを希望者さんに言う必要がある時もあるかもしれません。
でも,「妥協ではなく,妥当」発言を見聞きするたびに,私は「誰が妥当を決めるのか?」と考えてしまいます。
たとえば私が「田中みな実さんと結婚したい」と思ったとします。これは現実的ではないかもしれませんが,妥当(適切)ではないと言い切れるでしょうか。
言い切れるとしたら,なぜ言い切れるのでしょうか。「あなた(私)が一般人で,田中みな実さんは芸能人だから」という理由であれば,私がこれからコメンテーターとしてテレビ出演ができるように努力すれば妥当になるのでしょうか。
あるいは,「あなた(私)が容姿的に普通,田中みな実さんは超一流だから釣り合わない」という理由であれば,なぜ容姿の釣り合いが妥当であることの条件になっているのでしょうか。田中みな実さんはもしかしたら容姿普通の方が好きかもしれません。
すなわち,「妥当」という言葉は,「あなたがお望みの相手と結婚することは無理だと私は思う」という恣意的な判断をそれっぽく言い表せるように表現しただけになっているように感じるときがあります。
このことは,次の疑問「あなたが妥当を判断できるのか?」を考えることにつながります。
たとえば,さきほど田中みな実さんと容姿が釣り合わないから妥当ではないという例を挙げましたが,田中みな実さんがどのような容姿を求めているかは田中みな実さんにしかわからないはずです。
これはあくまで容姿の例ですが,同じようなことがほかの条件の場合も言えます。誰が何を求めているかは,実は自分にもわからないときがあります。他人も同じです。だから,「あなたの妥当の判断」は実は妥当ではないということはありえます。
もちろん,何も努力せず,「結婚相手を見つけて連れてきて」みたいな人には,「あなたの立場を考えて」ということも必要でしょう。
しかし,「妥当ではない」と言う前に,「どうすれば妥当になるのか」あるいは「本当に妥当ではないのか」について試してみることが大事なのではないかと思います。
たとえば,私が「田中みな実さんと結婚したい」と言った場合,「それならまずは芸能界に関わらないといけないね。マスコミに就職してみる?」とか「芸能界にスカウトされるように,身体鍛えてみる?」とか,その願望を実現すべく,何ができるのかを考える必要があると思います。
人は常に何かができません。だから,できる人に頼ったり,できるようになろうと努力したりできます。できない人がいるときに,「あなたはこれができないからだめ」というのではなく,「では,これをやってみたら」と提案したり,「望みを叶えるためにはどうしたらいいだろう」と一緒に考えたりすることこそが,支援なのではないかと思います。
ただそばにいることがサポートなのかなと思っています。また見に来てください。気が向いたときにご支援お願いします。