備忘録|全国結婚支援セミナー in 東京
(2020.06.17に書いたブログ記事を転記したものです)
過去に別サイトで書いた記事ですが,ここでも確認できるように再掲します。
2019年11月10日〜11日に第9回全国結婚支援セミナーin東京がありました。NPO法人全国地域結婚支援センターと東京都が主催となって開催された結婚支援に関心のある方々が集まるセミナーです。
初日は若者を理解することをテーマに,原田曜平氏による講演「未婚化・晩婚化する若者をどう理解し、応援すればいい?」と,原田曜平氏と独身男女のトークセッションがありました。(原田曜平氏についてはこちら)
原田氏の講演はわかりやすい上に内容も深く,様々な点で勉強になりました(講座ってこうやればいいのか!とかも参考になりました)。
原田氏の講演を自分なりに簡単にまとめておきます。
まず,若者とはだいたい30歳以下の人を指しています。若者を理解するためには若者が生きてきた時代を捉えることが必要なわけですが,原田氏は経済という視点から若者が生きてきた時代を見ていました。
原田氏曰く。現在30歳の人が生まれた1989年を起点に経済の変化を見てみると,
バブル崩壊→失われた10年→実感なき景気回復→100年に1度の金融危機→アベノミクス景気回復
となります。すなわち,今の若者は不景気が前提で生きてきており,未来に不安があります(前途多難)。「なんとかなる」とは思えないわけです。これが特徴の1つです。
また,若者の生きてきた時代を捉える上でもう1つ重要なのはケータイ。今の若者は幼い頃からケータイが身近にあり,ケータイを所持していました。そして,メアド交換やSNSを使うことで,人間関係が拡大し,つながり過ぎているという状況があります。これがもう1つの特徴です。
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ここで面白いなと思ったのが,「つながり過ぎている」というのは,人間関係のつながりが単純に拡大しているということではないという点です。どういうことか。単純な拡大というのは,今まで(ケータイがない時代)は身近な人としかつながれなかったけど,今(ケータイがある時代)は「身近な人+遠い人」ともつながれる,ということです。でも,「つながり過ぎている」とはそういうことではなくて(そういう側面もあると思いますが),過去のつながりを切れなくなったということを意味しています。たとえば,今までは高校進学したら,なんとなく中学の友達とは疎遠になっていく,というように新しく出会った身近な人と関係を形成していきます。一方,今は,ケータイがあることによって中学の友達とも関係が続いたまま高校の友達もでき,その結果,中学+高校の人間関係が作られる。これが「つながり過ぎている」という意味です。人間関係のつながりを時間的観点から捉えていて,なるほど!,と思わされました。
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話は戻りますが,以上のような二つの特徴(①未来への不安,②ケータイの存在)があることで,若者は常に周りを気にし(情報収集),悪い結果が起きないように過ごすことになります。つまり,若者たちの間で,1.過剰な気遣い,2.監視社会,3.既視感が生まれ,「現代版村社会」が生まれている,とのことでした。
過剰な気遣いとは,好きな人でも嫌いな人でもその場に合わせ,場を乱さないようにする同調志向のこと。
監視社会とは,ケータイで繋がっていることにより行動が筒抜けで,出る杭を打ったり,陰口,噂話,デマ等が多いということ。
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1.と2.に関連して面白いなと思ったのは,(1.と2.の帰結だと思うのですが)若者の間では,高度の文脈依存的なコミュニケーションが増えているそうです。たとえば,「夜中まで残業」というのをTwitterなどでそのまま呟いてしまうと,「頑張ってますアピールかよ」と出る杭を打たれます。なので,「レッドブルなう」と呟く。そうすると,呟いていることはあくまで「レッドブルなう」なので叩かれることはないけど,残業中なのだな,ということはなんとなく伝わる。このような間接的コミュニケーションを使うことで現状や気持ちを伝えることがあるそうです。「若者はコミュニケーション能力がない」と上の世代は言いますが,コミュニケーションの取り方がそもそも質的に違うので,コミュニケーション能力がないように映るのだと思います。ちなみに,この特徴を利用したことで,レッドブルはマーケティングに成功したらしいです。
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また話が脱線しました。話を戻しますと,3.既視感とは,氾濫する情報(口コミやSNSなど)によって体験したこともないのに体験した気になり,好奇心が削がれてしまう状態のことです。なので,若者は物欲がないとか言われてしまうわけです。
まとめます。若者は不況とケータイにより「スモールライフ」を送るようになっています。スモールライフとは,「コストを抑え,効率的で,身の丈に合った,持続可能な,血縁や地縁を大切にした,憧れではなく共感や一体感に重きをおいた生活」という意味で,若者なりの過ごし方を自分たちで見つけ,それに満足しているのではないか。それが原田氏の結論でした。
繰り返しになりますが,面白かったです。勉強になりました。
初日後半は,「婚活時代の若者の本音・・・不満,不安,そして希望」という原田氏と独身男女のトークセッションでした。若者の本音が見え(一応年齢的には私も若者の部類なのですが…),色々考えさせられました。考えた結果だけを文脈なく記しておきます。
見た目による「集客」をどう乗り越えていけるか
例)キツそうな見た目だと甘えたの相手が近づいてくる
「頼る(依存)」という意味での「結婚」をどう捉え直せるか
「とりあえず結婚してみる」という価値観をどうつくれるか?
注:誰でもいいから結婚,という意味ではない出会いにおける背景の「可視化」(どういう人生を歩んできたかがわかる) → 選ぶとしても選ばれるとしても相手のことを知りたい
初日の最後には主催である東京都の結婚支援施策について紹介がありました。さすが東京という感じで高知とは何だか違うなと感じました(高知が悪いと言っているわけではありません)。ちなみに,セミナー開始の挨拶は小池都知事でした。
2日目は全国各地の結婚支援の事例紹介ということで,4つの事例が紹介されました。個人的に惹かれたのは長野県いなし出会いサポートセンターの事例。「個人の魅力発見型イベント」ということで,ある個人が「主人公」になれるようにイベントを作ってしまうという取り組みをしていました。
私も婚活に関わるようになって,参加者が主役の場を作れないか,と考えていたので,この取り組みはとても参考になりました。高知では単純に適用することは難しいですが,近いうちにお話を聞かせてもらいたいなあと思っています。
4つの事例紹介が終わると閉会でした。とても濃い2日間でした。来年度は水戸で開催らしいので,都合が合えば参加したいなと思っています。
ただそばにいることがサポートなのかなと思っています。また見に来てください。気が向いたときにご支援お願いします。