#01日本婚活思想史序説
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佐藤信 (2019). 日本婚活思想史序説━━戦後日本の「幸せになりたい」━━ 東洋経済新報社
本書紹介 from 東洋経済HP
いい結婚って何?
結婚ってしなきゃいけないの?
働きたくないから専業主婦はアリ?
自分にあった生き方&パートナーはどうやって見つける?
婚活論とは人生論であり、仕事論であり、またこの少子化日本においては国家論ですらある。
東大先端研の政治学者が全力で平成・昭和の婚活を研究した渾身の一冊!
本書概要
専門が日本政治外交史である著者らしく,「婚活」に関する歴史的な変遷を追っています。「婚活」に関する歴史的な変遷といっても,具体的な個人の結婚活動ではありません。タイトルの通り,「恋愛」,「結婚」というものがどのように捉えられていたのかという思想の変遷のことです。
本書を簡単に要約してみます。
現在主流の婚活はマーケティング婚活で,その萌芽は1970代に見られた(ここでパンダを挙げて考えるのは政治外交史が専門の著者らしさが出ているように思いました)。その後1980年代に入り『結婚潮流』が発刊されて以降,婚活0.0とも呼べる本格的な結婚活動が生まれてくる(もちろん当時は結婚活動とは呼ばれていない)。しかし,80年代後半に『結婚潮流』が廃刊されて以降,婚活は一時衰退。2000年代に入り,マーケティング婚活(婚活市場でマーケティングを行う婚活)が台頭し,それに少し遅れて「婚活」という言葉が誕生する。「人口管理」に対する心理的抵抗感から,「結婚」「出産」に国家が介入することはなかったものの,近年は少子化が「国難」となったために,「婚活」に国家が介入してきた。ただし,個人の求める「結婚」の在り方と国家の求める「結婚」の在り方には齟齬がある。「結婚」という私的な領域が国家という公的な領域との新たな接点になっていることを認識しておくことは市民にとって損はないことであるし,「近い未来」をどう形作っていくかを考えることが婚活論の鍵になるであろう。
ちなみに,著者は筋金入りの「婚活好き」らしく,高校生の頃にはすでに婚活情報を収集していたようです。第5章はまさに著者の趣味の話であり,圧巻でした。
著者の基本的なスタンスには共鳴するものの,マーケティング婚活を基本的に肯定している点は同意できませんでした。というのは,「条件を設定し身の丈に合わせた相手を選ぶ」ことが常態化してしまうと,発達可能性が閉じてしまうと考えるためです。詳しくは以下。
(以上はInstagramの再掲,一部修正)
ページ数から見る著者の力点
本章では序章と終章を含めると,計8章ありました。各章のページ数は以下のグラフの通りです。
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