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アラフィフの、ドタバタ子宮筋腫摘出手術記

はじめに


「子宮に筋腫が見られます」
2019年の子宮頸がん検診で、こう告げられました。ベタですが、頭の中に「ゴーン!」と除夜の鐘が鳴なりました。
健康だけが取り柄だと思っていた私。お産以外の入院経験がない私。そんなアラフィフの、手術から現在に至るまでをお伝えします。

これを書き残そうと思ったのには、理由があります。
私の場合、筋腫だけを摘出する「子宮鏡下手術」で、開腹はしていません。いわゆる、「簡単な手術」です。とはいえ心の中は不安だらけで、インターネットで、「子宮筋腫 手術」といろいろ検索しました。でも出てくるのは、開腹して子宮を全摘出した人の例ばかり(参考にはなりましたが)。
簡単だから軽度だから、関心は低いのかもしれません。でも、知りたい人はきっといる。そして、手術を控えて不安になっている人も。だったら、私が書き残そう。簡単で軽度な手術は、どのようなものか。

こんな想いでnoteにシリーズ化して投稿したものを、今回加筆修正しました。

子宮や子宮筋腫に不安を抱えている方。今子宮に問題はないけれど、今後の参考にしたい方。
ぜひ、お読みください。

①不正出血発覚

毎年子宮頸がんと乳がんの検診は、欠かさず受けている私。乳がんは、今のところ問題ありません。
しかし、子宮頸がんは、2019年9月再検査になり、その後子宮筋腫が見つかりました。
「小さいから、今は様子を見るけれど、月経時の出血が多くなったり貧血が起こったりしたら、すぐ連絡してください」
と、かかりつけの産科医に言われました。

そう言われつつ、2020年と2021年の検診では、特に異常はありませんでした。ただ、出血量が増えているのは、感じていました。
そして。2021年11月、月経の終わりかけに、不正出血。今までに見たことがない、塊が……。
すぐに産婦人科に電話して、受診しました。

産科医に言われたのは、こんなこと。
・筋腫は2年前より大きくなっていたこと。
・筋腫全体が子宮の中に飛び出していて、そのため月経時に大量出血すること。
・薬による治療でなく、手術する必要があるとのこと。
・筋腫だけを摘出する「子宮鏡下手術」で、開腹はしないこと。
・手術は2泊3日程度。転院して、近隣の総合病院で手術を受けること(紹介状を書いてもらう)。
・精密検査が必要なので、次の月経が来たら、提携医院でMRI検査の予約をすること。
と、一気にいろいろなことが分かりました。

帰り道は、手術に対する不安と、早期発見できてよかったという、安心が入り混じった気持ちでした。
帰宅して、家族に説明。小学6年生の長男には「ママは病気が見つかって、そのうち手術するよ」と伝えました。
長女には「○○(長女の名前)は、HPVワクチン接種したから、ママみたいに子宮筋腫ができる可能性低いよ。でも、検査は欠かさず行ってね」
先走っている言い方ですが、今伝えないと、と思いました。(当時、HPVワクチンは推奨されていなかったのですが、長女は接種)。
夫は、終始冷静に受けて止めていました。

2021年12月、月経が来たので産婦人科を再び受診。MRI検査を行うくクリニックに、予約を入れてもらいました。

2021年12月24日、MRI検査。クリスマスイブなのに、しかも朝食抜き(午前中だったので)。若干ふてくされる私。

検査結果は、クリニック→産婦人科に郵送。明けて2022年1月7日産婦人科を受診。
悪性腫瘍でないことがわかり、安心。
お正月中は不安を抱えていたので、肩の荷が下りました。大抵は、ゴロゴロしていたけれど。
紹介状と画像写真・CDを受け取りました。

支払い時、検査は高いなと思ったけど、ここまでやってくれるのなら納得。
さて、次からは手術に向けて総合病院に行きます。

②総合病院での診察(前編)

総合病院の予約を取って、2022年1月26日紹介状を持って受診。
では手術日の相談を……というわけではなく、念のために、子宮体がんの検査をしました。
検査結果が出る3週間後、受診してようやく手術の日を決めます。この期間が長く感じます。

2022年2月16日
2回目の総合病院の受診。子宮体がんの検査は異常なし。この日行ったのはこの3つ。
・執刀医との面接
・手術日の決定
・検尿、採決、レントゲン、心電図の検査

コロナ禍で、手術の予定が取れないのではと心配していましたが、大掛かりな手術ではないので、執刀医と私(患者)の都合が合えば、さくっと決められる感じ。
最近の月経周期をお伝えして、「じゃあ、この日程はどうですか?」と提案されました。
私が心配なのは。手術日が月経ど真ん中(変な言い方)だったらどうするのかということ。「初日でなければ、大体手術していますよ」との返答でした。なるほど。

大きな病院なので、待ち時間や移動が多く、10時過ぎに行ったのに終わったのは13時過ぎ……疲れました。
でも、これで終わりではなく。
入院前にもう一度受診して、入院手続きや麻酔科医と面接があります。
大掛かりではないとはいえ、手術って大変だとしみじみ。麻酔はもちろん、全身麻酔。

ただ日程が決まったことで、精神的に大分楽になりました。
フリーランスで、ヨガ講師とライターをしている私。いつまで仕事できるか考えて、中止や延期にすべき仕事の有無を整理しました。

③総合病院での診察(後編)

2022年2月25日、子宮筋腫摘出手術の入院・手術準備のため通院。

この日は
・執刀医との面接(手術内容の説明)
・患者支援サポートセンターで、入院相談。
・入退院受付で、ベッドの予約など。

今回は待たされることはなく、サクサク進んだけど、やることが多い。

患者サポートセンターでは、
・問診票の記入。
・身長体重血圧測定。
・薬剤師との面接(常用している薬の申告など)
・入院の手引きのビデオ鑑賞
・看護師との面接(入院の諸注意)

と、てんこ盛り。
花粉症の薬を飲んでいるのに、お薬手帳を忘れてしまいました。当日薬を持ってきて、薬の名前を伝えないといけません。
そのほか、常用している口内炎予防のサプリメントは、手術1週間前から服用は止めるように言われました。
他の医療機関を受診する際は、手術を控えていることを伝えるようにとも。
現実味を帯びてきました。書類をたくさんもらったので、入院までに目を通さないといけません。

仕事関係や知り合いに、手術することを公表しました。
温かい言葉をいただいたて、本当にうれしかったです。
「かまってちゃん」かもと考えたけど(長女だから、普段そういう行動に出られない)、実際仕事関係の人に伝えたら
「教えていただいて、ありがとうございます。」と言われました。
先に伝えた方が、もし私の体調に何かあったとき、迷惑かけないのだろうなと思いました。
少し不安もあるけど、心落ち着かせて入院を待ちました。

そして、「限度額適用認定証」を入手。これは、高額医療制度の一つ。これを提出すれば、医療機関の窓口で、自己負担限度額を超える費用を立て替えずに済みます。健康保険に加入していれば、誰でも申請できます。私の場合、入院の書類に入っていました。限度額を超えた分は後で戻ってきますが、一度に大金が出るのは、やっぱり大変。忘れずに、申請しましょう。

④入院1日目

入院前日の2022年3月8日。
普段のように、午前中は趣味のダンス教室、そして午後はキッズヨガのクラス。

前日まで普通に過ごして大丈夫なので、ルーティンを変えませんでした。
子ども達の笑顔を見て、頑張ろう!という気になれました。

2022年3月9日
10:00に総合病院へ。
手術に必要なティージーパンツ(パンツ型T字帯)なるものを、病院のコンビニで購入して入退院受付へ。
保証金を払い、書類にあれこれ記名。

10:30病棟へ。
新型コロナウイルスについてのアンケート記入と検温、PCR検査。ちなみに、2月に3回目接種を済ませました。安心して手術に臨みたいので。
ベッドに案内されてから、病棟看護師、薬剤師の説明。入院用パジャマに着替えました。
ちなみに私はレンタル。バスタオルとフェイスタオルもセットなので、リーズナブル。荷物が減らせるのがありがたい。
翌日の手術用の手術衣と弾圧ストッキング(脚のむくみ予防)を、受け取りました。
ここで早速、ティージーパンツと生理用ナプキン1枚を看護師に渡しました。手術後に装着するらしい。ここで明日12:30から手術と告げられました。
つまり、朝食昼食とも食べられないのです。くすん。
そうこうしているうちに、昼食。食後に下剤飲むと聞いていたけれど、私は飲みませんでした。

午後はいろいろあるので、14時にはシャワーを済ませました。
15時以降は、外来病棟でレントゲン撮影、主治医の内診、手術室看護師と主治医の説明と、なにかと忙しい。
18時夕食。21時以降絶食なので、しっかり味わいました。就寝までは、読書。
22時手術に向けて、しっかり睡眠。

⑤入院2日目(手術当日)

手術当日の2022年3月10日。
食事抜きだけでなく、水分も6時以降取れないので、6時前にお茶がぶ飲み。
朝食は必ず食べるので、この時間はつらいです。

8時20分。診察。子宮を広げるために「何か」を挿入される。
10時点滴。ここで手術着に着替え。紐が多くて1人で着られないので、看護師に手伝ってもらいました。点滴は手術終わるまで続くらしい。
11時。11時半から手術と言われる。予定(12時半)より1時間も早い。
遅くなるよりいいけれど、読んでいた本、佳境だったのに…。弾圧ストッキングを装着。
手術前最後のトイレと、点滴ホルダーを連れて入室。
扉にホルダーがぶつかることはないよなー、なんて思ったら心配無用。
コントみたいなことあるもんか。

手術室までは点滴ホルダーを連れて移動。横から看護師が、私が使っていたベッドを運搬。手術後はこれに寝かせられるのです。
病室棟の前の防火扉を通ってエレベーターへ。そのとき、「ガツン!!」
「え、何??」と見ると、点滴ホルダーがぶつかっていた!!
何で高さ合ってへんのー?! ベタなコントやった。おかげで緊張ほぐれたけど。

こうして手術室へ。会社の受付みたいなところがあって、看護師が私の名前を告げて指定の個室へ。
メガネと靴を預けて手術台へ。
手術後は昨日看護師に渡した、ティージーパンツとナプキンを履かせてもらい、履いていた下着は他の荷物と一緒に運んでくれます。下着事情、気になりますよね。
診察台で仰向けに寝て、口から前身麻酔。「少し、しみますよ」と言われお約束通りゴホゴホむせて……。そのあと、記憶なし。

「終わりましたよ」の看護師の声で、目が覚めるものの朦朧とした状態。
「1,2,3」の掛け声とともに、ベッドに移し替えてもらって病室へ。
後で知ったけど、このとき12:30過ぎ。

そこから2時間。酸素マスクと点滴を付けた状態で休息。途中何度か、検温と血圧測定がありました。
15時前に酸素マスクを外されました(点滴は16時過ぎに外したかな?)
歩いてトイレに行って、パジャマと通常の下着に着替え。お水を飲むのも許可されました。あー、体に浸みる。
月経終わりかけのような出血はあったけど、大丈夫な範囲らしい。とりあえず、無事終了のよう。ティージーパンツですが、「(使い捨てでないので)とっておきますか?」
と言われたけど、「要りません!」また、お世話になりたくないですから。

16時過ぎ、頭がフラフラするけどとりあえず落ち着いてきた。夫に手術終了のメールをして、読みかけの本を最後まで読みました。
18時、待望の夕食。おいしかった。食後、頭痛があるので鎮痛剤を出してもらう。
それでも、また読書。こんなときでもないと、できないからね。
脚がむくまないように、足首をひたすら回す。
マタニティヨガで、妊婦さんにいつもお伝えすることを実践。
22時就寝。明日は退院。楽しみ。

⑥入院3日目(退院日)

2022年3月11日6時頃起床。
7時過ぎ朝食。
8時半診察。「しばらくは月経の終わりかけの出血が続きますが、特に異常はないので、退院できますよ」と言われました。
9時シャワーを浴びて、片付け。シャワー浴びるまで、むくみ防止に弾圧ストッキング履いていました。ちなみにこれ、医療用で結構高額らしい。看護師に家でも使ってくださいね、と言われました。

病棟の看護師にごあいさつ。そして、入退院手続きへ。保証金を返してもらい、事前に取った「限度額適用認定証」を出してクレジットカードで支払い(現金の場合、保証金分を相殺)。
おかげで支払いが高額にならずにすみました。これを使わなくても、保険に入っていれば数か月後に戻って来るけど、一度に大金出るのは大変だからね。

10時ごろ病院を出て、無事帰宅。週末は何もしないと決め、週明けの14日から少しずつ仕事再開。
といっても、ライターの方で、ヨガ講師はしばらくお休みです。

子ども達はもう大きいし、夫が在宅勤務だったので、特に問題はなかったよう。
子どもからメールは来ませんでした。
寂しい?全然。子ども達が成長していることだから。

⑦退院後の検診


2022年3月23日 退院後の検診。
出血はと倦怠感は退院から4日くらいで終了。元気に過ごしていました。
検診では
病理検査の結果を知らされ、内診を行いました。

MRI では筋腫は良性だったのですが、現物を検査しないと正確なことはわからないらしいです。結果は、無事良性。
内診も、膿んでいたり傷が残ったりもなく、異常なし。
「これで、こちらでの診察は終わりです。かかりつけのクリニックで引き続き、検査をしてください」
と執刀医に言われました。

大変だったのが、入浴はシャワーのみだったこと。湯船に入るのは一日の楽しみにしている私には、苦行でした。湯船解禁は、本当にうれしかったです。

退院後、1週間経ってヨガの仕事は再開。
急な変更も受け入れてくださり、温かく迎えてくださったこと、心より感謝します。

余談ですが。母は胃癌で61歳で亡くなったのですが、後で近所の方から聞くと定期健診を受けていなかったそう。
悔やむ代わりに、私はしっかり検診を受けようと思ったのですが、この行動は間違っていなかったと実感しました。

改めて。生きていることは、奇跡で当たり前ではない。だから、感謝しながら日々を過ごしたいなと思いました。

⑧子宮頸がん検査でまさかの再検査


ここからは、後日談です。

子宮筋腫摘出手術から半年ほど過ぎました。

8月は、私の誕生月。毎年この前後に、子宮頸がん検査や乳がん検査、健康診断を受けています。
2022年は、誕生日の翌日に子宮頸がん検査を予約。内診では産科医に「見たところ、異常はないよ」
と言われました。
この後、採取した細胞を病理検査に出すので、最終的な結果は、しばらく待たないといけないのですが、私はルンルン気分(死語)。

しかし。約2週間後。郵送で送られた結果は、再検査…チーン。
ASC-US 、訳すと「意義不明な異形扁平上皮組織が認められる」(←ますますわからん)とのこと。
もう1回詳しく検査して、異常がないか確認しましょうということらしい。
2019年にも同じ内容で引っかかっています。

結果は、陰性。今度こそ、一安心。
私は、子宮頸がん検査は、引っかかるタイプらしい。年1回の検査は欠かさず受けようと、改めて思いました。
ちなみに。乳がん検査は異常なし。こちらも気を緩めずに、検査は欠かさないようにします。

「再検査」は、グレーゾーンのようなもの。ビビりすぎないようにします。

⑨(番外編)ドラマ『もう誰も愛さない』で勝手に思うこと

私が高校生だった1991年。『もう誰も愛さない』というドラマがありました。
ドロドロの愛憎ドラマで、瞬時に被害者と加害者が入れ替わり、「ジェットコースタードラマ」、と呼ばれていました。
私は見ていないのですが、当時話題になり、インターネットがない時代なのに、話のあらましは耳に入ってくるという状態。

キャッチコピーを付けるとしたら、
「愛憎満漢全席」「栄枯盛衰の高速メリーゴーランド」でしょうか(個人の感想です)

あらすじは省きますが。主人公の1人田中美奈子さん演じる小百合は、散々悪事を働いた上に、最後は病気で亡くなるという不幸な結末(生い立ちを考えると、これだけで片付けられないのですが)。長い間、因果応報だなと思っていました。

最近、インターネットで昔のドラマをテーマにした記事があったので、たまたま目にしていると。死因は「子宮頸がん」でした。
子宮筋腫摘出手術を受けて、ちょうど1年経って知った事実。何だかショックでした。
90年代、ワクチンはなく、病気に対する意識も低かったのでしょうが。

私が勝手に思うことは。
他人を陥れて大金を手に入れて、その度に腹痛や不正出血があっても、気に留めていなかったのだろうな。健康診断行ってなさそうだし。
そして、全てを手に入れたと思ったときには、手の施しようのない状態に。
外側にばかり目がいって、自分の内側を見ていなかったのでしょうね。「自分の身体の声を聴く」ことの大切さを感じました。

ここで得た教訓
・他人に嫌がらせをする暇があれば、健康診断に行きましょう!
・いくらお金を手に入れても、健康でなければ意味なし!

昔のドラマから、思わぬところに考えが飛びましたが、検査やワクチンの大切さを改めて感じました。

おわりに


2023年5月、子宮筋腫摘出手術から1年2か月が経過。私は、元気に過ごしています。

今思うのは、子宮頸がん検査を毎年受診して、本当に良かったということ。早期発見できれば、怖がることはないのです。
そして、長女にHPVワクチンを接種させておいて良かったということ。ワクチンを接種すれば、子宮筋腫に罹る可能性は低くなります(これについて、書きたいことはいろいろありますが、またの機会に)。

ありふれた体験記ですが、子宮に対する意識を深めて、健康で元気に生きられる女性が一人でも増えることを願っています。



#創作大賞2023 #エッセイ部門

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