♯9 トラウマ2

靴下を立ったまま履けなくなりました。

はったいこです。


前回の言いましたが、小生のオカンは料理が得意ではありません。

子供の頃はオカンか祖母の作った料理しか食べていなかったので

世間知らずな世代の時はその事実を知る由もなりませんでした。


小生は生まれも育ちも海無し県の山奥に住んでいます。

近年では輸送技術が発達したおかげで、スーパーに新鮮な海鮮もの

が並ぶ時代だが、当時(40年ほど前)海無し県のスーパーには

魚といえば干物とかが主流でした。


そんな中、地域の仲良し家族で結成された団体で月一回交代制で

海のある県に行き、それぞれの家族の要望した海の幸を買いに

行くということをしていた。

ある時、親父が「鱧が食いたいか買ってきてくれ!」の注文をして

夕方に我が家には、なんと全長1メールほどの「死んだ鱧」がやってきた。

親父は喜んで「今日の晩飯は鱧づくしやな!」と・・・

子供心にうすうすオカンの料理ベタなのを気づき始めていた小生は

「・・・。誰がさばくん?!」

オカンは 「よーしっ!」と言って腕まくりをして包丁を手に取り

鱧との格闘が始まった。。。。


ご存知のとおり鱧って「骨きり」という高等な技術がいる下処理が必要に

なってくる。まともにタマネギのスライスを切れないオカンができるハズ

もなく食卓に並んだ鱧には、ゴツゴツの骨が身に潜んでいる有様。。。



親父は酒を片手に「うまい!うまい!」と食っている。

・・・どこかでみた風景。。。

小生と弟は口の中は小骨で口の中が血まみれになりながら、

泣きながら食べた。




それ以来、30歳を越えるまで鱧は口にしなかった。

たまたま仕事の都合で京都の床に連れて行ってもらって、食べさせて

頂いた鱧の味が忘れられない。

上司に「なんで泣きながら食べてるんや?」と言われるまで

右のほほに涙がつたっていることに気づかなかった。。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?