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悪役を書ききる 『フーガはユーガ』を読んだ

ここのところ、天気が悪くメンタルが低調…ということで気分転換に本を読んだ。

学生時代から伊坂幸太郎の小説が好きで全部読んだ、とまではいかないが8割くらいの著書は読んでいる。で、(多分)最新刊の「フーガはユーガ」を読むことにした。

フーガはユーガ (実業之日本社文庫) | 伊坂 幸太郎 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

伊坂幸太郎の物語の特徴として登場人物が挙げられる。例えば、やや浮世離れしていて、だけど颯爽としていて自分の正義・生き方を貫く人物が主人公や主人公の仲間として登場することが多い。(例えば重力ピエロの「春」やチルドレンシリーズの「陣内」、陽気なギャングシリーズの四人組など。)

一方で悪役キャラクターは意地が悪くてドSで残酷、悪事をはたらいても罰せられることも無く、非常に憎たらしく書かれる。

悪役をきっちり憎たらしく書ききれるかどうか、という点はエンターテインメントとして結構重要だと思うのだが、伊坂幸太郎はそこがうまい。(ちなみにONE PIECEもそこがヒットの要因だと思っている。)

今回の「フーガはユーガ」はその点で伊坂幸太郎の真骨頂だ。

例えば、主人公は風雅(フーガ)と優雅(ユーガ)の双子なのだが、その父親は二人の人生に大きな影響与える悪役として登場する。父親は非常に暴力的に書かれていて、物語は双子に対する虐待の場面から始まる。

父親の他にも憎たらしい悪役が出てきて、物語の重要な役回りを担うのだが、あまり書くとネタバレになるのでここまでにする。

とにもかくにも悪役をしっかりと悪役として書ききることが上手いなー、という点を改めて感じた。

伊坂幸太郎は東北大卒&仙台在住ということで仙台が物語の舞台になっていることが多くて、今作も仙台が舞台。

仙台在住の人は伊坂幸太郎の本を読んでいて臨場感があるんだろうなぁ。羨ましい。わ





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