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バイオグラフィー -- 僕が失明するまでの記憶

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生まれてから失明するまでの記憶を、忘れないよう記録として書き留めました。 記憶に基づいた記述のため不正確な箇所や不鮮明な箇所があるかも知れませんが、一人の人間の生きた痕跡として、…
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#入院

はじめての入院、そして手術(僕が失明するまでの記憶 10)

 夏休みになってまだ間もない1986年7月23日、生まれて初めての入院生活が始まった。病院へ行く途中、バス停の近くにあった電気屋で母が小さなラジオを買ってくれた。退屈しないようにとの気遣いだったが、ラジオを聴く習慣がなかったので、ほとんど使わなかった。

 申し訳ないとは思うけれど、親元を離れての生活には全く寂しさを感じなかった。眼科の一般病棟に入院している子供は珍しかったので、周囲の大人たちが親

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