油にまつわるエトセトラ番外編~鯨油の歴史を探るin平戸~
0.油にまつわるエトセトラ
仮説実験授業《あかりと文明》での出来事をまとめた記事はこちらから読むことができます。
今回はその番外編を書いてみました!
1.油の歴史はまだまだつづくよどこまでも!
授業書《あかりと文明》を作られた阿部徳昭さん(宮城・小学校)は、
様々な油の歴史について研究されています。
油の1つとして、鯨油についてもまとめた資料もあります。
また、こちらにも…
クジラ油も灯りの油として使われていた…
そしてそれがなんと
北部九州でクジラが取れていた!?ななな、なんですと!?
2.平戸に行きたい
さて、長崎県に平戸 という場所があります。
平戸 と言えば、南蛮貿易とかを思い出す方々も多いと思うのですが…私にとっての平戸は「捕鯨地」です。
なぜかというと阿部徳昭さん(宮城・小学校)の資料「もしも油がもえたなら ㉑ もしもクジラをとったなら」(私家版・阿部徳昭著『もしも油がもえたなら』に掲載)に
と書かれていたからです。
この資料を読んだとき、
私の心の中で「地元九州が歴史の舞台になっているとは!」と
わくわくしました。
資料を読み終えた後に
「福岡でも鯨油を買っていた と書いてあったからきっと手掛かりになる文章が残っているのかも?」と
図書館に行って鯨油について書かれている本を探しに
行ったほどです。
しかし
本を探して読んでみても
昔の言葉で書かれているのと、
何をかいているのかさっぱりわからず だったので、
早々にあきらめて家に帰りましたが…。とほほ。
とにかく!阿部さんの油の資料や、
《あかりと文明》とても好きな私。
その「油ってすごい。楽しい!」と
私も油の歴史・阿部さんの研究にどっぷりはまったきっかけは、
「鯨油の歴史」
だったのです(単なる地元好きというのもありますが)
以前、阿部さんを福岡に招いて
《あかりと文明》体験講座をしていただいたときには、
講座後に捕鯨地である唐津の呼子にも行きました。
呼子には, 鯨組主中尾家屋敷(※) という県指定重要文化財が残っています。
※ 中尾家は江戸時代から明治初頭にかけて,170年間にわたり呼子を拠点に捕鯨業を営んでした鯨組主です。
壱岐や五島列島は船で行かないと無理…。
もっと近場で、
そして車で行って捕鯨の歴史を知ることができる場所として、
平戸市にある生月島が候補に挙がりました。
生月島は橋で渡れるため、車で行けます。
というわけで,旅行もかねて
捕鯨の歴史について平戸・生月島まで行くことにしました。
3.阿部さんに連絡しました
しかし私、捕鯨の歴史をものすごく詳しいわけでもありません。
ですから、事前に阿部さんに連絡して聞いてみました。
すると,阿部さんから、
という返信が来ました。
そうなんです。鯨油は
灯用油だけではなく、農業・農薬に使っていた というのが
江戸時代後期に農業技術書を数多く書いた大蔵永常が
『除蝗録』という本に書いていたのです。
(阿部さん資料「クジラ油をまいたなら」に掲載)
その『除蝗録』(下記の引用は大蔵永常著・小西正泰他解題『日本農書全集
15 除蝗録』1977,農文協の現代語訳を参考・阿部さんがさらに意訳)には
と書かれています。
そして、東北地方ではこのようなやり方で害虫駆除をしていなかったことや、
こうやって農薬代わりに鯨油をつかっていたことから、
阿部さんは資料の中で、江戸時代の人口と関連して大胆な仮説を立てています。
(これがめっちゃおもしろい!)
東北では行われていなかった鯨油を使った害虫駆除。
その手掛かりがあるかも?と思い、
阿部さんが調べて教えてくれた
「平戸市生月町博物館・島の館」に行ってみることにしました。
生月島までは福岡から車で3時間。
途中休憩を入れながら,島の館に到着しました。
4.見つけたー!
鯨油を農薬がわりに使っていた資料などがあったら という阿部さんのリクエストもあったので,
探してみると…。みつけました!
パネルには
と書かれています。
そして説明の下には阿部さんの資料で見たことがある,大蔵永常の『除蝗録』に掲載されているイラストが大きくパネル展示されていました。
そして、、、なんと!
パネルの下には、実際に田に油をまくのに使われていた
「油注し」も展示されていました。
あああ!資料と同じ‥‥。これをみて大興奮!
阿部さんにさっそく連絡したら、
との返信が。
あああ、こうやって資料に書かれていることを実際に見られるのと、
歴史の一部として考えていたことが、
実は自分の近い場所で行われていたと思うと…とっても楽しい!!
5.わくわくはとまらない
資料「クジラ油をまいたなら」の最後にはこのようなことが書かれています。
阿部さんの資料には、
「九州の各藩が何十~百樽という単位で毎年買っていた」と書かれています。
そうすると,自分の2世代前?で,農業をしていた人たちが鯨油を農薬として撒いていたかもしれない…と思うと,なんだかわくわくしちゃいます。
(後日談)
九州に住んでいる研究会の方に尋ねてみると、
熊本在住のFさんから
という連絡が。
ああ、やっぱり数十年前までは油を農薬に使っていたんだ…と思うと
胸がはずみます。
こうやって、鯨油の歴史を確認できるというのはうれしいしたのしいです。
6.最後に
だいぶ授業とかけ離れた内容になっているとは思いますが…、
こうやって気になることや知りたいことを調べられる・
そして、自分自身が楽しくなっちゃって、
どんどん知りたい・学びたいと思えることって、
とってもスバラシイのは?って思っています。
私は
仮説実験授業や研究会を通して
それを教えてもらっていると思っています。
大人になっても楽しく学ぶことができる…。
まぁ、私が相当阿部さんの油の研究が好きだから
それを知りたいってことが一番の原動力なんですけどね。
わはは。
(おしまい)
※資料紹介については、阿部さんに掲載許可をいただいています。
阿部さんありがとうございました。
Instagramにつけた曲はこちら。
ハネモノ好きです。
でも、この曲の「ハネモノ」を「跳ね者」と思っちゃう自分がいる…💦
ここから下はメンバーシップ限定の記事となります
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?