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価値観の話、入院の話(甲状腺疾患)

こんにちは、のんです。
先日、甲状腺の摘出手術を受けました。
手術の前後を通してあれこれ考え事をしましたので、感じたこと・考えたことを書き残してみたいと思います。

エネルゲイア的な生き方

アリストテレス大先生

自分のベースになっている価値観の話から書きたいので、何やら壮大な書き始めになるのですが、
私は昔から、人生を「100年(もしくはそれに近い年数)続く前提」で捉えていません。
毎年交通事故や、災害や、病気等で突然命を落とされる方がいらっしゃる中で、私が今生きている(生かしてもらっている)のは「たまたまであり、奇跡的なこと」だと思っています。
だから、いつ命が終わっても「よく生きたな~」と思えるように、常に幸せ(貢献感、人とのつながり)を感じていたいし、逆に「一つの目的のために今を犠牲にする」ような時間の使い方はなるべくしないようにしよう、と心掛けています。(一時的にどうしても避けられないときはありますが。)

解釈が違っていたらアリストテレス先生に申し訳ないですが、たぶんこういう生き方を「エネルゲイア的に生きる」と表現するのだと思います。
「嫌われる勇気」(岸見一郎氏、古賀史健氏共著)の中では以下のように説明されています。

『目的地にたどり着くまでの道のりは、目的に到達していないという意味において不完全である。それがキーネーシス的な人生です。』

『一方、エネルゲイアとは、「いまなしつつある」ことが、そのまま「なしてしまった」ことであるような動きです。』

『別の言葉でいうなら「過程そのものを、結果としてみなすような動き」と考えてもいいでしょう。ダンスを踊ることもそうですし、旅などもそうです。』

登山の目的が「登頂すること」にあるのなら、それはキーネーシス的な行為でしょう。…(中略)…しかし、目的が登頂ではなく登山そのものであれば、エネルゲイア的ということができます。結果として山頂にたどり着くかどうかは関係ないのです。』

人生は連続する刹那であり、過去も未来も存在しません。あなたは過去や未来を見ることで、自らに免罪符を与えようとしている。過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。

『嫌われる勇気』より抜粋

「甲状腺乳頭癌の疑いが強い」と告知されたとき全くショックがなかったといえば嘘になりますが、(少なくとも現段階では)命に関わる病気でなくてありがたいですし、予後は良好な病気ということなので、主治医の先生に精一杯悪いところを取っていただいて、甲状腺のない新しい身体と今後よいお付き合いをしていこう、と思っています。

甲状腺乳頭癌の話

甲状腺は蝶が羽を広げたような形で、気管に張り付いているそうです。

甲状腺を全摘出することについて

今回、私は手術で甲状腺を全摘出しました。
身体に必要なホルモンを分泌してくれている甲状腺を完全に取ってしまうことにそれなりに不安を感じたので、事前に納得できるまで主治医の先生に質問させていただきました。

もしかしたら今後参照される方がいらっしゃるかもしれないので、全摘出に決めた経緯についても記録しておきます。(前提として、私の腫瘍は中央右寄りにあります。あくまで私の個別ケースですので、参考程度にされてください。)

【主治医の先生が全摘出を薦める理由】
・右リンパ節への転移があること、主の腫瘍以外に癌細胞が小さく広がっている様子があることから、以後の放射線治療の可能性も考えると全摘出しかない。
・最初に中途半端に(左葉を残す等)手術をして、癌細胞を取り残した場合、再発の元になる。実際に何度も追加手術になってしまっている患者さんもいる(手術を繰り返すほど取りずらくなる)
・仮に左葉部分を残したとしても、結局は甲状腺ホルモンを補う薬を飲まないといけない可能性が高い。
・甲状腺を摘出するとホルモンを補う薬を飲まないといけなくなるが、子どもが飲んでも安全な薬で、効き始めるのも消えていくのもゆっくりなので、災害等で飲むことが難しい状況になった場合でも3~4週間は大丈夫。

なお、術後1ヶ月の血液検査で癌細胞の残存が判明すると、放射線治療を考えないといけなくなるそうです。(放射線治療をすると、1年は妊娠不可)
癌細胞が取り残されていないことを祈るばかりです。

手術後に感じたこと

手術後の安静にしていないといけない一日半ほど(長かった…)、感じたことが2つほどありました。

まず1つめは、天寿を全うできたとして、人生の中で気力、体力が共に満ちている期間は今私が考えているよりずっと短いんだろうな、ということ。
少し病気をしただけで、身体にメスを入れるだけで、こんなに身体は弱くなるんだということを実感しました。(心は比較的すぐに元気になりましたが、、)
そんなに怠けて生きてきたつもりもないけど、もう少し毎日を大切にしようかな、と思いました。(毎日の食事をちゃんと作るとか、季節を楽しむとか)

もう一つは、身体の自由が利かなくなってきて気難しくなっているおじいちゃんってこんな気持ちなのかな。。と(想像です)
気持ちは元気な時のまま変わっていないのに、いろんな管が繋がれた自分の身体を見下ろしたとき、急に弱い生き物になったような気がしました。
でも気持ちは現役時代と変わっていないから、年寄扱いされたら、「わしゃまだまだ若いんじゃ!!」と暴れたくなるんじゃないかなと(ただのイメージです)
でも、次にもしそんなおじいちゃんと遭遇したら、なんで不機嫌なのか、自分なりに理解して接せられるんじゃないかなと思います。

リカバリー室で読んだ本

手術後、リカバリー室で過ごした一夜、以前から読みたかった夏生さえりさんの「口説き文句は決めている」をお供に連れて行きました。
軽いエッセイ集なのでさらっと読み切れたのですが、改めて「丁寧な暮らし」の理想を考えられたのと、やっぱりさえりさんの文章好きだな~~と、ほっくりこっくりしました。私の栄養源です。
*さえりさんはライターさんですが、「柔らかさ」の作り方が個人的に大好きで、人生の一歩先を歩く先輩として、勝手に追いかけてさせてもらっています。Twitterもインスタもnoteも素敵です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少しずつ、自分の価値観を絡めて記事を書いていきたいなと思っています。
それでは。








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