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私と東村さん

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高校時代、仲良かった事務室の東村さん。その人との日々を思い出したので残したいと思います。いつかの自分に向けて、忘れてしまわないように。
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2024年3月の記事一覧

EP.1-14

「わ!お久しぶりです〜!」
「変わったねぇ。でもすぐわかったよ。」
「垢抜けたでしょ」
「可愛い。びっくりした。高校の時も可愛かったけど」
「ありがとう〜」

私は久しぶりに東村さんと会った。
私は初めて東村さんと外で会った。
私は東村さんと2人で会っている。

なんだかいつもと違くて恥ずかしくなってきた。

「タバコ吸うんだね」
「あ、はい」
「俺も」
東村さんはマルメンを取り出して
一本のタバ

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EP.1-13

東村さんからはそれからもちょくちょくメールがきた。
面倒臭かったし
焼肉奢ってくれないから
私はそっけなく返信をしていた。

自分のホームページの“裏りある”には
東村さんが鬱陶しいことを書き連ねた。
誰に話すこともない。
私と東村さんが連絡を取り合っていることは
誰にも言っていない。
私と東村さんが仲が良かったことは
誰も知らない。

そんなある日、私はいつものカフェで大学の課題に取り組んでいた

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EP.1-12

バイトの休憩時間。非常階段でタバコを吸いながら
携帯を開いた。

「私バイトがあるから」
携帯をのボタンをニチニチと打つ。
私は両手打ちだった。

「金曜日の夜は?」
「焼肉連れて行ってくれるならいいよ!叙々苑!」
「そんなとこ連れて行けないよ」
「じゃあまた!」

調子乗ってた私はそう返信して携帯を閉じた。
バイトの休憩時間が終わる。
私は制服に着替えて匂いを消すため手を洗いに行った。