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おはなしのくに「桃太郎」

心地良い眠りについて考え込むといつの間にか不眠症になっていた。
もはや眠れないではなくて眠らないことを選択しているとどんぶらこどんぶらこと桃が流れてきたので爺さんと婆さんと桃太郎は川の字になって寝ることにした。

桃から出てきた桃太郎は少しベタつきながら「25度」とのたまうので、はて今日は夏日かと思ったが鬼暑いから猛暑日やろと突っ込んだところで、桃太郎を汗拭きシートでサラサラにした。
いやちゃうねん糖度の話やねん、と桃太郎が言ったとか言わなかったとか。
「それなら我、鬼暑いの鬼の部分を征伐して暑いにしてしんぜよう」
桃太郎がそんな事をノートに書き出したので、熱帯夜の夜中のテンションで書き殴ったノートを翌朝見てみたら死にたくなるだろうという爺さんの配慮によって与えられた大義名分が鬼ヶ島を作り出した。
鬼ヶ島建国の父である爺さんは、後の一万円札の「NIPPONGINKO」の部分をよく見ると実はいるっていうやつになった。
何にでも首を突っ込みたがる爺さんは500を超える企業の設立に関わったと言われている。

とりあえず熱帯夜のゴキブリは怖いので、婆さんはホウ酸団子を夜中のテンションMAXの桃太郎に持たせてやった。
次々とゴキブリを殺す桃太郎。
殺ゴキ鬼となった桃太郎は思うのだ。
鬼とは人間が創り出したもの。
人間の心のみ鬼が存在する。
桃から生まれは私は哺乳類とは言い難い。
私は分類学的に何類なんだろうか。

この村では、狂犬病の野良犬と、餌を与えられ過ぎて人間を襲うようになった猿と、農作物を荒らすキジが社会問題になっていた。

この村ではこれらを殺処分することになった。
この村に平和がやってきた。

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